Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(1): 5-16 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950005

総説Review

グレリンの発見から臨床応用まで古き良き発見の時代にFrom the discovery of ghrelin to its clinical application: For the good old days of discovery

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発行日:2023年2月25日Published: February 25, 2023
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グレリンは胃から発見されたペプチドホルモンであるが,N末端から3番目のセリン残基の側鎖が脂肪酸(メインはオクタン酸)によって修飾されている.しかもこの脂肪酸の修飾基がグレリンの活性に必要である.現在,グレリンのペプチド部分に脂肪酸を転移させる特異的な酵素として,グレリン脂肪酸転移酵素(GOAT)が同定されている.グレリンの脂肪酸修飾基がなぜグレリン受容体の活性化に必要なのかという謎は,最近のグレリン受容体の立体構造解明から明らかになった.グレリンは成長ホルモン分泌を刺激し,食欲を高めて摂食量を増加させるホルモンであり,このグレリンの作用を利用して,グレリン様化合物が「がん悪液質」を対象とする治療薬として開発されている.本稿ではグレリンの歴史から臨床応用までを解説する.

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