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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(2): 143-151 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960143

特集Special Review

硫酸化修飾が制御するコンホメーション病におけるグリコサミノグリカンの病態機能Pathological roles of glycosaminoglycans in conformational diseases regulated by sulfation modifications

1和歌山県立医科大学医学部生化学講座Department of Biochemistry, School of Medicine, Wakayama Medical University ◇ 〒641–8509 和歌山県和歌山市紀三井寺811–1 ◇ 811–1 Kimiidera, Wakayama 641–8509, Japan

2フランス国立科学研究センター・リール大学糖鎖生物学構造機能研究所Unité de Glycobiologie Structurale et Fonctionnelle, CNRS, UMR 8576, Université de Lille ◇ 〒59655 ヴィルヌーブダスク メンドレーウヴ通りC9棟(フランス) ◇ Bat C9, Avenue Mendeleiev 59655 Villeneuve-d’Ascq, France

発行日:2024年4月25日Published: April 25, 2024
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コンホメーション病は,ミスフォールディングしたタンパク質が形成する凝集体の細胞内外における沈着を要因とする疾患の総称であり,神経変性疾患やアミロイドーシスが代表的なものである.タンパク質は試験管内では単独で凝集するが,生体内におけるタンパク質凝集体の沈着物はさまざまなタンパク質性あるいは非タンパク質性成分を含む.硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)はタンパク質凝集体の種類によらず,コンホメーション病で共通する非タンパク質性成分である.GAGはほとんどすべての哺乳類器官に発現するヘテロ多糖であり,その硫酸化修飾の程度とパターンは特異的なGAG-リガンド相互作用の決定要因の一つである.本稿では,コンホメーション病における硫酸化GAGの病態機能について,最近の我々の知見に基づき概説する.

1. コンホメーション病

コンホメーション病はタンパク質の構造に何らかの異常が生じることを原因とする疾患の総称であり,細胞内外におけるタンパク質凝集体の異常な蓄積を特徴とする.タンパク質は通常,正常に折りたたまれ,生物学的に活性である構造をとっている.ポリペプチド鎖は天文学的な数の構造をとりうるが,タンパク質の正常な折りたたみ(フォールディング)は,より自由エネルギーの低い構造を追求した結果である1).タンパク質がうまくフォールディングできない場合,凝集を始めることになる.このような凝集は疾患に関連する一部のタンパク質に限られたものではなく,すべてのタンパク質に共通した性質である2).コンホメーション病では,このようなミスフォールディングに伴ったタンパク質の不溶性凝集体が脳,肝臓,脾臓といったさまざまな臓器に沈着する3–5).現在では50を超える疾患が何らかの異常なタンパク質凝集体の沈着を伴うことがわかってきている6)

コンホメーション病は神経変性を伴う病態とアミロイドーシスに大別できる.タンパク質凝集体が脳に沈着する神経変性を伴う病態にはハンチントン病や脊髄小脳変性症などのポリグルタミン病,α-シヌクレインが細胞質内封入体として蓄積するパーキンソン病,プリオン病,筋萎縮性側索硬化症,アルツハイマー病(AD)などが含まれる.アミロイドーシスはさらに,全身のさまざまな臓器にアミロイドが沈着する病態である全身性アミロイドーシス[免疫グロブリン性アミロイドーシス,続発性アミロイドーシス,トランスサイレチン(transthyretin:TTR)関連アミロイドーシス,透析アミロイドーシスなど],特定の臓器にのみ沈着が観察される限局性アミロイドーシス(膵ランゲルハンス島に膵島アミロイドポリペプチドが沈着する2型糖尿病内分泌性アミロイドーシスなど)に分類される6, 7).また,ADなどは脳にアミロイドβ(amyloid β:Aβ)凝集体が沈着するため,限局性脳Aβアミロイドーシスという見方もできる.

