Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(5): 579-593 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950579

総説Review

ERKシグナル伝達ネットワークと疾患ERK signaling pathway and human diseases

東京大学医科学研究所分子シグナル制御分野Division of Cell Signaling and Molecular Medicine, Institute of Medical Science, The University of Tokyo ◇ 〒108–8639 東京都港区白金台4–6–1 ◇ 4–6–1 Shirokanedai, Minato-ku, Tokyo 108-8639, Japan

発行日:2023年10月25日Published: October 25, 2023
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ERKを中心とする生体内情報伝達ネットワークは,さまざまな遺伝子の発現を正・負に調節することで,細胞運命決定や免疫応答の制御に本質的な役割を果たしている.また,その破綻ががんや感染症などの病因・病態にも深く関与する.近年,ERK経路の新たな制御メカニズムとして,多彩な翻訳後修飾や遺伝子発現を介したネガティブ・フィードバック機構などの存在が見いだされるとともに,これらを介したERKシグナルの強度と活性持続時間の厳密な調節が,生体の恒常性維持に重要であることが明らかにされてきた.さらに最近,がんのみならず発生異常を特徴とする遺伝性疾患RASopathyにおいても本経路構成因子の遺伝子変異が多数同定され注目を集めている.本稿ではERK経路の制御機構と生理機能,およびその破綻がもたらす疾患に関する最新の知見を概説する.

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