薬剤依存的にプロテアソームにより分解されるタンパク質のための新技術
愛媛大学プロテオサイエンスセンター ◇ 〒790–8577 愛媛県松山市文京町3
発行日:2023年12月25日
プロテアソームはユビキチン化されたタンパク質を分解する細胞内の機能構造体である.サリドマイドやその誘導体は,多発性骨髄腫などの血液がんにおけるキラードラッグとして利用されている.2014年,サリドマイドはイカロスやアイオロスといった血球分化を制御する転写因子を特異的に分解誘導する“分子のり”として機能することが報告された.さらに,サリドマイド誘導体のようなE3ユビキチンリガーゼバインダーと標的タンパク質に結合する標的バインダーを化学的に結合したPROTAC(proteolysis targeting chimera)が開発された.現在,分子のりやPROTACはタンパク質分解誘導剤と呼ばれ,ユビキチン-プロテアソーム系を利用した新たな薬剤デザインコンセプトとして注目されている.本稿では,サリドマイドの副作用機構を例とした分子のり機構の概要と,我々が開発したタンパク質分解誘導剤の新たな解析技術を紹介する.
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