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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(6): 775-783 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950775

特集Special Review

小胞体–核の機能連携をつかさどる膜貫通型転写因子OASISRegulation of functional communication between endoplasmic reticulum and nucleus by transmembrane transcription factor OASIS

広島大学大学院医系科学研究科分子細胞情報学Department of Biochemistry, Institute of Biomedical & Health Sciences, Hiroshima University ◇ 〒734–8553 広島県広島市南区霞1–2–3 ◇ Kasumi 1–2–3, Minami-ku, Hiroshima City, Hiroshima 734–8553, Japan

発行日:2023年12月25日Published: December 25, 2023
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物理的な負荷やDNA損傷は核膜構成分子の品質劣化や変性を誘導し,核膜構造の崩壊や核輸送破綻を招く.このような核機能の低下を誘発するストレスを“核膜ストレス”と呼ぶ.小胞体に局在する膜貫通型転写因子OASISはDNA損傷などをはじめとする一連の核膜ストレスが発生すると速やかに核膜破綻部に集積し,その修復に寄与する.一方で転写因子として活性化したOASISは細胞周期抑制因子p21の転写を促進する.このOASISを起点とする一連の核膜ストレス応答は細胞をDNA損傷などから保護するとともに,そのシステム破綻は細胞がん化に直結する.本稿では核膜ストレスという核のイベントに応答して活性化する小胞体局在分子OASISを基軸とする応答シグナルの概略を示し,その機能不全によって引き起こされる疾患などについて概説する.

1. はじめに

真核細胞には膜構造で隔離された細胞小器官(オルガネラ)の区画が存在している.個々のオルガネラは構造的あるいは機能的に連携しながら適切な機能を発揮し,化学反応と生命現象を制御している.細胞質に網を張り巡らすように存在する小胞体はこのようなオルガネラコミュニケーションの中心に位置している.小胞体は分泌タンパク質や膜タンパク質の合成と修飾を担うのみならず,脂質合成やカルシウムイオンの貯蔵と放出を制御する場でもあり,その多彩な物質や情報は細胞内小胞輸送や膜どうしの接触によって,間接的・直接的に各オルガネラへと提供される1).特に核は連結された膜構造によって小胞体と直接結合しており,両オルガネラ間には密なクロストークが存在することが強く示唆される.

2. 核膜構造とその破綻

核を細胞質と隔てる核膜(nuclear envelope:NE)は,2枚の脂質二重膜(内膜および外膜),核膜孔,核ラミナの三つのコンポーネントから構成されている2).核膜には,染色体の格納場所として細胞質と境界を形成する役割に加え,核膜を貫通して存在する核膜孔を介する選択的な物質輸送制御や,高次クロマチン構造の足場として機能することによる染色体構造の制御とそれに伴う遺伝子の転写調節など多彩な機能が備わっている.核外膜は小胞体膜と連続した構造を持っている.核内膜の直下は中間径フィラメントの一種であるラミンのメッシュワークからなる核ラミナが形成されている3).ラミンはAタイプ(ラミンAおよびラミンC)とBタイプ(ラミンB1およびB2)から構成されている.Aタイプのラミンは単一遺伝子LMNAのスプライシング変異体だが,ラミンB1とラミンB2はそれぞれLMNB1とLMNB2によってコードされている4).核ラミナは内膜の機械的支持のために重要な構造体である.そして近年では構造支持の他にも多様な働きがあることがわかってきた.すなわち高次クロマチンおよびさまざまな核タンパク質との相互作用によって,遺伝子発現の制御や細胞質内細胞骨格との間接的なつながりを介した核内–細胞質間の情報交換を担う場である5, 6).核骨格および細胞骨格のリンカー複合体(LINC)は,Sad1/UNC-84(SUN)およびKlarsicht/ANC-1/Syne-1相同性(KASH)ドメインタンパク質で構成されている7).SUNドメインタンパク質は核内膜を貫通するタンパク質であり,ラミンと相互作用する.KASHドメインタンパク質は核外膜を貫通するタンパク質であり,細胞質内のアクチンフィラメントや微小管,中間フィラメントなどの細胞骨格と会合する.LINC複合体の構造的な中心は核膜の内腔におけるSUNおよびKASHドメインの直接結合によって形成されており,細胞骨格に由来する物理的な力を核に伝達することができる8).核膜にはLAP2-emerin-MAN1(LEM)ドメインを共有する複数のタンパク質も含まれており,これらはLEMタンパク質と総称される9).LEMタンパク質は核内のラミンおよびDNA結合タンパク質barrier-to-autointegration factor(BAF)と相互作用することで,クロマチン構造につなぎとめられている10).LEMタンパク質はその結合パートナーとなるタンパク質とともに,遺伝子発現の転写制御,有糸分裂後における核膜の再構築,破壊された核膜の修復に寄与する9, 11, 12).このように,核膜の構造と機能はさまざまな分子の相互作用によって維持されている(図1).一方で核膜タンパク質をコードするいくつかの遺伝子の変異は,総称して「核膜病」と呼ばれる一連の疾患の原因となる13, 14).たとえば,核ラミナの異常は細胞機能障害や疾患に直結する.ラミン変異体の一種で,ラミンA遺伝子の点変異によって産生される異常なラミンA(progerin)は核内膜の直下で凝集することで核膜機能を破綻させ,ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(Hutchinson-Gilford progeria syndrome)と呼ばれる早老症を発症させる15, 16).本疾患は生後6~24か月で発達遅滞,脱毛,骨形成異常,強皮症などを示し,通常の5倍から10倍の速度で老化が進行し,平均13歳で冠動脈疾患や脳卒中によって死に至る.

