染色体工学技術:基礎研究・創薬研究のための超長鎖遺伝子操作技術
1 自然科学研究機構 生命創成探究センター 染色体工学研究グループ ◇ 〒444–8787 愛知県岡崎市明大寺町字東山5–1
2 鳥取大学医学部生命科学科染色体医工学講座 ◇ 〒683–8503 鳥取県米子市西町86
3 鳥取大学染色体工学センター ◇ 〒683–8503 鳥取県米子市西町86
発行日:2024年2月25日
生命の設計図であるゲノムは,染色体単位で複製し,分配・維持される.この染色体を維持する機構は,少なくとも脊椎動物細胞間で互換性があり,個々の染色体を微小核細胞融合法と呼ばれる精製・導入技術を用いて別種の細胞に付与できる.また,染色体維持に関わるテロメア・セントロメアの配列と,メガベーススケールの超長鎖ゲノム配列を,「移す・切る・つなぐ」染色体工学技術とを組み合わせることで,ヒトやマウス由来の人工染色体も作製できるようになった.そして,これらの人工染色体と染色体工学技術を駆使し,筋萎縮性側索硬化症や筋ジストロフィーに対する遺伝子治療法の開発や,ダウン症モデル動物,完全ヒト型抗体産生マウス等の作製にも成功している.本稿では,これらの基盤となった染色体工学技術と,基礎研究・創薬研究への応用について紹介する.
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