マイクロエクソンの取捨選択による中枢シナプス形成の調節
富山大学学術研究部医学系分子神経科学講座 ◇ 〒930–0194 富山県富山市杉谷2630
発行日:2022年12月25日
近年,脊椎動物の神経細胞において選択的にスプライシング調節を受ける3~27ヌクレオチドのマイクロエクソンの存在が明らかになり,神経系で働くタンパク質の機能を修飾する新たな機構として注目されている.受容体チロシン脱リン酸化酵素PTPRDは神経細胞間シナプスの分化誘導を担う主要な細胞接着タンパク質(シナプスオーガナイザー)として知られる.Ptprd遺伝子の持つ三つのマイクロエクソンは脳部位や発達時期に応じた選択的スプライシング調節を受けており,それらにコードされるペプチドは,シナプス間隙を挟んで相互作用するさまざまなシナプス後部リガンドとの結合特異性,および,誘導するシナプスの種類と誘導量を調節する.すなわち,Ptprd遺伝子のマイクロエクソンの選択的スプライシングコードは脳神経回路構築の設計図として機能する.本稿ではシナプスオーガナイザー遺伝子のマイクロエクソンスプライシングを介した中枢シナプス形成の調節機構について紹介する.
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