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図1 核膜の構造と核膜を構成するタンパク質

核膜は内膜と外膜の二つの膜からなり,これを貫通する核膜孔が細胞質と核内の間における物質のやり取りを制御する.内膜の内側にはラミンA/CとラミンBからなる核ラミナ構造があり,内膜タンパク質やクロマチンと相互作用している.外膜にはKASHタンパク質と呼ばれるnesprinファミリーやKASH5が局在し,アクチンフィラメントや中間径フィラメント,微小管などの細胞骨格成分と結合する.外膜タンパク質と内膜タンパク質はそれぞれKASHドメインとSUNドメインを介した相互作用によってLINC複合体を形成している.内膜にはSUN1/2の他にもMAN1やemerin, LAP2などのLEMドメインタンパク質があり,これらはLEMドメインを介してBAFと結合し,さらにBAFはクロマチンと相互作用している.

3. 核膜ストレス

従来,この核膜は細胞周期の間期において安定な構造であると考えられてきた.しかし最近の研究で,狭い間隙を通過する際に加わる物理的負荷やウイルス感染などのさまざまな細胞ストレスが核膜の構造と機能を障害することが報告されてきた17–20).Di Miccoらは,この核膜の構造および機能破綻によって誘発されるストレスを「核膜ストレス(NE stress)」と定義した21).核膜ストレスに対する細胞の応答機構は完全に解明されていないが,核膜あるいはその相互作用因子の破綻や機能不全は,このストレスに関連するほとんどの細胞機能不全における前提となっている.核膜ストレスが生じた際の核膜構造の変化は主に四つのタイプがある(図2).それぞれ(1)lobulationやinvaginationなどの核膜変形,(2)核膜の一部が膨れ上がる核blebの形成,(3)核blebが完全に出芽することによる微小核の形成,(4)局所的な核膜破裂である22).これら構造異常は,細胞骨格の安定性の低下や核ラミナ構造の崩壊と構造的支持の喪失,ゲノムDNAが細胞質に露出することに伴うゲノム不安定性の増加と細胞死などにつながる23–25).核膜の破綻と核膜ストレスを誘発するために,狭窄チャネルを備えたmicrofluidデバイスや小孔を備えた多孔質の膜フィルターデバイス(transwell assay)および核膜へのレーザー照射などのin vitroシステムが開発されている11, 19, 20, 26).これらのシステムを活用した研究によって,核膜の修復や保護に関与する重要ないくつかの分子が特定されてきた.これらの因子には,すでに述べたBAFやLEMタンパク質をはじめ,CHMP7などのendosomal sorting complexes required for transport III(ESCRT III)複合体などがある12, 19, 20).BAFは細胞質に露出したDNAを認識することによって核膜破裂部位に蓄積し,LEMタンパク質をその破裂部位に集積させる.LEMタンパク質はさらにESCRT III複合体をリクルートすることで,破裂した核膜をシールし修復する27)

