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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(4): 483-489 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950483

特集Special Review

腸内細菌群集の網羅的代謝機能データベースFunctional annotation atlas for human gut microbiome

1沖縄科学技術大学院大学統合オープンシステムユニットOkinawa Institute of Science and Technology ◇ 〒904–0495 沖縄県国頭郡恩納村字谷茶1919–1 ◇ 1919–1 Tancha, Onna-son, Kunigami-gun, Okinawa 904–0495, Japan

2東京工業大学生命理工学院Tokyo Institute of Technology Department of Life Science and Technology ◇ 〒152–8550 東京都目黒区大岡山2–12–1 M6–4 ◇ 2–12–1 Ookayama, Meguro-ku, Tokyo 152–8550, Japan

発行日:2023年8月25日Published: August 25, 2023
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ヒト腸内環境解析は次世代シーケンサーの発展と,腸内環境と疾患の関連性が次々と明らかになるにつれ,技術的にさまざまな広がりを見せている.16S rRNA遺伝子アンプリコン解析のみならず,ショットガンメタゲノム解析による詳細な機能解析により,ヒト腸内細菌が持つ代謝機能についても,定量的に扱うことが可能となってきた.遺伝子機能解析には,塩基配列やアミノ酸配列に対して行う機能アノテーションが基盤となる.

本稿では遺伝子機能解析のリファレンスとして用いられるデータベースや,機能アノテーションツールに焦点を当てる.筆者らのグループはヒト腸内細菌が持つ代謝機能に焦点を当てた代謝経路データベースであるEnteropathwayを開発している.当該データベースを利用することによるデータ解析の可能性についても紹介したい.

1. はじめに

ヒト腸内環境解析は次世代シーケンサーの発展と,腸内環境と疾患の関連性が次々と明らかになるにつれ,技術的にさまざまな広がりを見せている.便検体や生検由来のDNA断片から得られる微生物の遺伝子配列を網羅的に解析するメタゲノム解析により,ヒト腸内細菌が持つ代謝機能についても,定量的に扱うことが可能となってきた.ここではメタゲノム解析における機能解析の概要を紹介し,そこで遺伝子機能解析のリファレンスとして用いられるデータベースに焦点をあてる.機能解析に用いられるさまざまなツールを概説するとともに,筆者らのグループが開発している代謝経路データベースとそれを利用することによるデータ解析の可能性について紹介したい.

2. メタゲノムデータを利用した腸内細菌の機能解析

メタゲノム解析とは,土壌や便のような環境サンプルからDNAを直接抽出し,その環境サンプル中に含まれる微生物およびその遺伝子を明らかにする解析手法である1).これまで培養に依存していた微生物研究を一変させた手法であり,大量の遺伝子配列とともに系統組成,遺伝子機能組成を得ることが可能である.ヒト腸内環境解析においては,このメタゲノム解析が非常に重要な位置を占めるようになり,近年盛んに利用されている.メタゲノム解析は環境中の微生物群集構造を明らかすることができるため,ヒト腸内環境解析だけではなく,土壌や海洋という環境サンプルに対しても同様の試みがなされている.このようなメタゲノム解析では高度な情報解析技術とデータベースを用いることにより,環境中にどのような細菌がどの程度存在しているか(系統組成),どのような遺伝子がどの程度存在しているか(機能組成),を明らかにすることができる.

「メタゲノム解析」と一般的に呼ばれる手法は従来二つに大別することができた.すなわち,1)16S rRNA遺伝子アンプリコン解析,2)ショットガンシーケンシングによるメタゲノム解析,の2種類である.近年ではこれに加え,3)シングルセル解析による菌の群集構造解析2)も加わった(表1).16S rRNA遺伝子アンプリコン解析は,単純に16S解析,16Sなどと呼ばれることが多い.この手法は便や土壌などから抽出された遺伝子群から原核細菌が固有に持つ16S rRNA遺伝子を特異的にPCRによって増幅させ,それをシーケンサーで配列決定する.16S rRNA遺伝子は高度に保存された領域と生物種やその近縁種で固有の可変領域が交互に現れる構造をしているため,保存領域を基にしたプライマーを設計することにより,可変領域の遺伝子配列を得ることができる.得られた16S rRNA遺伝子を既存のデータベースと比較することで,存在している細菌種を特定することが可能である.Illumina社が提供するショートリードのシーケンサーを用いる場合,16S rRNA遺伝子全体ではなく,V1-V2やV3-V4など,特定の可変領域の選択を用いるため,選択された可変領域によっては得られる細菌の群集構造に違いが生じる.別解析由来の結果を比較する際には,可変領域の確認が必須である.近年ではPacBio社やOxford Nanopore社が提供するロングリードシーケンサーを利用して,16S rRNA遺伝子全長をカバーする解析も登場している.

