クロマチンタンパク質PHF6による造血幹細胞の制御
島根大学医学部生化学講座 ◇ 〒693–0021 島根県出雲市塩冶町89-1
発行日:2024年6月25日
造血幹細胞(hematopoietic stem cell:HSC)は正常血液細胞のみでなく,白血病の発生母地であり,白血病の発症頻度は加齢とともに増加する.クロマチンの構造変換を介した遺伝子発現制御は,細胞増殖と分化の制御に重要な役割を果たす.近年の白血病ゲノムのハイスループットシークエンス解析から,クロマチンタンパク質の高頻度の体細胞変異が見つかっている.このうち,TET2,DNMT3A,ASXL1, PHF6などはHSCの機能制御に関わる因子であり,その機能欠失型変異は白血病を誘導しないものの,他の変異と協調的に働く.本稿では,我々が研究しているPHF6を中心として,クロマチンタンパク質によるHSCの機能制御と,その制御異常に起因する造血器腫瘍の発症について概説する.
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