Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 95(6): 775-783 (2023)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950775

特集Special Review

小胞体–核の機能連携をつかさどる膜貫通型転写因子OASISRegulation of functional communication between endoplasmic reticulum and nucleus by transmembrane transcription factor OASIS

広島大学大学院医系科学研究科分子細胞情報学Department of Biochemistry, Institute of Biomedical & Health Sciences, Hiroshima University ◇ 〒734–8553 広島県広島市南区霞1–2–3 ◇ Kasumi 1–2–3, Minami-ku, Hiroshima City, Hiroshima 734–8553, Japan

発行日:2023年12月25日Published: December 25, 2023
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物理的な負荷やDNA損傷は核膜構成分子の品質劣化や変性を誘導し,核膜構造の崩壊や核輸送破綻を招く.このような核機能の低下を誘発するストレスを“核膜ストレス”と呼ぶ.小胞体に局在する膜貫通型転写因子OASISはDNA損傷などをはじめとする一連の核膜ストレスが発生すると速やかに核膜破綻部に集積し,その修復に寄与する.一方で転写因子として活性化したOASISは細胞周期抑制因子p21の転写を促進する.このOASISを起点とする一連の核膜ストレス応答は細胞をDNA損傷などから保護するとともに,そのシステム破綻は細胞がん化に直結する.本稿では核膜ストレスという核のイベントに応答して活性化する小胞体局在分子OASISを基軸とする応答シグナルの概略を示し,その機能不全によって引き起こされる疾患などについて概説する.

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