Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(1): 17-28 (2023)
doi:

総説Review

テイルアンカー型膜タンパク質のオルガネラ局在化における配送校正機構Proofreading mechanism of organelle localization of tail-anchored membrane proteins

九州大学大学院農学研究院Graduate School of Bioresource and Bioenvironmental Sciences, Kyushu University ◇ 〒819–0395 福岡県福岡市西区元岡744 ウエスト5号館784 ◇ W5‒784, 744 Motooka, Nishi-ku, Fukuoka, Fukuoka 819‒0395, Japan

発行日:2023年2月25日Published: February 25, 2023
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真核生物の細胞内では合成されたタンパク質が,目的の細胞小器官(オルガネラ)に配送されることは正常な細胞機能に必要である.従来タンパク質の配送は非常に正確なプロセスであり,異なる配送先に誤って局在したタンパク質は,細胞の品質管理機構により速やかに分解されると考えられてきた.しかし,現在この考え方が大きく変わりつつある.C末端に膜貫通配列(TMD)を一つ持つテイルアンカー型(TA)膜タンパク質は,小胞体(ER)膜,ミトコンドリア外膜そしてペルオキシソーム膜に配送されるが,オルガネラへのタンパク質配送経路の変異などによりミトコンドリア外膜に誤配送されることがある.筆者らは,ミトコンドリア外膜に局在するAAA-ATPアーゼMsp1(酵母)/ATAD1(哺乳動物)が誤配送TAタンパク質を膜から引き抜くことで,分解だけでなく,配送のやり直し(校正)に関わることを見いだし,分子機構を明らかにしてきた.本稿では,「TAタンパク質のオルガネラ局在化における配送校正機構」について概説する.

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