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図2 核膜ストレスによる核膜の構造・機能異常

細胞が核膜ストレスにさらされると,核膜の変形や核blebの形成,核blebの完全出芽による微小核の形成,局所的な核膜破裂が起こり,DNA不安定性の増加などを招く.

4. 核膜破綻や核膜ストレスに応答して誘導される小胞体膜局在転写因子OASIS

著者らは以前からアストロサイトで優勢的に発現する小胞体膜局在転写因子old astrocyte specifically induced substance(OASIS)に注目していた.OASISは小胞体ストレスに応答して転写因子として活性化することをすでに明らかにしている28, 29).すなわち小胞体ストレスを感知したOASISは2種類の膜局在プロテアーゼ(site 1 proteinase, site 2 proteinase)による2段階の膜内切断を受ける30)図3A, 3B).この膜内切断によって細胞質側にあたるN末端断片が膜から切り離される.OASISのN末端領域にはbasic leucine zipperタイプのDNA結合ドメインが含まれており,この断片が核内に移行して転写因子として機能する.OASISはアストロサイトの他に骨芽細胞や消化管粘膜上皮細胞でも発現しているが,その以外の細胞では比較的発現レベルが低い28, 29, 31, 32).著者らはこれまでの研究で,転写因子として活性化したOASISがこれら細胞の分化・成熟を制御していることを明らかにしてきた29, 31, 32).一方でOASISはその名称が示すとおり,もともとは長期培養によってDNA複製ストレスや細胞老化,細胞周期の停止が進行しているアストロサイトにおいてその発現が誘導されてくるタンパク質として見いだされた33).しかしながらこれらの現象においてOASISが果たす役割は不明だった.長期培養アストロサイトにおけるDNA複製ストレス,細胞老化,細胞周期の停止に共通する要因の一つにDNA損傷があげられる.そこでDNA損傷を与えた細胞におけるOASISの発現を調べた.マウスより採取した初代培養アストロサイトを抗がん剤として使用されているドキソルビシンやエトポシドで処理するとOASISの発現レベルは上昇し,転写因子として機能するN末端断片も増加した(図3C).この現象はアストロサイトをX線照射によって処理した際も観察された34).このことからOASISはDNA損傷に応答してその発現が誘導されることが明らかになった.その際の細胞内局在をみると,DNA損傷後に形成される核blebに強く集積することを見いだした.すでに述べたとおりOASISは通常の状態では小胞体膜に局在する.しかしDNA損傷ストレス後に核blebへの集積が認められたことからその局在をあらためて注意深く観察すると,興味深いことにOASISは小胞体膜と連続している核膜と思われる領域にも一部が局在していることがわかった28, 35).その局在は核ラミナの主要成分であるラミンA/Cと部分的に共局在していた.核blebは上述のように核膜ストレスが発生すると頻繁に観察される.一定量のOASISが核膜に局在しており,DNA損傷のような核膜ストレスを伴う現象に対してその発現や局在が著しく変化したことから,著者らはOASISが核膜ストレスの応答にきわめて重要な役割を担ったキー分子でないかと考えてさらに研究を進めた.