コンホメーション病で最も多い病態はアミロイドーシスである.アミロイド線維は,クロスβ構造,アミロイド結合性化合物への親和性など,アミロイドを形成するタンパク質(アミロイド前駆タンパク質)のアミノ酸配列に依存しない共通の性質を持つ.また,病理学的にはアミロイドはコンゴレッド染色で橙赤色に染まり,偏光顕微鏡下で緑色に強く輝く複屈折を呈する物質と定義される.アミロイドーシスはこのようなアミロイド線維が種々の臓器に沈着し,機能障害を引き起こす疾患群であり,ドイツの病理学者Virchowにより提唱された8).Virchowは慢性炎症疾患患者組織標本における蝋様変性がヨード染色により紫色に染まったことから,このような組織沈着物が多糖体であると考えた.そこで,デンプンを意味するラテン語“amylum”やギリシャ語“amylon”から,このような沈着物を「デンプン様物質」すなわち「アミロイド(amyloid)」と命名した.ただし,その後の研究により,アミロイドの主成分はタンパク質がナイロン様に重合して線維を形成したものであることがわかっている9).タンパク質は試験管内では単独でアミロイドを形成するが,生体内ではアミロイド線維が単独で沈着することはない.生体内におけるアミロイド沈着物には多くのタンパク質成分および非タンパク質成分が含まれるが,このような生体分子は生体内におけるタンパク質のミスフォールディングや凝集に大きく影響すると考えられる.たとえば,AD老人斑に含まれる糖脂質の一種,GM1ガングリオシドはAβの凝集に深く関わることが報告されている10).硫酸化グリコサミノグリカン(glycosaminoglycan:GAG)はアミロイドの種類によらず,ほぼすべての生体内におけるアミロイド沈着物に共通する非タンパク質成分である.本稿では,GAGの硫酸化修飾がどのようにコンホメーション病病態に寄与するかについて,筆者らの最近の知見を基に概説する.

2. グリコサミノグリカン

1)グリコサミノグリカンの分類

GAGは生体内のほぼすべての臓器/器官に存在する直鎖状の多糖である.通常,コアタンパク質と共有結合したプロテオグリカン型の形態で存在するが,ヒアルロン酸のみコアタンパク質を持たない遊離型の形態で存在する.プロテオグリカンの機能は器官形成,細胞接着,シグナル伝達,炎症,および腫瘍形成など多岐にわたるが,これらの多くはプロテオグリカンに結合しているGAG糖鎖とリガンドとの相互作用により制御される.GAGはグルクロン酸残基の異性化,ヘキソサミン残基のアミノ基や両糖残基のヒドロキシ基の硫酸化といった修飾を受けた二糖繰り返し単位からなる.構成二糖単位および修飾の違いによりヘパラン硫酸(heparan sulfate:HS)/ヘパリン,コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate:CS)/デルマタン硫酸,ケラタン硫酸(keratan sulfate:KS),ヒアルロン酸(非硫酸化GAG)に分類される(三上,北川の稿を参照).特に硫酸化修飾はGAG糖鎖とリガンド間の親和性の決定に重要である.1980年代にSnow, Kisilevskyらは続発性アミロイドーシスの実験モデルにおけるアミロイド沈着物にGAGが含まれていることを報告し11),GAGが生体内におけるアミロイド沈着物に共通する成分であるとの概念を提案した12).現在では,HS, CS, KSといった硫酸化GAGが種々の全身性アミロイドーシスや限局性アミロイドーシスにおけるアミロイド線維と共沈着していることがわかっている(表113, 14)

表1 コンホメーション病に関与する硫酸化グリコサミノグリカン
グリコサミノグリカンコンホメーション病
ヘパラン硫酸免疫グロブリン性アミロイドーシス
続発性アミロイドーシス
アルツハイマー病
海綿状脳症,クロイツフェルト・ヤコブ病
2型糖尿病
TTR関連アミロイドーシス
透析アミロイドーシス
パーキンソン病
p53変異がん
コンドロイチン硫酸免疫グロブリン性アミロイドーシス
続発性アミロイドーシス
透析アミロイドーシス
アルツハイマー病
ケラタン硫酸アルツハイマー病,筋萎縮性側索硬化症
ヘパラン硫酸やコンドロイチン硫酸はタンパク質凝集体とともに沈着する. ケラタン硫酸多硫酸化ドメインは一部の神経変性を伴うコンホメーション病病態下のミクログリアで発現が亢進する.