表1 微生物群集構造解析の方法論の特徴と利点
解析方法特徴利点制約
16S rRNA遺伝子解析細菌群集構造解析に広く使用されている.PCRによって遺伝子内の特定領域を増幅する低コストであり,多数のサンプルを同時に処理することができる.リファレンスとなるデータベースが充実している種レベルの解像度は低い.真菌やウイルスを含む非細菌/古細菌の微生物は検出できない.遺伝子機能は定量化できない
ショットガンシーケンシングサンプル内に含まれるDNA断片をPCRを経ずにシーケンスする.これにより,微生物群集の遺伝情報を網羅的に得ることができる種レベルまたはそれ以下の解像度で微生物群集の組成を評価できる.さらに,遺伝子の機能的特性や抗生物質耐性遺伝子などを検出することも可能高コストであり,大量のデータが生成されるため,データ解析は複雑で高度なコンピューティングリソースを必要とする
シングルセル解析個々の微生物細胞から直接ゲノム情報を得る細菌群集の中のそれぞれの細菌において,ゲノム情報を得ることができるため,特異的な役割と機能を理解するのに有用技術的な課題があり,すべての細菌から高品質のゲノムを取得するのは難しい

もう一つの手法としてあげることができるのがショットガンシーケンシングによるメタゲノム解析である.単純に「メタゲノム解析」という場合はこちらを指すことが多い.上記の16S rRNA解析とは異なり,PCRで特定の領域を選ぶことなく断片化された遺伝子配列をすべて読む.系統組成のみならず遺伝子組成を得ることができる非常に強力な手法ではあるが,遺伝子配列すべてをシーケンシングする必要があり,時間や試薬のコストがかかる.また,排出されるデータ量も膨大になるため,情報解析にかかる計算機コストも大きいことが問題である.また,16S rRNA遺伝子アンプリコン解析では主に属(genus)や種(species)までの解像度における解析が限度とされているが,メタゲノム解析では株(strain)までを対象とした解析を行うことも可能である.生物系統情報に加え,その遺伝子情報を利用することが可能であるため,特定の環境中に存在する遺伝子機能を推定することも可能である.

また,近年ではメタゲノム配列から直接微生物ゲノムを再構築する手法が開発され,培養困難な細菌においてもそのゲノム構造を明らかにすることができるようになってきた.このように,メタゲノムデータから再構築されたゲノムはMetagenomic Assembled Genomes(MAGs)と呼ばれている3, 4).MGnifyなどのデータベースにMAGsが格納されている.MAGsはメタゲノム配列がアセンブルされた後に得られるcontigのKmer頻度分布とカバレッジを利用してcontigをまとめる(binning)ことで再構築されている.これにより,培養が困難または不可能な微生物のゲノムについても研究することが可能となってきた.MAGsは多くの応用研究が可能であるが,メタゲノムから再構築されたゲノムであるため,ゲノムの完全性が低い場合が多く,CheckM5)などのゲノム構造の完全性や重複性を評価するツールを用いて検証されている.

3. ゲノムデータと代謝経路データベース

ショットガンメタゲノム解析において得られたメタゲノム配列を用いた遺伝子機能解析を行う場合,得られた遺伝子配列情報に対する機能アノテーションを行う.メタゲノム解析ではヒト便検体などの特定の環境中において,各遺伝子がどの程度の割合で存在しているか,という遺伝子相対存在量も計算することができる.そのため,疾患患者と健常者の腸内環境の比較などのように,サンプルを比較する際に,細菌組成だけではなく,詳細な遺伝子機能アノテーションは非常に重要な要素であり,遺伝子相対存在量の比較を行う際の結果解釈においてはなくてはならない.

