Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(3): 310-321 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950310

総説Review

神経回路形成機構の解明を目指してToward elucidating the mechanism of neuronal circuit formation

深圳湾实验室・神经疾病研究所(深圳湾実験室・神経疾病研究所)Institute of Neurological and Psychiatric Disorders ◇ 中華人民共和国广东省深圳市光明区光侨路高科国际创新中心(中華人民共和国広東省深圳市光明区光侨路ハイテックインターナショナル・イノベーションセンター) ◇ Gaoke Innovation Center, Guangming District, Shenzhen, Guangdong Province, 518000 China

発行日:2023年6月25日Published: June 25, 2023
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脳は膨大な数の神経細胞からなるネットワークであり,この神経回路こそがあらゆる精神活動の源になる.神経回路の基本構造は発生プログラムに基づいて自律的に形成されるが,細部構造は環境からの影響すなわち神経細胞の電気的活動によって再編される.そして,その形成過程の異常は疾病につながる.脳の設計図には依然多くの謎が残されているが,半世紀以上に及ぶ神経科学の研究によって,回路形成を担う細胞の挙動や反応性,それをつかさどる遺伝子やタンパク質の働きは徐々に明らかになってきた.このような研究の流れの中で,筆者らはユニークな方法論や多様なアプローチによって,軸索成長・分岐形成を担う細胞分子機構,神経活動依存的な分子基盤の一端を明らかにしてきた.その研究を通して,神経科学という分野における問題の見方や捉え方,研究推進の戦略・方法を考える.

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