2)GAG糖鎖内におけるドメイン構造の形成

GAG糖鎖内部では異なる度合いの硫酸化修飾を受けたいくつかのドメインが形成される.たとえば,HSの主要な部分はウロン糖[イズロン酸(IdoA)またはグルクロン酸(GlcA)]とアミノ糖[グルコサミン(GlcN)]からなる二糖単位の繰り返しにより構成される.HSの合成は小胞体におけるコアタンパク質のセリン残基への四糖結合領域の付加で開始され,ゴルジ体では二糖単位の伸長と硫酸化修飾が行われる(三上,北川の稿を参照).硫酸基の付加は二糖単位のウロン糖残基の2位,およびアミノ糖の6位,3位,N位で起こるが,これにより生物学的活性を持ったドメイン構造の形成が可能となる.このような糖鎖の伸長や修飾に関わる糖転移反応や硫酸基転移反応はHSの機能を決定づけるため,厳密に制御されている.

HSの硫酸化修飾はゴルジ体局在酵素である硫酸転移酵素により行われる.特に6位の硫酸化はHSとリガンド,たとえば骨形成因子,線維芽細胞増殖因子,グリア細胞由来神経栄養因子および血管内皮増殖因子との相互作用の決定に重要である15).HS糖鎖の内部では硫酸化の度合いによりいくつかの異なるドメインが形成される.多硫酸化ドメイン(HS S-ドメイン)は2位,6位,N位が硫酸化されているIdoA2S-GlcNS6Sの二糖単位が2~8単位連続したものである(図1A16).HS S-ドメインは硫酸化されていないアミノ糖が主体のNA-ドメインにより分離され,トランジションドメインと呼ばれる比較的硫酸化程度の低いドメインが隣接する17, 18).また,細胞外スルファターゼSulf(Sulf-1およびSulf-2)はHS S-ドメインの6位硫酸基を選択的に脱硫酸化することにより,生合成されたHSを細胞外でリモデリングする酵素である.SulfはHS S-ドメインの細胞表面における発現を制御することにより,成長因子を含むさまざまなシグナル伝達を制御する19–24).また,組織/臓器特異的な硫酸化修飾パターンを持つHS発現様式に寄与する19, 25).したがって,HS S-ドメインは,生合成後細胞外においてさらに修飾を受ける非常に珍しい特徴を持つ硫酸化GAGサブドメインといえる.

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図1 硫酸化修飾の度合いとパターンによる硫酸化グリコサミノグリカンのドメイン構造の形成

(A)HS糖鎖内部では2, N,6位に硫酸基修飾を示す二糖が連続した多硫酸化ドメイン(HS S-ドメイン)が形成される.細胞外スルファターゼSulfはHS S-ドメインの6位を選択的に脱硫酸化する.(B)KS糖鎖内部にも特に硫酸化修飾が多い部位が存在する.5D4モノクローナル抗体で認識されるドメインは神経炎症下のミクログリアで誘導され,その発現にはGlcNAc6ST1/Chst2が必要である.

HS S-ドメインは当該ドメインを特異的に認識するファージディスプレイ一本鎖抗体を用いることにより,培養細胞,疾患モデルマウス組織やヒト病理検体で発現の解析が可能である26).筆者らはAD患者脳やADモデルマウス脳,遺伝性TTRアミロイドーシス患者の腎組織においてHS S-ドメインがアミロイドとともに沈着していることを報告した27, 28)

3)KS糖鎖内におけるドメイン構造の形成

HSやCSに加え,中枢神経系では比較的短い糖鎖としてKSも存在する.KSはガラクトースとN-アセチルグルコサミンの二糖繰り返し構造からなる.KSの各残基はC6位で硫酸化修飾され,KS糖鎖内でドメイン構造が構成される.たとえば,5D4モノクローナル抗体が認識するKSの比較的硫酸化度が高いドメインは,神経炎症誘導下のミクログリアにおいて発現が誘導される(図1B29).ただし,このようなKS糖鎖内のサブドメインはアミロイド沈着物の構成成分ではない点に注意されたい.

3. 硫酸化GAGとコンホメーション病

表1にまとめたように,生体内において,硫酸化GAGがさまざまなアミロイド沈着物の構成成分であることがわかってきている.本節では,アミロイド形成促進因子,アミロイドの受容体,神経炎症下におけるグリア系細胞の機能制御の点から,硫酸化GAGのコンホメーション病における病態機能について概説する.