遺伝子機能アノテーションはメタゲノム配列由来の遺伝子に対して行う.そのため,基本的には遺伝子配列の相同性検索を用い,既存の遺伝子にひもづけられた機能を割り当てる.遺伝子配列とその機能の割り当てはさまざまなデータベースが存在しており,またその機能アサインのためのツールも各データベースごとに用意されていることが多い.ここでは,メタゲノム解析における機能アノテーションによく用いられているデータベースとその関連ツールを紹介する.

1)KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)

KEGGデータベース6)では,現在ゲノムが公開されている生物種について,代謝パスウェイがそれぞれの生物種ごとに整理されている.パスウェイやオーソログ情報はマニュアルキュレーションがなされているのが特徴である.ユーザーは機能未知の遺伝子配列情報をKEGGデータベースに対して検索を行うことで,容易にその遺伝子が酵素遺伝子かどうか,そしてどのような代謝経路に対応しているかについて調べることが可能となっている.ゲノム解析やメタゲノム解析においては,得られた遺伝子すべてに対してKEGGデータベースへの検索を用い遺伝子機能アノテーションを行う例が多い.KEGGに登録されている遺伝子に対して直接相同性検索をして遺伝子アノテーションをすることも可能であるが,KEGGには以下のアノテーションツールが準備されている.

  • BLAST Koala7):任意のアミノ酸配列を入力として,KEGGデータベースにBLAST検索を行うことでKEGGデータベースの既知の遺伝子と比較してアノテーションをつける.
  • Ghost Koala:任意のアミノ酸配列に対してGhostx検索を用いてアノテーションをつける.BLAST Koalaと比較して高速に実行することができる.

このようなゲノム配列に対するアノテーションの手法はメタゲノム解析から得られる細菌群集に対しても用いられている.

2)eggNOG(evolutionary genealogy of genes:Non-supervised Orthologous Groups)データベース

eggNOG8)は,オーソログ遺伝子を網羅的に定義したデータベースであり,それぞれのオーソロググループに機能アノテーションがなされている.ユーザーは任意のアミノ酸配列に対して,eggNOG上にて定義されたオーソログ遺伝子グループに対応させることで,遺伝子機能を推定することができる.KEGGと同様に,eggNOG mapperというツールが提供されている.HMMERとDIAMONDを基盤とした配列検索が実装されており,ユーザーはアミノ酸配列,塩基配列双方を用いて遺伝子機能の推定が可能である.

3)Rhea

専門家によってキュレーションされた生化学反応の包括的なデータベースであり,酵素反応の機能アノテーションに加えて,反応を組み合わせた代謝ネットワークとしても記述されている9).化合物IDはChEBIのオントロジーを利用して記述されている.酵素反応は文献情報や他の公開データベース(KEGGやUniProt)へのリンクを含む.その情報の豊富さから近年多く用いられている.

4)CAZy(Carbohydrate-Active enZYmes Database)

CAZy10)は糖質活性酵素(CAZymes)の包括的なデータベースである.CAZymesは特にヒト腸内環境において重要な酵素群であり,腸管上皮のムチン分解に関わる微生物由来の酵素など,腸内細菌と疾患との関連において重要な役割を担う関連遺伝子もCAZymeの一つとして報告されている.CAZyデータベースではこれらの酵素が糖質と相互作用する方法に関する詳細な機能がデータベース化されている.

CAZyではCAZymesを構造的な特徴と機能的な特性に基づいて次の六つのファミリーに分類している.すなわち,

  1. 1グリコシダーゼ(GH)
  2. 2グリコシルトランスフェラーゼ(GT)
  3. ポリサッカライドリアーゼ(PL)
  4. カルボヒドラーゼエステラーゼ(CE)
  5. オキシダーゼ/還元酵素(AA)
  6. グリコシルトランスフェラーゼ2(GT2)

CAZYへのアノテーションはdbCAN11, 12)というツールを用いて行うことが可能である.dbCANは,入力としてFASTA形式の遺伝子配列,アミノ酸配列を受け取り,それぞれに対してHMMERやDIAMONDでの検索を利用してCAZymesのIDをアサインすることができる.