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図3 OASISはDNA損傷に応答して活性化し,p21の発現を誘導する

(A)ヒトOASISの構造.OASISは小胞体膜に局在する一回膜貫通型のタンパク質で,細胞質側にあたるN末端側にDNA結合ドメインであるbasic leucine zipper(bZIP)ドメインを持つ.(B) OASISは小胞体ストレスに応答してsite 1 proteinaseおよびsite 2 proteinaseによる段階的な膜内切断を受ける.膜から離れたN末端断片は核内に移行して転写因子として機能する.(C)マウス初代培養アストロサイトを用いたwestern blotting. DNA損傷を引き起こす抗がん剤ドキソルビシンでアストロサイトを処理すると,全長型OASISおよび転写因子として機能するN末端断片がともに増加する.OASISの増加と連動して細胞周期抑制因子p21の発現も増加するが,OASIS欠損細胞ではこの増加が抑制されている.

5. 核ラミナ崩壊部位へのOASISの集積

著者らは核膜ストレスの発生および応答の場として核ラミナ構造の変化に注目した.核ラミナ構造の構成成分であるラミンB1レベルが低下すると,核膜の脆弱化が誘導され,ラミンA/C局在の不連続化やクロマチンのヘルニア(内容物が飛び出した状態)を伴う核blebの形成として視覚化できることが報告されている36, 37).そこでラミンB1に対するshRNA(short hairpin RNA)が安定して発現されるHeLa細胞株を作製してshLMNB1細胞と名づけ,これを核膜ストレス解析のためのモデル細胞とした.この細胞ではラミンB1タンパク質の発現が約60%まで減少しており,約20%で核blebが観察された.shLMNB1細胞にmVenus-OASISを発現させてその局在を調べると,核blebの周縁部でmVenus-OASISの強いシグナルが検出された35).ラミンA/Cは,OASISが蓄積した核blebからほぼ完全に消失していた.つまりOASISとラミンA/Cは核blebの周縁部で相互排他的な局在パターン示していた.このような集積パターンは狭窄チャネルを備えたmicrofluidデバイスや小孔を備えた多孔質の膜フィルターデバイスを用いたtranswell assayによる通常細胞の実験系でも確認されており,一連の核膜ストレス誘導に共通した応答機構であることも確認している.すなわちOASISの集積は核ラミナ構造の破綻により誘導される事象であることがわかった.OASISは一連の核膜構造変化においてきわめて早い段階で反応し核blebに集積することから,核膜破綻の異常を察知して集積する核膜ストレスセンサーの働きを持っていることも示唆された.

OASISと同様に小胞体膜に局在するタンパク質であるHRD1は,mVenus-OASISの強いシグナルが観察される核bleb周縁部には集積しなかったことから,核blebにおけるOASISの蓄積は核blebが小胞体膜で包まれた結果ではないことが推測された.同様の結果はN末端にFlagタグを付加したOASIS(Flag-OASIS)でも観察された.OASISが集積しているこれら核blebの80%においてDAPIシグナルが検出された35).すなわちこのような核blebはクロマチンのヘルニアを伴うことも明らかになった.これらの結果は,核膜が損傷して核ラミナ構造が崩壊した領域にOASISが集積することを示している.すでに記述したとおり,OASISは小胞体ストレスに応答して膜貫通ドメインで膜内切断を受けることを明らかにしている.そこでN末端とC末端にそれぞれFlagとHAタグをつけたOASIS(Flag-OASIS-HA)発現させ,核膜崩壊部に蓄積するOASISが全長か切断型か明らかにすることを試みた.Flag-OASIS-HAをshLMNB1細胞に発現させて免疫蛍光染色を実施すると,FlagとHAのシグナルは核blebも含めてほぼ一致したことから,核膜崩壊部に集積しているOASISは全長型であることが示唆された.OASISと同様の活性化プロセスは,OASISファミリーと呼ばれるタンパク質で共通している38).そこで損傷した核膜への蓄積がOASISファミリータンパク質に共通する特徴であるかどうかを調べた.OASISファミリーに含まれる二つのタンパク質であるLumanとAIbZIPのN末端側にFlagあるいはMycタグを付加(Flag-Luman, Myc-AIbZIP)したコンストラクトをshLMNB1細胞に発現させ,その局在を調べた.mVenus-OASISあるいはFlag-OASISとは対照的に,Flag-LumanおよびMyc-AIbZIPは核bleb周縁部にほとんど蓄積しなかった35).このことは,OASISファミリータンパク質の中でもOASISが特異的に損傷を受けた核膜に蓄積することを示している.