1)アミロイド形成の促進因子としての硫酸化GAG

GAGとそのリガンド間の親和性はGAG糖鎖の硫酸基やカルボキシ基の負電荷とリガンド側の正電荷による静電的相互作用の寄与が大きい.したがって,GAG糖鎖の硫酸化修飾の度合いと空間的分布やパターンが生み出すGAG構造の多様性はプロテオグリカンの生物機能の決定に重要である.先に述べた成長因子などのリガンドに加え,硫酸化GAGはAβ,変異型アポリポタンパク質A1といったコンホメーション病に関連するタンパク質凝集体とµM程度のオーダーで親和性を有するが30, 31),これには凝集体側のカチオン性モチーフが重要である32–34).アミロイド形成タンパク質はその構造やアミノ酸配列において相同性を有することはないが,GAGに親和性を示す性質が共通であることを強く示唆する.したがって,HSやHS糖鎖内でも特に硫酸化度の高いHS S-ドメインとアミロイド形成タンパク質との相互作用はコンホメーション病病態に重要である.HSやHS S-ドメインの構造アナログであるヘパリンはさまざまなアミロイド形成タンパク質によるアミロイド形成を促進する13, 14).また,筆者らはヒトSulf-2(HSulf-2)を強制発現した細胞株の培養上清でヘパリンを処理することにより,ヘパリンからHS S-ドメインを選択的に除去する実験系を確立した28, 35).この実験系を用い,TTRのアミロイド形成がHS S-ドメインに依存することを報告した.HSやHS S-ドメインによるアミロイド形成促進のメカニズムとして,アミロイド形成の足場として働く機構が提唱されている.すなわち,HS/ヘパリンはタンパク質の,天然状態から部分的にミスフォールディングされてアミロイド形成性が亢進した状態への変換を促進する36).あるいは,HS/ヘパリンはアミロイド形成タンパク質の局所濃度や構造,配向性を変えることにより凝集の際の足場として働く(図237).ペプチド合成により作製したTTRフラグメントを用いた研究では,硫酸化GAG結合部位を持たないTTRフラグメントのアミロイド形成もヘパリンにより促進された28, 38).これは,部分的なミスフォールディングや低分子オリゴマーの形成によりモノマーの状態では存在しなかったGAG結合部位が出現し,その後のアミロイド形成がHS S-ドメイン依存的にヘパリンにより促進された可能性を示している.現在では,HS/ヘパリンはTTRに加えて多くのアミロイド形成タンパク質,たとえば,Aβ,血清アミロイドA(serum amyloid A:SAA),免疫グロブリン軽鎖,変異型アポリポタンパク質A1,異常型プリオンタンパク質などのアミロイド形成や沈着を促進することが知られている39–45).上記アミロイド形成タンパク質のうち,そのアミロイド形成にHS内の特定のドメインであるHS S-ドメインの関与が示されているものはTTRのみである.アミロイド形成におけるHS S-ドメインの機能について,今後のさらなる研究が期待される.また,硫酸化GAG内の負電荷に富んだ領域がアミロイド形成促進能に必要であることを利用した試みとして,Kisilevskyらがアニオン性のスルホン酸や硫酸エステルでHSとアミロイド形成タンパク質間の相互作用をブロックすることにより,in vivo, in vitroにおいてSAAやAβのアミロイド形成と沈着の軽減に成功している46)

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図2 硫酸化GAGがアミロイド線維形成の足場となる機構

HS S-ドメインなどの硫酸化度の高い糖鎖との相互作用により,タンパク質/モノマーの局所的な濃度上昇や部分的なミスフォールディングが引き起こされる.

2)アミロイドの受容体としての硫酸化GAG

先に述べたように,カチオン性のモチーフまたはクラスターを介したHSとの相互作用は多くのアミロイドに共通する性質である.したがって,細胞表面のHSはアミロイドが細胞に取り込まれる際,あるいは生物学的機能を発揮する際の受容体として機能する(図3).たとえば,HSは正常型プリオンタンパク質の細胞表面における主要な受容体であり,HS依存的な細胞による取り込みはその後の異常型プリオンへの変換に重要である47, 48).筆者らの報告により,HSはAβ, TTR線維,アポリポタンパク質A1線維が細胞に取り込まれる際の受容体として機能することがわかっており28, 31, 49),タウタンパク質やα-シヌクレインの凝集体の受容体としても働くことが報告されている50).これは細胞表面のHSがさまざまなタンパク質凝集体やアミロイドに共通する受容体である可能性を示唆している.アミロイド形成タンパク質やそれらの凝集体が取り込まれた後に経る過程は,タンパク質凝集体の種類やそれらを取り込んだ細胞の種類に依存する.HSを介して細胞に取り込まれたAβ,変異型アポリポタンパク質A1,変異型TTRのアミロイド線維はリソソームに運ばれて分解を受けるが,リソソームの分解能を超える量が取り込まれた場合,リソソームの破綻とそれに続くミトコンドリア機能障害が起こる31, 51, 52).また,アストロサイトに取り込まれたAβはリソソームを介した分解を受けるが,このような機構はAβのクリアランスに寄与していると考えられる49).近年,神経変性疾患患者脳で蓄積がみられる異常タンパク質が正常型の分子を異常型に変換しながら増殖し,細胞間を伝播することにより,脳内に広がる異常タンパク質の伝播の概念が注目されている53).HSを介した細胞による取り込みはタウタンパク質やα-シヌクレインの凝集体の伝播に必要である50)

