オルガネラ膜接触ゾーンにおける脂質選別輸送システムの動作原理
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発行日:2023年6月25日
さまざまな脂質転送タンパク質群が脂質のオルガネラ間選別移送を行っている.本稿では,現在のオルガネラ間脂質輸送モデルに至った歴史的背景を紹介した後,小胞体で合成されたセラミドをゴルジ体へ運ぶタンパク質CERTの生化学的特徴を脂質転送タンパク質の典型例として述べる.次に,脂質のオルガネラ間転送の正確さはオルガネラどうしが近接した場を活用することで担保できること,さらに,脂質転送の方向は特定のオルガネラで起こる代謝反応とのつながりを考慮するとおよそ説明できることをいくつかの例をあげつつ述べる.加えて,リン酸化を介したCERT機能の制御機序とその破綻に起因する遺伝病,脂質輸送と他の細胞機能との連携,および,ウイルスなどがその増殖時に宿主細胞の脂質転送システムをハイジャックする現象についてもふれる.
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