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公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 96(4): 448-456 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960448

特集

セラミド構造の多様性によるスフィンゴ糖脂質の機能制御

1東北医科薬科大学分子生体膜研究所機能病態分子学教室 ◇ 〒981–8558 宮城県仙台市青葉区小松島4–4–1

2順天堂大学薬学部病態制御学分野 ◇ 〒279–0013 千葉県浦安市日の出6–8–1

3順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所 ◇ 〒279–0021 千葉県浦安市富岡2–1–1

4大阪大学大学院理学研究科フォアフロント研究センター ◇ 〒560–0043 大阪府豊中市待兼山町1–1

発行日:2024年8月25日
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スフィンゴ糖脂質には,糖鎖構造の違いに加えてセラミド構造の違いによる多様性により非常に多くの分子種が存在する.シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質であるガングリオシドは,上皮成長因子(EGF)やインスリン,レプチンなどの受容体とのシス相互作用により,それらのシグナルを制御している.一方で近年,ガングリオシドGM3のセラミド構造の違いに基づく多様な分子種が,Toll-like receptor 4(TLR4)の内因性リガンドとして自然免疫応答を正負両方向に制御すること,さらに,中性糖脂質のグロボシドや硫酸化糖脂質スルファチドもTLR4の活性化調節に関わることが見いだされている.ここでは,セラミド構造の多様性に基づくスフィンゴ糖脂質によるTLR4の機能制御について,最近の知見を交えながら概説する.

1. はじめに

スフィンゴ糖脂質は,親水性の糖鎖と疎水性の脂質部分からなる両親媒性の分子で,スフィンゴイド塩基と脂肪酸がアミド結合したセラミドに,さらに糖がグリコシド結合したものである.シアル酸を一つまたは複数含むものはガングリオシドと呼ばれる.スフィンゴ糖脂質は,生体にとって不可欠な膜構成成分としてさまざまな細胞機能の制御・調節に関わっている.各々のスフィンゴ糖脂質の発現は,細胞や臓器・組織によって特異的に制御されており,受容体機能,細胞増殖,がん化,炎症,免疫,感染などさまざまな生命現象や病気に関わっている.ガングリオシドは形質膜マイクロドメインの構成成分として,EGF受容体,血管内皮細胞増殖因子受容体,神経成長因子受容体,インスリン受容体,レプチン受容体などさまざまな受容体のシグナル伝達を制御している1)

ガングリオシドGM3は,インスリン受容体とのマイクロドメインにおける相互作用を介してインスリンシグナルを負に制御しており,GM3合成酵素(GM3S)の欠損(KO)マウスの解析から,食餌誘導性肥満における炎症に伴う脂肪組織のGM3の増加はインスリン抵抗性の発症に寄与することが示されている2–4)

.一方,肥満に伴うマクロファージの浸潤によって起こる脂肪組織の炎症が全身性のインスリン抵抗性の発症に深く関わっているが,GM3S KOマウスの脂肪組織では肥満による慢性炎症が著明に抑制されることから,GM3の慢性炎症への寄与が示唆されていた2, 5)

2. スフィンゴ糖脂質の生合成

スフィンゴ糖脂質はすべての真核生物と一部の原核生物において,広く形質膜の成分として見いだされている.ここでは哺乳動物のスフィンゴ糖脂質の生合成について述べる(図1

).まず,セラミドにガラクトースまたはグルコースが付加されて生合成が開始され,続けて各糖が順次付加されていく.小胞体に局在するガラクトシルセラミド(GalCer)合成酵素(本酵素をコードするマウス遺伝子名Ugt8)によってセラミドにガラクトースが付加されて生じるGalCer6),およびGalCerから派生する糖脂質はガラ系糖脂質と呼ばれる.GalCerはゴルジ体においてガラクトシルセラミド硫酸転移酵素(遺伝子名Gal3st1)によってガラクトースの3位が硫酸化されてスルファチドになる7).一方,GalCerにシアル酸転移酵素であるGM3合成酵素(遺伝子名St3gal5)が作用するとGM4が8),ガラクトース転移酵素であるGb3合成酵素(遺伝子名A4galt)が作用するとGb2(ガラビオシルセラミド)が,それぞれ生成する9)

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図1 スフィンゴ糖脂質の生合成経路

井ノ口仁一,稲森啓一郎,上村聡志,狩野裕考,新田昂大,二瓶渉,宍戸史,大野勲,鈴木明身(2020)グライコリピドミクス.生化学,92, 323–335より一部改変.生合成に関わる酵素遺伝子名をマウスの表記で記載した.