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図3 硫酸化GAGはタンパク質凝集体の受容体として働く

細胞表面のHSと相互作用したタンパク質凝集体はエンドサイトーシスや飲作用により取り込まれる.取り込まれてからの運命はタンパク質凝集体と受け手細胞の種類による.通常リソソームにより分解を受けるが,取り込まれた量が多い場合,リソソームが破綻し,リソソーム膜の傷害と細胞傷害性のリソソーム成分の細胞質への漏出が起こる.また,詳細な経路は未解明であるが,エンドサイトーシスや飲作用により取り込まれたタンパク質凝集体は,それ自体が凝集核となることや細胞間を伝播することもある.

HSの3位の硫酸化は3-O-硫酸転移酵素HS3STが担う.ヒトの海馬で発現が確認されているHS3ST1からHS3ST5のうち,HS3ST4は加齢に伴い発現が上昇する54).神経変性を伴うコンホメーション病病態へのHS3STの関与が示唆されており55),その詳細な解析は今後の研究課題となっている.Sepulveda-Diazらは,HS3ST2が過剰にリン酸化された病原性タウの形成に重要であることを,第17染色体遺伝子に連鎖しパーキンソニズムを伴う家族性前頭側頭葉認知症発症の原因となるP301L変異型タウを発現する培養細胞とゼブラフィッシュモデルを用いて発見した56).一方,ごく最近,ZhaoらはHSの3位の硫酸化がHSを介したタウの細胞による取り込みを促進することを報告した57).しかしながら,HSの3位の硫酸化はまれな硫酸化修飾である.現在のところ,コンホメーション病に関連するタンパク質で3位の硫酸化修飾を特異的に認識することが確認されているものはタウだけであり58),他のコンホメーション病については不明である.同じグループの研究により,HSの2位ではなく6位がタウとHS糖鎖間の相互作用に必要であることがわかっており59),筆者らの報告と併せると,6位の硫酸化についてはコンホメーション病に関連するアミロイド形成タンパク質とHS間の相互作用の共通する決定因子としての機能が示唆される.

3)神経炎症誘導下におけるグリア細胞機能の制御

KS糖鎖内のC6位における硫酸化反応はGlcNAc/Gal/GalNAc硫酸転移酵素により触媒される.内村らが発見したChst2遺伝子によりコードされるGlcNAc-6-硫酸転移酵素-1(GlcNAc6ST-1)は,脳で発現が認められる硫酸基転移酵素の一つであり,ADモデルマウスのミクログリアで発現が上昇する“神経変性関連遺伝子”の一つである60, 61).筋萎縮性側索硬化症やADなど神経変性を伴うコンホメーション病脳内のミクログリアでは5D4陽性KSの発現が誘導されるが,それにはGlcNAc6ST-1が必要である62, 63).筆者らは5D4モノクローナル抗体を用い,筋萎縮性側索硬化症(ALS)やAD患者脳とそのモデルマウス脳で5D4陽性KS多硫酸化ドメインの総発現量が上昇していること,特にミクログリアが5D4陽性KS多硫酸化ドメインを強く発現していることを報告した62, 63).また,GlcNAc6ST-1遺伝子が欠損したADモデルマウスでは,脳Aβアミロイドーシスが大幅に軽減された.GlcNAc6ST-1遺伝子欠損マウスから得られた初代培養ミクログリアではAβ線維の貪食能や抗炎症性刺激に対する応答が亢進していたことから,5D4陽性KS多硫酸化ドメインはミクログリアの炎症性応答の制御に関わっていることが示唆された(図4).このような神経変性を伴うコンホメーション病病態下のミクログリアにおける5D4陽性KS糖鎖の誘導がタンパク質凝集体によるものか神経変性によるものかは現時点では不明であり,今後の解明が待たれる.