4. Enteropathway:腸内環境の網羅的代謝機能データベース

1)データベース構築とwebアプリケーション

これまでのゲノム解析同様に,メタゲノム解析においても,その遺伝子の機能アノテーションにはKEGGデータベースなどが利用される場合が多い.ヒト腸管内には無数の細菌が群集構造を形成しており,それらの細菌が担うヒト腸内環境固有の反応経路が存在している.腸管内に曝露されるすべての化合物は腸内細菌の餌となる可能性がある.わが国でも古くから腸内微生物研究が進められており,これまで多くの反応が報告されている.

ビタミンの合成経路や食物繊維の分解による短鎖脂肪酸の生成など,宿主であるヒトへ直接的な影響を与える化合物を腸内細菌が生成している例も多く報告されている13).疾患と直接関与する代謝経路としては,Clostridiumなどのグラム陽性菌の一種が,胆汁酸から生成するデオキシコール酸が肝がん発症の原因となっているという報告がなされている14)など,腸内細菌による化合物代謝経路は特定の疾病を引き起こす重要な要素になっている(表25)

表2 腸内細菌による代表的な代謝経路
腸内における代謝経路概要論文
リノレン酸代謝経路Bifidobacterium breveRoseburia hominisなどの複数の細菌種がこの代謝系に関与していることが報告されている(McIntosh et al. 2009)17)
センノシドA代謝経路Bifidobacterium dentiumなどのガラクトシダーゼにより,sennosidesが代謝される.代謝物質であるrheinanthroneに下剤としての薬効がある(Akao et al. 1994)18)
チロシン代謝経路フェノール類は,発がん性への関与が疑われる(Bone, Tamm, and Hill 1976)19)
コリン酸代謝経路胆汁酸からの二次胆汁酸合成経路(Ridlon, Kang, and Hylemon 2006)20)
エンテロラクトン生合成経路食品中に含まれる植物性のリグナンを,エンテロラクトンに変換している.大腸がんや糖尿病の抑制に効果があるといわれている(Clavel et al. 2007)21)
TMA生合成経路この産物であるTMAはヒト体内でさらに変換され,心疾患の原因となっている(Wang et al. 2011)22)

このような複雑な代謝経路についての情報はさまざまな論文で個別に報告されているが,大規模データが得られた際に一元的にどのようなパスウェイが存在しているかを確認できるような整備されたデータベースが存在していない.

我々のグループではそれらの代謝経路を文献や教科書などを参考にまとめることで,大規模データ解析の際に利用できるパスウェイデータベースであるEnteropathwayデータベースの構築を行っている.現時点で腸内細菌叢に特異的な代謝経路を837例,3460の酵素反応,3121の代謝物質を蓄積している.ユーザーはKEGG KOやUniProtなど,さまざまな遺伝子IDやタンパク質IDを入力情報としてEneropathwayに情報をマッピングすることができる(図1).既存のデータベースでは網羅されていない腸内環境に特化した反応経路を網羅しているため,Enteropathwayを用いることでさらに多くの機能特性をマッピングすることができると考えられる.単純なマッピングだけではなく,統計解析のためのwebアプリケーションとしてEnrichment解析を実装しており,ユーザーは入力情報として与えた遺伝子のリストがどの代謝経路に有意に多く出現するかという統計情報を得ることができる.データマッピングにおいてはAPI(Application Programming Interface)が実装されており,マッピングの自動化を行うことができる.既存のツールの機能アノテーションとして組み込むことも可能である.

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図1 WebアプリケーションとしてのEnteropathway

左はEnteroPathwayの一部.ユーザーは右表に記載のさまざまなデータベースIDをクエリとしてEnteroPathwayにマッピングすることができる.