ゴルジ体に局在するグルコシルセラミド(GlcCer)合成酵素(遺伝子名Ugcg)は,セラミドにグルコースを転移しGlcCerを生成する10)

.続いてガラクトース転移酵素であるラクトシルセラミド(LacCer)合成酵素(遺伝子名B4galt5およびB4galt6)により,種々のスフィンゴ糖脂質の前駆体となるLacCerが生じる11–13).LacCerにGM3合成酵素がシアル酸を転移することでガングリオ系ガングリオシドの出発物質であるGM3が生成し14),さらに,N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)転移酵素であるGM2/GD2合成酵素(遺伝子名B4galnt1)あるいはシアル酸転移酵素のGD3合成酵素(遺伝子名St8sia1)が作用することでGM2およびGD3がそれぞれ生成する15–18).続いて種々の糖転移酵素の作用でより複雑なガングリオシドが生じる.一方,GM2/GD2合成酵素がLacCerにGalNAcを付加するとアシアロガングリオ系糖脂質のGA2が生成し19),さらにGA1, GM1b等のo系列のガングリオ系糖脂質が生成する.LacCerにガラクトース転移酵素であるGb3合成酵素が作用すると,グロボ系糖脂質Gb3が生じ9),GalNAc転移酵素(遺伝子名B3galnt1)によりGb4を生成する20).LacCerにiGb3合成酵素(遺伝子名A3galt2)が作用するとイソグロボ系糖脂質iGb3を生成するが,ヒトにおいては機能的な合成酵素を欠いておりiGb3は生成しない21).LacCerにN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)転移酵素であるラクトトリアオシルセラミド(Lc3Cer)合成酵素(遺伝子名B3gnt5)が作用すると,ラクト系糖脂質およびネオラクト系糖脂質の基本構造となるLc3Cerが生成する22, 23).さらに種々の糖転移酵素の作用でABO式およびルイス式血液型抗原を持つ糖脂質が生成する.

3. スフィンゴ糖脂質による自然免疫応答の制御

自然免疫は,植物,昆虫から哺乳動物に至るまで,幅広く進化的に保存された生体防御機構である24)

.哺乳動物における主な自然免疫応答として,「パターン認識受容体」を介した病原体や異物の認識と,それに伴う炎症性サイトカインの産生・放出があげられる.外因性のさまざまな分子は,病原体関連分子パターン(pathogen-associated molecular patterns:PAMPs)と総称される.代表的なものとして,大腸菌などのグラム陰性菌外膜表面に由来する糖脂質であるリポ多糖[lipopolysaccharide:LPS;内毒素(endotoxin)の実体でもある]があり,そのパターン認識受容体としてはTLR4がよく知られている25–27).一方で,通常は病原体や異物の認識に関わるパターン認識受容体が,生体内で生じるさまざまな分子を認識することも近年知られるようになった.生体内で生じるリガンドは,傷害関連分子パターン(damage-associated molecular patterns:DAMPs)あるいは「内因性リガンド」として総称されている24, 28, 29).代表的なものとしては,肥満時に増加する遊離脂肪酸や,死細胞に由来する核内タンパク質であるhigh-mobility group box protein 1(HMGB1)があげられる.このような特性によって,自然免疫系は感染防御のみならず,より広義の生体恒常性の維持にも関与している.その制御の破綻によって,肥満における慢性炎症や臓器機能障害によるインスリン抵抗性が誘発されてメタボリックシンドロームへ進行するなど,多様な疾患への関与が示唆されている30)

