シナプス伝達と可塑性を担うタンパク質の集合と区画化
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻 ◇ 〒464–8602 愛知県名古屋市千種区不老町
発行日:2022年8月25日
シナプス前終末にはシナプシンとシナプス小胞で構成される(本稿ではシナプシン:シナプス小胞と表記)コンデンセートおよびRIM:RIM–BP:VGCCで構成されるコンデンセートの存在が知られており,シナプス小胞の予備プールおよび放出可能プールの形成に関与している.またシナプス後部ではタンパク質の集合体として広く知られていたシナプス後膜肥厚を構成する足場タンパク質群や神経伝達物質受容体群も液−液相分離によるコンデンセートを形成することが明らかとなった.またカルシウムにより活性化したCaMKIIは可塑的にシナプス後膜肥厚内部のタンパク質を区画化していき,伝達物質の局在の最適化によりシナプス伝達効率の向上に寄与している.このことは学習等の一時的な情報がコンデンセートの物性変化として固定されることを意味している.さらにこれらのコンデンセートには離散因子も存在しており,シナプス可塑性の二方向性と一致している.
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