Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(1): 12-27 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960012

総説Review

体温調節の中枢機構Central mechanism of body temperature regulation

名古屋大学大学院医学系研究科統合生理学分野Department of Integrative Physiology, Nagoya University Graduate School of Medicine ◇ 〒466–8550 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65 ◇ 65 Tsurumai-cho, Showa-ku, Nagoya, Aichi 466–8550, Japan

発行日:2024年2月25日Published: February 25, 2024
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体温調節は動物の生命活動の基盤をなす最も重要な生体調節機能の一つである.恒温動物である哺乳類には褐色脂肪熱産生,ふるえ熱産生,皮膚血管調節などの自律性体温調節反応と暑熱・寒冷逃避行動などの行動性体温調節反応が備わる.これらの体温調節反応を制御するのは脳の神経回路であり,視索前野の体温調節中枢が深部体温や環境温度の情報を統合して,適切な調節司令を視床下部–延髄の遠心路を介して効果器へ出力する.この神経回路は体温を平熱域に維持しようとするだけでなく,感染,心理(天敵),飢餓などのさまざまな環境ストレスを受けた際には,それらに対抗すべく必要に応じて体温を平熱域から逸脱させる.本稿では哺乳類の体温調節を担う中枢神経回路メカニズムを提示し,その神経回路が環境ストレスから生命を守るために機能するメカニズムを解説する.

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