Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 94(4): 485-493 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940485

特集Special Review

核内構造体と液–液相分離核小体と転写コンデンセートを中心にNuclear bodies and liquid–liquid phase separation

国立遺伝学研究所/総合研究大学院大学National Institute of Genetics・SOKENDAI (The Graduate University for Advanced Studies) ◇ 〒411–8540 静岡県三島市谷田1111 ◇ Yata1111 Mishima, Shizuoka, 411–8540 Japan

発行日:2022年8月25日Published: August 25, 2022
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細胞核の中には膜のない構造体が多数ある.これらの制御はさまざまなゲノムの機能と密接に関連している.最近,膜のない構造体の多くが液–液相分離によって形成される「液滴」であることが提唱された.相分離は溶液が均一に混じり合わず油と水のように分離する現象で,特定の分子を濃縮したり,別の分子を排除したりすることで,生化学反応を時空間的に制御できる.一方,液滴であるために,環境変化によって構造体の物理的性質が変化し,機能不全を起こすこともある.本稿では核内最大の液滴である核小体と遺伝子発現時における転写コンデンセートのケースを通して,相分離がゲノムの機能に果たす役割とその弊害について概説する.

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