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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(2): 161-168 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950161

特集Special Review

リンパシステム内ナノ粒子動態の制御とリンパ管内皮細胞を標的とする核酸送達システムの開発Control of intralymphatic pharmacokinetics of nanoparticles and development of nucleic acids delivery system to lymphatic endothelial cells

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発行日:2023年4月25日Published: April 25, 2023
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リンパシステムは体液循環の調節の他,抗原や病原体に対する免疫制御の場として中心的な役割を果たす.また,近年リンパ管を構成するリンパ管内皮細胞は,免疫細胞と協奏して免疫調節していることが報告されている.このため,人工の細胞外微粒子であるナノ粒子によるリンパシステムの機能制御は新しい創薬戦略につながりうる.ナノ粒子のリンパシステム内動態の制御を目指して,ナノ粒子の表面物性とリンパシステム内動態の網羅的解析を行った結果,リンパ節内の特定の細胞群によるナノ粒子認識とリンパ節への滞留性の関連が明らかとなった.また,リンパシステムに取り込まれた後にリンパ管内皮細胞へとナノ粒子を送達するために,ナノ粒子表面を細胞認識する抗体分子で迅速に修飾する手法を確立し,内封した機能核酸による遺伝子制御に成功した.本稿では,リンパシステム内のナノ粒子に着目した最新の研究について紹介する.

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