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図4 5D4陽性ケラタン硫酸多硫酸化ドメインによるミクログリア機能制御の例

AD患者脳やそのモデルマウス脳のミクログリアではGlcNAc6ST-1による5D4陽性KS多硫酸化ドメインの発現が上昇する.GlcNAc6ST-1を遺伝的に欠失させた5D4抗体陰性のミクログリアは陽性のものに比べてAβ線維の貪食能が高く,アミロイド斑の形成を抑制していると考えられる.しかしながら,KS多硫酸化ドメインによるミクログリア機能制御の分子機構はいまだ不明な点が多い.

4. p53変異がんと硫酸化GAGについて

がん抑制タンパク質p53はTP53遺伝子でコードされる転写活性因子であり,DNA傷害などの細胞ストレスやがん遺伝子シグナルなどに対する応答に重要である64)TP53遺伝子はヒトのがんで最も頻繁に変異がみられる遺伝子である.TP53遺伝子変異は,変異型p53タンパク質が正常に機能しなくなる機能喪失型変異と新規に発がん促進機能を獲得する機能獲得型変異に分類される65–67)

近年,野生型あるいは変異型p53タンパク質が試験管内でアミロイドを形成することが報告され68),後にがん細胞由来細胞株やヒトがん組織でも確認された69–71).このようなp53凝集体は他のコンホメーション病におけるアミロイドと共通する性質を持っており,2020年には国際アミロイドーシス学会によるアミロイド命名法においてもアミロイド形成タンパク質の一つとして言及された72).p53凝集体は異常型プリオンタンパク質等と同様に細胞間を伝播すると考えられる73)

TP53遺伝子が高い頻度でみられるがんは多いが,高異型度漿液性卵巣がん(high-grade serous ovarian cancer:HGSOC)は特にTP53遺伝子変異の頻度が高く,95%程度の症例で何らかのTP53遺伝子の異常がみられる.筆者らは先述のHS S-ドメインを特異的に認識するファージディスプレイ抗体を用い,HS S-ドメインがp53変異型HGSOCにおけるp53沈着物に含まれていることを報告した74).また,R248W変異型p53を発現するHGSOC由来細胞株が変異型p53凝集体を細胞外に放出することも明らかにした.病原性タウの一部は細胞表面のGAG依存的な非古典的経路により神経細胞から分泌されるが75),がん細胞からのp53凝集体分泌も少なくとも一部は非古典的経路で分泌された.がん細胞から細胞外に放出されたp53凝集体は,HS S-ドメイン依存的に近傍の細胞に取り込まれた後,その細胞からさらに細胞外に放出される.したがって,GAG,特にHS S-ドメインがp53凝集体の細胞間伝播を仲介する可能性が示唆された(図576).タンパク質凝集体の分泌と細胞による取り込みは異常タンパク質の伝播に必須の過程であるため,先に述べた報告と併せると,細胞表面のHSは少なくともタウ,α-シヌクレイン,p53の凝集体の伝播に共通する仲介因子であることが示唆される.

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図5 硫酸化GAGを介したp53凝集体の細胞間伝播モデル

変異型p53タンパク質を発現するがん細胞からは硫酸化GAGを介した非古典的経路によりp53凝集体が分泌される.硫酸化GAGの種類については,まだわかっていない.P53凝集体はHS S-ドメインを介して細胞により取り込まれ,受け手細胞側のアポトーシス誘導に関するp53の機能を損なわせる.また,取り込まれたp53凝集体は何らかの経路で再分泌される.

