Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 94(4): 529-536 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940529

特集Special Review

神経RNA顆粒が制御する局所翻訳と長期記憶形成Local translation and long-term memory formation regulated by neuronal RNA granules

自然科学研究機構・基礎生物学研究所/自然科学研究機構・生命創成探究センター/総合研究大学院大学National Institute for Basic Biology (NIBB), National Institutes of Natural Sciences (NINS)/Exploratory Research Center on Life and Living Systems (ExCELLS), NINS/The Graduate University for Advanced Studies (SOKENDAI) ◇ 〒444–8585 愛知県岡崎市明大寺町字西郷中38 ◇ 38 Nishigonaka, Myodaiji, Okazaki, Aichi 444–8585, Japan

発行日:2022年8月25日Published: August 25, 2022
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長期記憶をもたらすシナプス長期増強に不可欠な制御として,樹状突起の後シナプス周辺における局所的な翻訳があげられる.局所翻訳が起こるためには,mRNAが輸送装置へ取り込まれ,それが突起へと輸送され,シナプス入力に応答して翻訳活性が上昇するという一連の反応が時空間的にコントロールされる必要がある.これらの制御を担うのが,液–液相分離(LLPS)により形成される凝縮体(コンデンセート)「神経RNA顆粒」である.近年,さまざまな生命現象へのLLPSの関与に対して注目度が高まり,LLPSの観点からRNA顆粒の特性を解析した研究が多く報告されるようになった.そこから明らかにされつつあるRNA顆粒の構造や構成因子のダイナミクスに関する知見に基づき,RNA顆粒が局所翻訳,ひいては長期記憶という生命現象をもたらすメカニズムを考察する.

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