がん病態におけるANGPTL2シグナルの機能
熊本大学大学院生命科学研究部分子遺伝学講座 ◇ 〒860–8556 熊本県熊本市中央区本荘1–1–1
発行日:2024年4月25日
生体では,組織の損傷修復による恒常性維持機構が存在するが,その過剰応答や応答不全は,慢性炎症や不可逆的組織リモデリングを引き起こし,さまざまな疾患の発症・進展につながる.ANGPTL2は,その生理機能として,損傷修復による組織の恒常性維持に重要な役割を果たしているが,一方で,そのシグナル過剰状態は,慢性炎症や不可逆的組織リモデリングを引き起こし,生活習慣病やがんの発症・進展に寄与する.がん病態では,ANGPTL2による恒常性維持機構の過剰応答が,発がんやがん転移を促進する.さらに最近,抗腫瘍免疫に対して,がん細胞由来ANGPTL2は抑制的に作用するが,間質細胞由来ANGPTL2は促進的に作用することが明らかとなった.本稿では,がん病態におけるANGPTL2シグナルの機能について概説する.
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