6. 核ラミナ崩壊部位に集積するOASISの役割

それでは核膜破綻部に集積するOASISの役割は何だろうか.著者らはこれを明らかにするために,まず損傷した核膜でOASISと共局在する因子を同定することを試みた.Flag-OASISを発現するshLMNB1細胞においてさまざまな核膜タンパク質の局在を調べた.まず核膜孔複合体(nuclear pore complex:NPC)のシグナルはFlag-OASISが蓄積した核blebの周縁部ではほとんど検出されなかった.LINC複合体の構成成分で核内膜に局在するSUNドメインタンパク質および核外膜に局在するKASHドメインタンパク質についても同様にその局在を検証した.SUNドメインタンパク質の二つの主要な分子であるSUN1とSUN2の局在を調べるために,N末端側にMycタグを付加したSUN1およびSUN2をFlag-OASISとともにshLMNB1細胞に発現させた.興味深いことに,核blebにおけるSUN2とFlag-OASISの共局在は約90%の細胞で観察されたのに対し,SUN1の共局在率は全細胞の約5%にとどまった35).同様に,KASHドメインタンパク質の主要メンバーであるnesprin-2のN末端側にmScarlet-Iを付加してその局在を調べると,SUN2と同様にnesprin-2は約90%の核blebでFlag-OASISと共局在していた.さらにLEMドメインタンパク質とOASISとの関連も追究した.すでに述べたとおり,LEMドメインタンパク質はBAFと相互作用してESCRT III複合体を破綻した核膜部位にリクルートして核膜の修復を補助することが報告されている12, 19, 20).これらの因子が核blebでOASISと共局在するかどうか調べるために,GFP-BAF, LAP2β-GFP(LEMドメインタンパク質),GFP-MAN1(LEMドメインタンパク質)およびGFP-CHMP7(ESCRT III複合体の構成タンパク質)をFlag-OASISとともにshLMNB1細胞で発現させた.すると,GFP-BAFは細胞の約50%の核blebでOASISと共局在することを発見した35).さらにLAP2β-GFPおよびGFP-MAN1も同様に約50%の核blebでOASISと共局在した.GFP-CHMP7のシグナルも核blebの一部で粒状に集積していることがわかったが,この粒状のシグナルが観察されるのはOASISが局在する核blebのうち,約30%程度にとどまった.

さらにOASISが制御する核膜ストレス応答の生理学的な重要性を明らかにすることを試みた.膠芽腫細胞株であるU251MG細胞は,内在性のOASISをほとんど発現していない34, 35).このU251MG細胞を用いてN末端側にFlagを付加した全長型OASISを発現させ(U251MG-OASIS-FL),transwell assayによって核膜ストレスを誘発した.狭隘な孔を通過した後の核形態を観察すると,U251MG-OASIS-FL細胞は通常のU251MG細胞よりもいびつな形状の核をもつ細胞が少なく,円形を保っている核が多いことがわかった.核形態をより正確に評価するために,DAPI染色を使用して核の円形度とアスペクト比を測定すると,U251-OASIS-FL細胞の核は標準偏差が小さいことから核形態のばらつきが小さく,通常のU251MG細胞よりも高い円形度を示していた(図4).U251-OASIS-FL細胞の核アスペクト比も通常細胞と比較して低く,真円に近いことがわかった.さらに生理的条件下におけるOASISの役割を検証するために,OASIS野生型および欠損マウスより採取した初代培養アストロサイトを用いてtranswell assayを実施した35).OASIS欠損アストロサイトの核は野生型細胞の核と比較して,それぞれ低い円形度と高いアスペクト比を示した.transwell assayによる核blebの形成や核膜破裂はDNA損傷にもつながることがわかっている39–41).そこでOASISがこのassayによって引き起こされるDNA損傷に与える影響を検証した.DNA二本鎖切断のマーカーであるγH2AXによってDNA損傷を評価すると,OASIS欠損アストロサイトでは野生型アストロサイトと比較して,γH2AX陽性細胞割合が約2倍になることが明らかになった.以上より,OASISが核膜の形態維持とDNA損傷の抑制において重要な役割を果たしていることが示唆された.

