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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(2): 151-156 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950151

特集Special Review

大気中微粒子による生体応答の解明Clarification of biological responses to atmospheric particles

1金沢大学大学院自然科学研究科自然システム学専攻Natural System Major, Graduate School of Natural Science and Technology, Kanazawa University ◇ 〒920–1192 石川県金沢市角間町 ◇ Kakumamachi, Kanazawa-shi, Ishikawa 920–1192, Japan

2金沢大学ナノ生命科学研究所Nano Life Science Institute, Kanazawa University ◇ 〒920–1192 石川県金沢市角間町 ◇ Kakumamachi, Kanazawa-shi, Ishikawa 920–1192, Japan

3金沢大学環日本海域環境研究センターInstitute of Nature and Enviroment Technology, Kanazawa University ◇ 〒920–1192 石川県金沢市角間町 ◇ Kakumamachi, Kanazawa-shi, Ishikawa 920–1192, Japan

4金沢大学理工研究域フロンティア工学系College of Science and Engineering, School of Frontier Engineering, Kanazawa University ◇ 〒920–1192 石川県金沢市角間町 ◇ Kakumamachi, Kanazawa-shi, Ishikawa 920–1192, Japan

発行日:2023年4月25日Published: April 25, 2023
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粒子径2.5 µm以下の大気中微粒子であるPM2.5は世界各国で深刻な大気汚染を引き起こし,呼吸器疾患など人体への影響が懸念される.PM2.5は粒子径,化学組成が異なる複雑な粒子群であり,環境中での化学反応性や物理特性,生体内での呼吸器深部への移行性や生体応答は多様である.そのため,PM2.5の調査研究では粒子径ごとの粒子分級と高精度の化学組成解析が研究の基盤であり,そのうえで生体応答の解明に取り組むことが重要である.PM2.5の分級捕集は,ナノサンプラーを用いた捕集技術の進展により高精度なサイズ分級が実現し,粒子径ごとの化学組成解析のデータが蓄積され始めている.今後は,サイズ分級したPM2.5の生体応答の解明へと進展すると予想されるが,微粒子工学と細胞生物学を組み合わせることで生体に近い条件で生体応答を解析することが重要となってくる.

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