我々の研究では,野生型p53を発現する細胞ががん細胞由来p53凝集体を取り込むと,その正常なp53のアポトーシス誘導に関する機能が障害を受けることがわかった74).HGSOCではプラチナ製剤への耐性が治療上の問題になることが多いが,プラチナ製剤のがん細胞への細胞毒性は正常なp53タンパク質の機能を必要とする.p53凝集体を取り込んだ細胞ではプラチナ製剤に対する感受性が低下していた77).細胞質にp53凝集体が沈着したHGSOC症例はTP53遺伝子に異常があるHGSOC症例の中でも特に予後不良であるが77),そのメカニズムにはp53凝集体の受け手細胞に対する影響が関与しているのかもしれない.これらはp53凝集によるp53機能喪失によるものであるが,p53凝集により発がん促進機能を獲得する可能性も報告されている78)

硫酸化糖鎖やHS依存的に取り込まれたタンパク質凝集体がどのようにして細胞質内にあるタンパク質にアクセスするのかについては,よくわかっていない.タウ,α-シヌクレイン,アポリポタンパク質A1などの凝集体はエンドサイトーシスあるいは飲作用により細胞に取り込まれ,膜に損傷を引き起こすことによりエンドソームやピノソームから細胞質に漏出する可能性が示唆されている52, 79).しかしながら,p53凝集体はどのように細胞に取り込まれ,細胞質の正常なp53を凝集体にリクルートするのかは今のところ不明である.

5. 結語

本稿では,コンホメーション病病態における硫酸化GAGの役割について,特に硫酸化修飾の面から近年の研究成果を基に概説した.しかしながら,未解明の課題も数多く残されたままである.たとえば,5D4陽性KS糖鎖がどのようにしてミクログリアの機能を制御しているかはまだわかっていない.KSの硫酸化修飾によるミクログリア機能制御機構の解明はAD,筋萎縮性側索硬化症などミクログリアが病態に関与するさまざまな神経変性疾患の発症機序解明に貢献すると考えられる.また,p53凝集による発がん促進機能獲得機構も詳細は不明である.筆者らはp53の凝集によりある種の硫酸化糖鎖合成酵素の発現が影響を受けるデータを得ており(未発表),今後の研究の発展が期待される.KS, HSを含むプロテオグリカンの機能や組織/臓器分布はそのコアタンパク質にも依存する.硫酸化GAGの生合成,硫酸化修飾は各組織/臓器において厳密に制御されている.コアタンパク質の同定および硫酸化GAG合成酵素の病態における発現変化も今後の重要な検討課題である.

謝辞Acknowledgments

ここで紹介した研究をともに行いました長崎国際大学・安東由喜雄博士,前熊本大学・山下太郎博士,熊本大学・菰原義弘博士,藤原章雄博士,富山大学・水口峰之博士,京都薬科大学・斎藤博幸博士,和歌山県立医科大学・池﨑みどり博士,岩橋尚幸博士に感謝申し上げます.本稿の執筆にあたり科研費・若手研究(B),基盤研究(C),国際共同研究強化A (15K19488, 17K16123, 20K09605, 20KK0371), 鈴木謙三記念医科学応用研究財団,持田記念医学薬学振興財団,水谷糖質科学振興財団の支援を受けました.

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著者紹介Author Profile

西辻 和親(にしつじ かずちか)

和歌山県立医科大学医学部生化学講座 准教授.博士(医学).

略歴

2001年京都大学薬学部卒業,04年同大学院薬学研究科修士課程修了(製剤機能解析学・半田哲郎教授).08年大阪市立大学大学院医学研究科博士課程修了(脳神経科学・森啓教授).08~11年国立長寿医療研究センター研究所博士研究員(アルツハイマー病研究部・道川誠部長).13~17年徳島大学大学院医歯薬学研究部病態病理学分野助教,18年1~5月まで同疾患病理学分野助教.18年6月から和歌山県立医科大学医学部生化学講座講師,22年4月から現職.

研究テーマと抱負

脂質の物理化学から研究を始め,アルツハイマー病からアミロイドーシスと進めてきた.現在は,これまでコンホメーション病と思われていなかった疾患の病態をコンホメーション病の側面から解明することを目指している.

趣味

音楽演奏,鑑賞.

内村 健治(うちむら けんじ)

フランス国立科学研究センター(CNRS)研究ディレクター.博士(医学).

略歴

1999年名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了(第一生化学;村松喬教授).2001年より米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部解剖学免疫部門(Steven Rosen教授).日本学術振興会特別研究員DC1, PD, 海外特別研究員.06年より国立長寿医療研究センター研究所室長.11年より名古屋大学大学院医学研究科特任准教授(生物化学講座;門松健治教授).18年より現職(リール大学構造機能糖鎖生物学研究所).

研究テーマと抱負

神経組織および悪性腫瘍における免疫細胞機能を制御する硫酸化糖鎖の構造と機能.

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