Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 94(6): 829-836 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940829

特集Special Review

スプライシング異常と細胞周期停止機構Cell cycle arrest caused by splicing abnormality

富山大学学術研究部医学系Faculty of Medicine, Academic Assembly, University of Toyama ◇ 〒930–0194 富山県富山市杉谷2630 ◇ Sugitani 2630, Toyama 930–0194, Japan

発行日:2022年12月25日Published: December 25, 2022
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真核生物において,mRNAスプライシングは遺伝子発現にとって必須のメカニズムである.これまでの研究から,スプライシング関連因子の変異やスプライシング阻害剤は,細胞周期関連因子のスプライシングを阻害し,遺伝子発現を低下させることで細胞周期停止を引き起こすことが明らかとなった.さらには,スプライシング阻害により蓄積したpre-mRNAが翻訳されたトランケート型タンパク質が細胞周期停止に関わることもわかってきた.近年,スプライシング阻害剤は新規の作用機序を有する強力な抗がん剤として注目を浴びており,これらの細胞周期停止メカニズムの解明は,スプライシング阻害剤を基盤とした抗がん剤の開発を強力に後押しすると考えられる.本稿では,mRNAスプライシング異常と細胞周期停止に関するこれまでの知見を紹介する.

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