Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(3): 296-309 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950296

総説Review

電位依存性カリウム(KV)チャネル研究の歴史と展望History and outlook of voltage-gated potassium channel research

自治医科大学医学部生理学講座統合生理学部門Division of Integrative Physiology, Department of Physiology, Jichi Medical University ◇ 〒329–0498 栃木県下野市薬師寺3311–1 ◇ 3311–1 Yakushiji, Shimotsuke, Tochigi 329–0498, Japan

発行日:2023年6月25日Published: June 25, 2023
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電位依存性カリウム(KV)チャネルは,神経細胞の活動電位を再分極させるという重要な生理機能を持つが,その働きはすでに1952年にHodgkinとHuxleyによって数学的に美しく記述されている.そしてそれ以降も生物物理学的にきわめて興味深い研究対象として研究されてきたが,1987年に初めてのKVチャネル遺伝子としてShakerがショウジョウバエよりクローニングされ,その流れは加速した.2005年には哺乳類のShakerチャネルであるKv1.2の結晶構造が報告され,イオン透過の仕組みや,電位センサードメインの構造と動きなど,多くのことがわかってきた.さらに近年,クライオ電子顕微鏡により爆発的に増えた構造情報により,KVチャネルの理解はさらに深まりつつある.本稿では,これらKVチャネル研究の歴史を振り返り,最近得られた構造情報等によるKVチャネル研究の現在地,そして今後のKVチャネル研究を展望する.本稿でふれる主なKVチャネルおよびその関連研究については表1に年表としてまとめてあるので,本文と併せて参照いただきたい.

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