Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(2): 207-214 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960207

特集Special Review

糖鎖バイオマーカーの新展開とレクチン治療New prospective for glyco-biomarkers and lectin therapy

大阪大学大学院医学系研究科生体病態情報科学講座分子生化学研究室Osaka University, Graduate School of Medicine, Department of Molecular Biochemistry and Clinical Investigation ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘1–7 ◇ 1–7 Yamada-oka, Suita, Osaka 565–0871, Japan

発行日:2024年4月25日Published: April 25, 2024
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本稿では,我々が長年研究を続けてきた糖鎖バイオマーカーであるフコシル化ハプトグロビンに関する研究を中心に概説し,次世代型糖鎖抗体(糖鎖とペプチドを同時に認識する抗体)の出現によってみえてきた新しい展開を紹介する.nativeな糖タンパク質を認識できる抗体の作製は予想どおり至難で,我々が作製した次世代型糖鎖抗体10-7G mAbは,糖鎖の構造変化に伴って出現した新たなエピトープを認識したものであったが,その抗体によってハプトグロビンの前駆体ががん患者の血中に存在することに気づいた.そして,10-7G値が新たながんバイオマーカーであることを見いだした.また,特定の糖鎖構造を捉えるレクチンは,糖鎖解析のツールとして用いるだけでなく,一部の疾患の治療薬に利用できるかもしれない.本稿ではコアフコースを認識するレクチンが秘める,B型肝炎ウイルスの新しい治療薬としての可能性に関しても言及する.

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