2)応用事例

ここでは,Enteropathwayと公開データ15)を用いた解析事例を示す.腸内細菌叢は,免疫系や病原体感染に対する抵抗力を制御することにより,老化に関連した健康の調節因子としての役割を担っている16).最近の研究では,二次胆汁酸,特にOdoribacteraceae株が産生するisoalloLCA(イソアロリトコール酸)が,年齢区分Older(85~89歳)およびYoung(21~55歳)に比べてCentenarian(100歳以上)で豊富に含まれていることが明らかにされた.IsoalloLCAは,Clostridium difficileなどの有害な腸内細菌を死滅させることで,病原体の感染リスクを低減させる可能性がある.しかし,ヒトの腸内細菌叢のデータベースや可視化プラットフォームがないため,包括的なパスウェイ上のCentenarian特有の遺伝子や代謝物を特定し可視化するには至っていない.Enteropathwayは胆汁酸代謝を含むさまざまな代謝経路を網羅しており,新たな生物学的知見を見いだす可能性がある.そこで,Centenarianコホート研究から得られたメタゲノムおよびメタボロームデータセットを解析し,Enteropathway上にマッピングを行った.まず,これらのデータセットをダウンロードし,KO(KEGG Orthology),EC(Enzyme Commission number),代謝物質プロファイルを取得した.次に,CentenarianとOlder・Youngの間でKO, EC,代謝物の存在量を比較し,Centenarian特有の反応や代謝物を特定した.その結果,3884個のKO,1812個のEC,37個の代謝物がCentenarianで存在量に有意差があった(Q<0.1).Enrichment解析の結果,Centenarian特有の代謝経路を特定した.中でも,TMA(trimethylamine)生合成のEPM0671は,Centenarianで特に多く存在していていた(Q=7.37×10−5).このTMAは,老化関連代謝物として知られるTMAO(trimethylamine N-oxide)の前駆体である.また,Centenarian特有の胆汁酸代謝経路に着目した結果,反応経路上流と下流で異なるパターンが観察された(図2右).経路上流では,GCA(Glycocholate),TCA(Taurocholate)などの一次胆汁酸やその反応がCentenarianで減少していることが推測された.一方,下流では,DCA(デオキシコール酸),LCA(リトコール酸),isoLCA(イソリトコール酸),alloLCA(アロリトコール酸),isoalloLCAなどの二次胆汁酸およびその反応がCentenarianに豊富に存在していることが示唆された.

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図2 Centenarian特有の腸内環境代謝経路

Shiroma, H., et al. (2023) bioRxiv.,06.28.546710より引用.

ここではCentenarian特有の経路をさまざまな角度から可視化し,その特徴を捉えることができた.

このように,Enteropathwayの豊富な遺伝子機能アノテーション情報を用いることにより,より詳細な機能推定を行うことが可能である.

5. おわりに

腸内環境解析由来のメタゲノムデータは今後ますます蓄積されていく.そのような中において,その遺伝子アノテーションは,得られたメタゲノムデータを解釈する際に欠かすことができない.増加するメタゲノムデータをカバーするには,継続的なデータベースの拡張が必要である.

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著者紹介Author Profile

城間 博紹(しろま ひろつぐ)

沖縄科学技術大学院大学統合オープンシステムユニット.博士(理学).

略歴

2016年沖縄工業高等専門学校専攻科卒業.22年東京工業大学生命理工学院にて博士号を取得.同年より沖縄科学技術大学院大学統合オープンシステムユニットPostdoctoral Scholar,現在に至る.

研究テーマと抱負

バイオインフォマティクス,メタゲノム,ヒト腸内細菌の実験と解析の自動化.

趣味

プログラミング,筋トレ.

山田 拓司(やまだ たくじ)

東京工業大学生命理工学院 准教授.株式会社メタジェン 取締役副社長CTO.メタジェンセラピューシクス株式会社 最高科学顧問.株式会社digzyme CSO.博士(理学).

略歴

2006年京都大学大学院理学研究科博士課程修了.博士(理学).京都大学化学研究所特任助手,欧州分子生物学研究所研究員,東京工業大学大学院生命理工学研究科講師を経て,16年より東京工業大学生命理工学院生命理工学系准教授.15年には株式会社メタジェンを共同設立,同社取締役副社長CTOを兼任.20年にメタジェンセラピューティクス株式会社を共同創業.専門は生命情報科学.

研究テーマと抱負

ヒト腸内に共生する細菌群集が織りなす代謝経路のデータベース化を通じて代謝産物を介したヒトと腸内細菌の相互作用の解明を目指す.

ウェブサイト

https://comp.bio.titech.ac.jp/

趣味

石集め.

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