Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(1): 5-11 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960005

総説Review

血管内皮細胞老化と老化関連疾患の関わりA role of endothelial cell senescence in aging

京都府立医科大学長寿・地域疫学講座Department of Epidemiology for Longevity and Regional Health, Kyoto Prefectural University of Medicine ◇ 〒602–8566 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465 ◇ 465 Kajii, Kawaramchi-Hirokoji, Kamigyo, Kyoto 602–8566, Japan

発行日:2024年2月25日Published: February 25, 2024
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血管は全身をくまなく巡る人体で最長の器官である.「人は血管とともに老いる」といわれるように血管の老化と人の老化は密接に関わると考えられてきたが,その因果関係については不明な点が多かった.加齢に伴い,さまざまな臓器で血管密度が減少することが以前から知られていたが,最近の研究で血管密度の低下を予防したマウスでは加齢に伴う臓器障害が軽減し,寿命が延伸することが明らかとなった.しかしながら血管の老化が個体の老化や老化関連疾患の発症・進展にどのような影響を与えるかは意外なほど明らかとされていない.筆者らはすべての血管の内層を覆う血管内皮細胞の細胞老化と老化関連疾患の関わりについて研究を行ってきた.本稿では筆者らの研究成果を中心に,血管老化の老化関連疾患への影響とその分子機構について紹介する.

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