Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 94(4): 506-513 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940506

特集

液–液相分離の制御を介した力学刺激依存的細胞間接着の調節機構胚はどのように力にあらがい組織の統合性を維持するのか?

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発行日:2022年8月25日
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胚の形態形成の過程で生ずるさまざまな力は発生に大きな影響を与えていると考えられているが,力は具体的にどのように細胞内の化学応答シグナルに変換されるのか,その分子・細胞メカニズムについては不明な点が多く,また個体レベルでの研究はわずかである.我々はアフリカツメガエル胚を用いて力学刺激に応答するリン酸化反応を網羅的に解析し,細胞–細胞間接着に関わるタンパク質群,なかでも細胞間接着に寄与する密着斑(タイトジャンクション)構成因子ZO-1に着目した.胚への力学刺激で,間充織–上皮転換(MET)様の細胞表現型がみられること,また培養細胞を用いた実験結果から,ZO-1は細胞質に存在する液–液相分離による凝集体を形成すること,加えて同凝集体は力学刺激によって崩壊することを見いだしたので,マウス胚も用いて同現象の生理的意義について検証している.

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