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図4 U251MG細胞およびU251MG-OASIS-FL細胞の核形態評価

(A) U251MG細胞(左)およびU251MG-OASIS-FL細胞(右)をDAPIで染色した像.白線は核の輪郭を示す.Bar:5 µm. (B)(A)で示しているU251MG細胞およびU251MG-OASIS-FL細胞の核の真円度をImage J(Fiji)で計測したグラフ.数値は1に近いほど真円に近くなる.U251MG-OASIS-FL細胞の核の形態はU251MG細胞と比較してより真円に近い.(C)(A)で示しているU251MG細胞およびU251MG-OASIS-FL細胞の核のアスペクト比(長径/短径比)をImage J(Fiji)で計測したグラフ.Mean±S.D.,U251MG:N=756, U251MG-OASIS-FL:N=770, Student’s t-test ***P<0.001.

7. OASISの転写因子としての役割

核blebに局在するOASISは全長型である.それでは核膜ストレス発生時,OASISの転写因子としての活性化は起こっているのだろうか.実際に各種抗がん剤処理やX線照射によって核膜ストレスと連動して発生するDNA損傷を引き起こすと,初代培養アストロサイトにおいてOASISの全長型だけではなく転写因子として活性化するN末端断片も増加することはすでに述べた34).これは過度のDNA複製ストレス負荷によってDNA損傷が発生していると推測される長期培養アストロサイトでOASISの発現が上昇する知見とも一致する33).N末端断片が増加していることを考慮すると,OASISの転写因子としての機能も核膜ストレス応答に関わる可能性が考えられる.そこで核膜ストレスのモデルとしてDNA損傷に応答して活性化するOASISの転写ターゲットをRNA sequencing法により探索した.初代培養OASIS野生型および欠損アストロサイトを抗がん剤ドキソルビシンで処理したサンプルで遺伝子発現レベルを比較すると,細胞周期抑制因子の一つp21の発現がDNA損傷依存的にOASISによって転写誘導されることがわかった.実際にOASIS欠損アストロサイトをドキソルビシンで処理しても,p21の発現誘導が抑制されていることをwestern blottingでも確認できた34)図3C).このDNA損傷誘導時,野生型細胞では細胞増殖が抑制されることもBrdU-incorporation assayで明らかになったが,OASIS欠損細胞ではこの抑制がキャンセルされていた.一方で,p21はp53の直接的な転写ターゲットであることもよく知られている42).そこでOASISとp53によるp21の発現誘導にクロストークがあるか検討した.OASIS欠損アストロサイトをドキソルビシンで処理してもp53の発現上昇とその活性化型であるリン酸化フォームの増加は野生型細胞と同様に観察された.OASISの発現増加と膜内切断およびN末端断片の増加も,p53をノックダウンした後にDNA損傷を加えたアストロサイトで検出できた34).このことはOASISによるp21の発現誘導はp53非依存的であることを示している.

8. OASISの発現低下とがん化

p53は重要ながん抑制因子であることは証明されている43).このことは,p53のカウンターパートとしての働きを持つOASISもがん抑制因子としてのポテンシャルがあることを示唆している.また,がん細胞の転移・浸潤の際には核膜に物理的な負荷がかかり,核膜破綻とDNA損傷といった一連の核膜ストレスが発生していることも報告されていることから19, 20),細胞がん化と核膜ストレスのキー分子かもしれないOASISとの関連が強く疑われる.がんを引き起こす重大なゲノムの発現変化や変異をまとめている米国のThe Cancer Genome Atlas Program44–46)を用いてデータベース解析を実施すると,アストロサイト系統も含まれる神経膠腫患者において,OASISプロモーターの高メチル化を伴ってその発現レベルが極度に低下している患者が多数存在することがわかった34).このような傾向は,複数の膠芽腫細胞株でも認められた.このことから,OASISの発現低下などに起因する機能不全が細胞がん化に直結する可能性が示唆された.

