Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(6): 736-746 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950736

特集Special Review

薬剤依存的にプロテアソームにより分解されるタンパク質のための新技術New technology for analysis of drug-dependently degraded proteins by proteasome

愛媛大学プロテオサイエンスセンターProteo-Science Center, Ehime University ◇ 〒790–8577 愛媛県松山市文京町3 ◇ 3 Bunkyo-cho, Matsuyama, Ehime 790–8577, Japan

発行日:2023年12月25日Published: December 25, 2023
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プロテアソームはユビキチン化されたタンパク質を分解する細胞内の機能構造体である.サリドマイドやその誘導体は,多発性骨髄腫などの血液がんにおけるキラードラッグとして利用されている.2014年,サリドマイドはイカロスやアイオロスといった血球分化を制御する転写因子を特異的に分解誘導する“分子のり”として機能することが報告された.さらに,サリドマイド誘導体のようなE3ユビキチンリガーゼバインダーと標的タンパク質に結合する標的バインダーを化学的に結合したPROTAC(proteolysis targeting chimera)が開発された.現在,分子のりやPROTACはタンパク質分解誘導剤と呼ばれ,ユビキチン-プロテアソーム系を利用した新たな薬剤デザインコンセプトとして注目されている.本稿では,サリドマイドの副作用機構を例とした分子のり機構の概要と,我々が開発したタンパク質分解誘導剤の新たな解析技術を紹介する.

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