Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(3): 348-354 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960348

総説Review

クロマチンタンパク質PHF6による造血幹細胞の制御Regulation of hematopoietic stem cell by chromatin protein, PHF6

島根大学医学部生化学講座Department of Biochemistry, Faculty of Medicine, Shimane University ◇ 〒693–0021 島根県出雲市塩冶町89-1 ◇ 89–1 Enya, Izumo, Shimane 693–0021, Japan

発行日:2024年6月25日Published: June 25, 2024
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造血幹細胞(hematopoietic stem cell:HSC)は正常血液細胞のみでなく,白血病の発生母地であり,白血病の発症頻度は加齢とともに増加する.クロマチンの構造変換を介した遺伝子発現制御は,細胞増殖と分化の制御に重要な役割を果たす.近年の白血病ゲノムのハイスループットシークエンス解析から,クロマチンタンパク質の高頻度の体細胞変異が見つかっている.このうち,TET2DNMT3AASXL1, PHF6などはHSCの機能制御に関わる因子であり,その機能欠失型変異は白血病を誘導しないものの,他の変異と協調的に働く.本稿では,我々が研究しているPHF6を中心として,クロマチンタンパク質によるHSCの機能制御と,その制御異常に起因する造血器腫瘍の発症について概説する.

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