それではOASISの発現を回復させることができれば,がん細胞の増殖を抑制することができるのだろうか.著者らは,OASIS発現の抑制を引き起こしている原因であることが疑われるOASISプロモーターの高メチル化に注目した.つまりこの高メチル化状態を解除することができればOASISの発現は回復し,p21の発現が誘導されてがん細胞の増殖を抑制することができるかもしれない.そこでエピゲノム編集技術の応用47)によってOASISプロモーターの特異的脱メチル化を試みた.すなわちDNA切断活性を持たない変異Cas9(dCas9),代表的な脱メチル化酵素ten-eleven translocation methylcytosine dioxygenase(TET1)およびOASISプロモーターを認識するガイドRNA(gRNA)を同時に発現するコンストラクト(OASIS-gRNA)を作製し,OASISプロモーターの特異的脱メチル化を試みた(図5).OASISプロモーター内で異なる認識配列を持つ3種類のgRNAをそれぞれ組み込んだコンストラクト(OASIS-gRNA-1, OASIS-gRNA-2, OASIS-gRNA-3)を作製し,p53変異型でOASISプロモーターの高メチル化とOASISの発現低下がみられた膠芽腫細胞株U251MG細胞に導入した.各細胞からゲノムDNAを抽出してbisulfite sequencing解析を実施すると,すべてのコンストラクトにおいてOASISプロモーターのメチル化レベルが有意に低下していた34).これらの細胞ではp53プロモーターのメチル化状態やその発現レベルに影響を与えることなくOASISおよびp21の発現が回復しており,BrdU-incorporation assayによって細胞増殖が抑制されていることも確認できた.さらにOASISプロモーター脱メチル化の効果をin vivoでも検証した.U251MG細胞を免疫不全マウスに異種間移植し,40日経過後にOASIS-gRNAコンストラクトをin vivo transfection試薬とともに腫瘍周辺に直接注射した.1度目の注射から5日後に2度目の注射を行い,さらに5日後に腫瘍サイズを確認すると,OASISプロモーターを認識するgRNAを発現するコンストラクトでは腫瘍の成長が明らかに抑制された34)図6).OASISプロモーターに特異性がないgRNAを発現するコンストラクトとOASISプロモーターを認識するgRNAを発現するコンストラクト(OASIS-gRNA)を注射した腫瘍を摘出して解析を実施すると,OASIS-gRNAを注射したコンストラクトでOASISプロモーターの脱メチル化(bisulfite sequencing),OASISおよびp21の発現回復(western blotting)が認められた.以上より,核膜ストレスと連動して発生するDNA損傷時,活性化したOASISはp21の発現をp53非依存的に誘導して膠芽腫細胞の増殖を抑制することがわかった.これはOASISを起点とする核膜ストレス応答の破綻が細胞がん化につながる可能性があること,OASISが膠芽腫をはじめとするがんに対する治療ターゲットとなりうることを示している.

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図5 エピゲノム編集技術を応用したOASISプロモーターの脱メチル化法

DNA切断活性を持たない変異Cas9, 代表的な脱メチル化酵素TET1, OASISプロモーター配列を認識するガイドRNA(gRNA)を同時に発現するコンストラクト(OASIS-gRNA)を作製し,これを導入することでOASISプロモーターに存在するメチル化シトシンの特異的脱メチル化を進行させる.

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図6 OASIS-gRNAコンストラクトの注射によって腫瘍の成長が抑制される

免疫不全マウスを用いた異種間移植実験.U251MG細胞を異種間移植し,40日および45日経過後にOASIS-gRNAコンストラクトをin vivo transfection試薬とともに腫瘍周辺に直接注射すると,腫瘍の成長が抑制される.上図の矢印は移植されたU251MG細胞を由来とする腫瘍.下図は2度目の注射から5日経過後に摘出した腫瘍.非特異的gRNA:non-targeting gRNAを発現するコンストラクト,OASIS-gRNA-1, OASIS-gRNA-2, OASIS-gRNA-3:OASISプロモーター内でそれぞれ異なる配列を認識するgRNAを発現するOASIS-gRNAコンストラクト.

