Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 94(6): 837-844 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940837

特集Special Review

RNAスプライシング制御を標的とした創薬Drug development targeting aberrant RNA splicing

1京都大学大学院医学研究科創薬医学講座Department of Drug Discovery Medicine, Kyoto University Graduate School of Medicine ◇ 〒606–8501 京都府京都市左京区吉田近衛町 医学部C棟3階 ◇ Building C, 3rd Floor, Yoshida Konoe Cho, Sakyo-ku, Kyoto 606–8501, Japan

2京都大学大学院医学研究科形態形成機構学教室Department of Anatomy and Developmental Biology, Kyoto University Graduate School of Medicine ◇ 〒606–8501 京都府京都市左京区吉田近衛町 医学部C棟3階 ◇ Building C, 3rd Floor, Yoshida Konoe Cho, Sakyo-ku, Kyoto 606–8501, Japan

発行日:2022年12月25日Published: December 25, 2022
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筆者らは薬剤でRNAの発現量や発現パターンを変化させることにより先天性の難病を治すことが可能ではないかと考え,遺伝子発現を生体内で可視化する独自の技術を開発してきた1–3).さらにこの技術を化合物スクリーニングに応用することで,先天性疾患の原因遺伝子の異常なRNAスプライシングを正常化させるスプライシング制御薬を見いだし,従来は薬物治療の対象とされてこなかった先天性疾患について薬物治療が可能であることを世界で初めて示した4, 5).遺伝性疾患関連変異として報告されているおよそ30万種類の一塩基変異のうち約35%がRNAスプライシングに影響を及ぼすことが近年推計されており6),筆者らが創始した創薬戦略によって数多くの遺伝病患者を治療できる可能性がある.スプライシング制御を標的とした創薬開発の動きは世界的に加速しており,本稿ではスプライシング制御を標的とした創薬研究の進展について概説する.

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