近年では,スフィンゴ糖脂質が内因性リガンドとして作用し,自然免疫応答を制御することが明らかとなりつつある.GlcCerは,C型レクチン受容体の一つであるmacrophage-inducible C-type lectin(Mincle)に作用して,樹状細胞の活性化に関与することが報告されている31)

.また,好中球の形質膜上に多く存在するLacCerは,抗酸菌由来のPAMPsであるリポアラビノマンナンを認識する受容体分子クラスターとして機能することが知られ,これを介して菌体が貪食されることで,食胞成熟や殺菌機構が誘導される32).当研究室の近年の解析からは,ガングリオシドGM3が,単球・マクロファージ上のTLR4に対する内因性リガンドとして作用し,そのセラミド構造に応じて自然免疫応答を正と負に制御することや,肥満・メタボリックシンドロームにおける慢性炎症に関与することが明らかとなった33)

4. ガングリオシドGM3分子種によるTLR4制御

全身を循環する血液中には,血球成分以外にもスフィンゴ脂質であるスフィンゴミエリンや,ガングリオシドGM3,スルファチドSM4,グロボ系のGb3, Gb4などのスフィンゴ糖脂質が多く含まれている34, 35)

.血清中のスフィンゴ糖脂質の産生組織は主に肝臓であると考えられており,輸送様式としては,肝臓に由来するリポタンパク質群や組織由来エキソソームの関与が示唆されている35–37).ヒト血清中のガングリオシドはおよそ95%がGM3であり,10 µM(10–15 µg/mL)ほど含まれている.しかし,冒頭で記述したような形質膜上における機能の解明とは対照的に,スフィンゴ糖脂質が血液中に分泌された場合の生理学的機能や疾患発症への直接的な関与については,これまでに十分には解明されていなかった.

GM3の脂質構造はセラミドを母体としており,そのセラミド構造中のアシル鎖構造について,多様性に富んだGM3分子種が存在する(図2

).血清や末梢組織のGM3のアシル鎖構造には,長鎖C16:0,極長鎖C24:0, C22:0,不飽和極長鎖C24:1が主要に含まれており,加えて,α-水酸化修飾を受けた水酸化極長鎖hC24:0, hC24:1が存在している.当研究室では,血清や組織中のGM3を標的とした疾患リピドミクスを展開しており,その中で,肥満・メタボリックシンドロームや血液がん等の疾患の発症と,GM3のセラミド構造中の脂肪酸(N-アシル鎖)の変化が,相互に関係している可能性を見いだした33, 34, 38).特に,肥満や慢性炎症を伴うメタボリックシンドローム(高脂血症,高血糖)の発症過程において,極長鎖脂肪酸(VLCFA;C21以上)を含む極長鎖GM3(VLCFA GM3)やhC24:0の水酸化極長鎖GM3(α-OH VLCFA GM3)が増加し,反対に,長鎖脂肪酸(LCFA;C11からC20)を含む長鎖GM3(LCFA GM3)が減少する傾向がみられた.そこで,アシル鎖構造の差異に基づくGM3の生理活性を検討した結果,パターン認識受容体であるTLR4の内因性リガンドとして機能することを見いだした(図333).特に,アシル鎖C22:0, C24:0の極長鎖GM3および,hC24:0の水酸化極長鎖GM3(α-OH VLCFA GM3)は,LPSやHMGB1によるヒトおよびマウスのTLR4活性化を大きく増大させ,反対に,アシル鎖C16:0, C18:0の長鎖GM3は,ヒトTLR4活性化を強く抑制した.また,アシル鎖C24:1の不飽和極長鎖GM3(ω-9 VLCFA GM3)は,極長鎖GM3とは反対に抑制作用を示した.このようなセラミド構造に応じた生理活性の変化は,GM3の前駆体であるLacCerやGlcCerではみられないことから,糖鎖構造とセラミド構造の双方がGM3の生理活性の基盤をなしていることがわかった.

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図2 ガングリオシドGM3のセラミド構造多様性

ガングリオシドGM3のセラミド構造には,長鎖(C16:0, C18:0)から極長鎖(C22:0, C24:0),加えてα-水酸化(hC24:0)や不飽和(C24:1)など多様な脂肪酸(N-アシル鎖)構造が存在する.

