液–液相分離を介した転写制御
1 東京大学定量生命科学研究所生命動態研究センター遺伝子発現ダイナミクス研究分野 ◇ 〒113–0032 東京都文京区弥生1–1–1 生命科学総合研究棟A404
2 東京大学大学院総合文化研究科 ◇ 〒113–0032 東京都文京区弥生1–1–1 生命科学総合研究棟A404
発行日:2022年8月25日
近年,多様な生命現象がタンパク質の液–液相分離とそれに伴う局在変化を介して動的に制御されることが報告されている.配列特異的な転写因子やコアクティベーターなどのエンハンサー結合因子に加えて,転写伸長因子,スプライシング因子,核内RNA結合タンパク質,RNA polymerase IIなど多くのタンパク質が天然変性領域を介して相分離を誘導し,生化学的な反応を促進する液滴を形成することが明らかとなってきた.こうした液滴は多段階的な転写反応を進行させるための反応区画として機能するだけでなく,タンパク質のリン酸化などの翻訳後修飾やRNA分子などを介した活性調節の場としても重要な役割を果たす.本稿では,多様な核内因子の持つ液–液相分離活性と転写制御の関連性について最新の知見を紹介する.
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