生物材料・生体機能発現と液–液相分離:クマムシ乾眠とクモの糸
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発行日:2022年8月25日
“最強生物”クマムシは乾燥に伴う可逆的な生命活動の停止である乾眠によって,宇宙真空への直接曝露を含むあらゆる極限環境に耐性を持つ.“最強素材”クモの糸は,鋼を上回る強度とナイロンを上回る伸縮性を併せ持った最もタフな素材であり,再生・生分解可能な持続可能タンパク質素材として産業的にも大きな注目を集めつつある.近年私が研究対象としているこの二つの特異な生命現象の両方において,その機能発現に液–液相分離が不可欠な役割を担っていることが明らかになってきた.本稿ではこの二つの“最強”な研究対象について紹介するとともに,液–液相分離が果たす多様な役割について議論する.
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