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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(2): 177-183 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950177

特集Special Review

細胞外微粒子への生体応答と発がんとの関連Extracellular fine particles and carcinogenesis

名古屋大学大学院医学系研究科生体反応病理学Department of Pathology and Biological Responses, Nagoya University Graduate School of Medicine ◇ 〒466–8550 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65 ◇ 65 Tsurumai-cho, Showa-ku, Nagoya, Aichi 466–8550, Japan

発行日:2023年4月25日Published: April 25, 2023
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外因性微粒子や感染に伴う炎症反応は体内の鉄分布を大きく変え,細胞外の鉄を減らすように作用するため,細胞内鉄過剰が発生する.過剰鉄は発がんリスクである.鉄は細胞増殖に必須な酵素の補因子であるが,過剰鉄はフェントン反応により変異性DNA傷害を起こし,発がんの基盤となるフェロトーシス抵抗性を持った細胞の進化・選択を促進する.血清フェリチン値は体内鉄貯蔵の指標だがその分泌機構は不明であった.我々は最近,ヒト細胞において細胞外小胞(EV)のマーカーCD63が鉄代謝に固有なIRP/IREを介して転写後制御を受け,鉄が十分あるときには鉄充填フェリチンをEVとして分泌することを明らかにした.一方,アスベストに曝露されたマクロファージはフェロトーシスに陥るが,そのとき同様の鉄充填フェリチンをEVとして放出し,それを受け取った中皮細胞に変異性傷害を与えることを見いだした.

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