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公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 94(6): 797-805 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940797

特集

骨髄異形成症候群(MDS)における異常スプライシング機構

東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻細胞生化学研究室 ◇ 〒113–0031 東京都文京区弥生1–1–1 農学部7号館A棟703号室

発行日:2022年12月25日
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mRNAスプライシングは高等真核生物では遺伝子発現に必須な過程であり,高度な正確性が要求される.そのため,mRNA前駆体上の制御配列やスプライシング制御因子に変異を生じると,ヒトでは疾患として現れる場合が多い.骨髄異形成症候群(MDS)は,血液細胞のもととなる造血幹細胞に異常が起き,正常な血液細胞が産生されなくなる疾患である.単独の疾患ではなく,類似した症状を呈する複数の疾患からなる症候群と考えられている.近年ヒトのがんにおいて,スプライシング因子がドライバー変異となる例が報告されてきており,MDSでは患者の半数にスプライシング因子の変異が見つかっている.本稿では,MDSで高頻度に変異が見いだされた四つのスプライシング因子SF3B1, SRSF2, U2AF1, ZRSR2に焦点を当て,その異常スプライシング機構について解説する.

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