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図3 スフィンゴ糖脂質のセラミド構造多様性に基づくTLR4/MD-2の活性化制御

ガングリオシドGM3では,極長鎖(C22:0, C24:0)およびα-水酸化(hC24:0)分子種がTLR4活性化を促進する.一方,長鎖(C16:0, C18:0)や不飽和(C24:1)はTLR4の抑制作用を示す.スルファチドは,長鎖(C12:0, C16:0)分子種が,ヒトでは抑制,マウスで活性化作用を示す.グロボ系Gb3, Gb4は,極長鎖分子種が,濃度依存的な活性化・抑制作用を示す.糖鎖構造によって,セラミド構造の持つ生理活性と種差が変化する特徴がある.

TLR4は,リガンドの親水性部分を認識するTLR4と,疎水性部分を認識する共受容体(co-receptor)myeloid differentiation factor 2(MD-2)からなる複合体として機能する25–27)

.極長鎖GM3による活性化作用は,ヒトTLR4/MD-2,マウスTLR4/MD-2において共通した作用を示す一方,長鎖GM3による抑制作用はヒトTLR4/MD-2で主にみられ,マウスTLR4/MD-2ではみられないか,比較して弱いものであった.そこで,マウスTLR4/ヒトMD-2からなるキメラ複合体に対する長鎖GM3による作用を調べた結果,ヒトTLR4/MD-2の場合と同様に抑制効果を示した.よって,GM3のセラミド構造の違いは,MD-2によって認識されていると考えられる.このようなヒト・マウスにおけるTLR4/MD-2応答の種差はLPSの脂肪酸数や27),次節で紹介するスルファチドのセラミド構造の差異においても報告されている39).したがって,スフィンゴ糖脂質は,LPSの場合と類似したリガンド認識機構に基づき,セラミド構造と糖鎖構造を介してTLR4/MD-2を制御していることが強く示唆される.

GM3の脂肪酸構造の変化については,極長鎖脂肪酸の生合成に関与する脂肪酸伸長酵素elongation of very long chain fatty acids protein(ELOVL)や,セラミド合成酵素(ceramide synthase:CERS)の関与が考えられる.C16:0のパルミチン酸を極長鎖脂肪酸へと伸長する過程に関与するElovl6Elovl3のKOマウスでは,肥満やメタボリックシンドロームに伴う病態が改善することが知られている40, 41)

.CERSに関しては,肥満・メタボリックシンドロームにおいてCerS2/6の発現バランス異常が生じ,セラミドやスフィンゴ糖脂質のアシル鎖構成バランスに影響することが報告されている42, 43).これらの直接的な作用メカニズムは明らかではないが,長鎖GM3の増加と極長鎖GM3の減少によって慢性炎症が緩和されている可能性が考えられ,今後の解明が期待される.

近年では,これまで内因性のTLR4活性化因子とされてきた遊離脂肪酸が,直接的にはTLR4リガンドとして作用していない可能性が報告されている44)

.この報告によれば,遊離脂肪酸は小胞体ストレスを主に誘導し,これが内因性のTLR4シグナルと協調して炎症を引き起こしていた.よって,遊離脂肪酸とは別に,第二の内因性TLR4リガンドの関与が示唆されているが,報告中では明らかにはなっていない.遊離脂肪酸が,GM3を含むスフィンゴ糖脂質の分子種に変換されたのちにTLR4に提示されている可能性が十分あり,今後の解明が期待される.近年大きな流行を見せている新型コロナウイルス感染症との関連では,重症化・炎症制御不良の指標であるIL-6, C-reactive protein(CRP),D-dimerに対して極長鎖GM3分子種が正の相関を示すことが報告されている45).また,コロナウイルス外殻のスパイクタンパク質は,TLR4を直接的に活性化できることが報告されている46).よって,慢性炎症だけでなく,ウイルス感染症をはじめとする急性期の炎症病態においても,GM3分子種によるTLR4活性化制御が重要な役割を果たしている可能性が考えられる.

