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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(4): 498-508 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950498

総説Review

D-セリンによる生体機能調節Physiological functions of D-serine

富山大学学術研究部医学系医学部分子神経科学講座Professor of Department of Molecular Neuroscience, Faculty of Medicine, University of Toyama ◇ 〒930–0194 富山県富山市杉谷2630番地 医薬イノベーションセンター3階 ◇ Sugitani 2630, Toyama 930–0194, Japan

発行日:2023年8月25日Published: August 25, 2023
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地球上の生物は,タンパク質合成にL型アミノ酸のみを使い鏡像異性体のD型アミノ酸は使わない.D型アミノ酸のうちD-Serは,セリン異性化酵素(SRR)によって作られ脳内に豊富に存在している.哺乳類で神経伝達,神経可塑性,脳高次機能,神経精神疾患などのさまざまな場面に中心的に関わるNMDA型グルタミン酸受容体(NMDAR)は,D-Serによって活性が制御されている.SRR/D-Ser/NMDARからなる生体情報伝達システムは進化的にも保存され,さまざまな生物の臓器で機能制御に関わっている.またこのシステムの異常は多くの疾患にも関わっていることから創薬の標的としても重要である.

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