腸内細菌叢とがん
大阪公立大学大学院医学研究科・病態生理学 ◇ 〒545–8585 大阪市阿倍野区旭町1–4–3
発行日:2024年6月25日
我々宿主と共生する腸内細菌はさまざまな生理作用を持ち,宿主のホメオスタシスを保っていることが示されている.しかし,ひとたび,そのバランスが崩れ,ディスバイオーシスが生じると,さまざまな病態につながることが明らかになってきた.本稿では,主に大腸がんと肝がんに焦点を当て,腸内細菌が関わるがんの発症や進展機構について述べる.具体的には大腸がんの発症につながる変異原性を持つ菌や抗腫瘍免疫の作用を変化させる腸内細菌種,肝がんについては,腸肝軸を介した腸内細菌が関わる肝がんの微小環境の変化と肝がん進展機構を紹介する.また,腸内細菌によるさまざまな免疫細胞への作用,そして,近年話題となっている腸内細菌により変化する免疫チェックポイント阻害剤の効果について,最近の論文内容を紹介し,実臨床の現状と将来の抗がん治療への期待について概説する.
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