RNAスプライシング制御を標的とした創薬
1 京都大学大学院医学研究科創薬医学講座 ◇ 〒606–8501 京都府京都市左京区吉田近衛町 医学部C棟3階
2 京都大学大学院医学研究科形態形成機構学教室 ◇ 〒606–8501 京都府京都市左京区吉田近衛町 医学部C棟3階
発行日:2022年12月25日
筆者らは薬剤でRNAの発現量や発現パターンを変化させることにより先天性の難病を治すことが可能ではないかと考え,遺伝子発現を生体内で可視化する独自の技術を開発してきた1–3).さらにこの技術を化合物スクリーニングに応用することで,先天性疾患の原因遺伝子の異常なRNAスプライシングを正常化させるスプライシング制御薬を見いだし,従来は薬物治療の対象とされてこなかった先天性疾患について薬物治療が可能であることを世界で初めて示した4, 5).遺伝性疾患関連変異として報告されているおよそ30万種類の一塩基変異のうち約35%がRNAスプライシングに影響を及ぼすことが近年推計されており6),筆者らが創始した創薬戦略によって数多くの遺伝病患者を治療できる可能性がある.スプライシング制御を標的とした創薬開発の動きは世界的に加速しており,本稿ではスプライシング制御を標的とした創薬研究の進展について概説する.
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