9. おわりに

著者らは小胞体に局在するOASISが核膜ストレスという核におけるイベントに応答して活性化し,OASIS自身が核膜に移動する,もしくはシグナルを核内に発信することで核膜修復やDNA損傷抑制,細胞増殖を制御する新しいシステムを発見した.本システムの機能不全は細胞がん化などの疾患発症にも関わる可能性も示された.

OASISによる核膜修復機構の全貌を理解するためには,今後さらなる解析が必要である.NPCとSUN1はOASISが蓄積する核blebから消失しているのに対し,SUN2とnesprin-2はそれらの核blebでOASISと共局在していたことから,OASISがSUN2およびnespirn-2とともに特定の役割を果たす可能性がある.また,OASISは核膜破綻部でBAFやLEMドメインタンパク質およびESCRT III複合体を構成するCHMP7と共局在することも明らかにしたが,これら核膜修復因子群とOASISとの共局在率は,SUN2やnesprin-2と比較して明らかに低かったことは興味深い.このような違いは核膜ストレスに応じた各構成因子のダイナミクスによって説明できるかもしれない.SUN2やnesprin-2は核blebでOASISと安定的に結合して,核ラミナタンパク質が核膜構造を回復させるまでOASISを核膜に保持しているのかもしれない.対照的にBAF, LEMドメインタンパク質,CHMP7などの核膜修復因子群は重度に損傷した核膜にのみ集積して,修復が完了するとそれらの領域から解離することが指摘されており11, 12, 19, 20),結果としてOASISとこれら核膜修復因子群との共局在率は低くなるのかもしれない.

核膜ストレス時のOASISによるp21の発現誘導が持つ生理的意義も重要なポイントである.すでに述べたとおり,核膜ストレスや核膜破綻は多くの場合DNA損傷を伴う.OASISの転写因子としての機能は,p21の発現を誘導して細胞周期の進行を停止させ,損傷したDNAを持った細胞が増殖することを防ぐのかもしれない.これはDNAのエラー修復と全長型OASISによる核膜修復のための時間を作り出し,DNAと核膜構造および機能の恒常性を維持することに寄与する可能性がある.

本稿で紹介したOASISによる小胞体–核の機能連携という新たなオルガネラコミュニケーションは,いまだ全体像の解明に至っていない核膜ストレス応答を理解する上で重要な足がかりとなる.OASISが核膜に集積する機構や核膜を修復するメカニズムの詳細が明らかになることで,核膜ストレスと核膜病やがんの発症との関連もより明確になるとともにその治療戦略構築にもつながっていくことが期待できる.

謝辞Acknowledgments

本研究を遂行するにあたり,広島大学大学院医系科学研究科分子細胞情報学の皆様に多大なご助力をいただきましたことに深く感謝申し上げます.また,がん細胞株の異種間移植実験では徳島大学先端酵素学研究所 片桐豊雅教授にご協力いただき,がん研究に関する多くのアドバイスをいただきました.この場を借りて厚くお礼申し上げます.

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著者紹介Author Profile

齋藤 敦(さいとう あつし)

広島大学大学院医系科学研究科分子細胞情報学 准教授.博士(医学).

略歴

2010年宮崎大学大学院医学系研究科博士課程修了.10年同助教.10年広島大学大学院医歯薬学総合研究科助教.14年Washington University研究員.16年広島大学大学院医歯薬保健学研究院寄附講座准教授.20年より現職.

研究テーマと抱負

小胞体を中心とするオルガネラコミュニケーションの全貌解明.小胞体を基軸とする多彩な生命現象の解明に挑みながら,その破綻から疾患に至る一連の分子メカニズムも明らかにしていきたい.

ウェブサイト

https://home.hiroshima-u.ac.jp/imaizumi/

趣味

スポーツおよびスポーツ観戦(ジャンル問わず).

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