ごく最近では,前立腺肥大症の術前・術後において血清中のGM3分子種が変化しうることや47)

,大動脈解離の損傷部位においてGM3分子種の発現パターンが大きく変化し,動脈組織の脆弱性や病態の進行にも関与することが報告されている48).GM3のセラミド構造と広範な炎症性疾患との関連が解明されつつあることに,大きな期待が寄せられる.一方,セラミド構造によるスフィンゴ糖脂質の機能変化は,GM3だけではなく,スルファチドやグロボ系スフィンゴ糖脂質でも明らかになりつつあり,次節からは,その最新の動向について概説する.

5. スルファチドによるTLR4活性化制御

GlcCerからLacCerを経て合成されるGM3に対して,GalCerのガラクトースの3位に硫酸基が付加されて生成するスルファチドSM4は,神経線維のミエリン鞘や腎臓,膵臓ランゲルハンス島などに多くみられ,ミエリンの維持と機能,インスリン分泌,免疫系,血栓形成,感染などさまざまな現象に関わっている49)

.血清中においても1–10 µMほど存在しており,その濃度と2型糖尿病や心血管疾患,全身性血管炎などとの関連が報告されている50–52).スルファチドはヒト単球の活性化およびサイトカイン産生を誘導し,GalCerではその活性化が起こらないことが示されている53).一方,脳由来のスルファチドは,ヒト単球系細胞株THP-1のLPS刺激によるTNF-α産生ならびにマウスへのLPS投与によるTNF-α産生を抑制し,エンドトキシンショックによる致死性を回避する54).また,化学合成品のSM4(アシル鎖C12:0)は,ラットのミクログリアおよびアストロサイト初代培養細胞に対してNF-κBとMAPキナーゼの活性化を惹起すること55),さらに,ヒト樹状細胞に対しては脳由来のSM4(C24:0)がTLR2およびTLR4依存的にケモカイン産生を促すことが報告されている56).最近では,マウスのRAW264.7マクロファージを合成SM4(C24:0)で前処理すると,LPS刺激によるTLR4の脂質ラフトへの局在とNF-κBとMAPキナーゼの活性化が阻害されること,および,マウスへのスルファチドの事前投与によりLPS誘導性致死が回避されることが報告されていた57).このように,炎症におけるスルファチドの役割が数多く報告されていたが,TLRへの結合や活性化における特異性については明確ではなかった.

GM3がTLR4の内因性リガンドとして機能するといった我々の報告に続いて翌年,自然免疫の活性化に関する発見でノーベル生理学・医学賞を受賞しているBeutler博士のグループから,スルファチドSM4が内因性のTLR4リガンドであることが,マウスTLR4/MD-2複合体の共結晶構造とともに報告された39)

図3).マウスのマクロファージのTLR4/MD-2複合体は数µM程度のSM4(C12:0)によって活性化されるが,血清中に多く存在するSM4(C16:0)に対しては20–100 µMほどの高濃度を活性化に必要とした.ヒトTHP-1細胞に対しては,25 µM以上の高濃度のSM4(C12:0)によってのみ活性化がみられており,一方でLPSによる活性化に対してアシル鎖C12:0, C16:0, C18:0などのSM4は抑制作用を示した.マウスTLR4/MD-2とSM4(C16:0)との共結晶構造からは,結合した2–3分子のSM4に相当する電子密度が確認されており,LPSのコア構造であるLipid A(アシル鎖6本,糖2分子の骨格)や,その生合成前駆体Lipid-IVa(アシル鎖4本,糖2分子の骨格)に類似した結合様式をとっていた.より大きな糖鎖構造や,より長い極長鎖アシル鎖を持つGM3が3分子結合できるかは不明であるが,少なくともスフィンゴ糖脂質のセラミド構造がMD-2によって,糖鎖構造がTLR4によって認識されることが実際に示された意義は大きいといえる.ヒトTLR4/MD-2複合体1分子とGM3分子種1分子によるドッキングシミュレーションを行った我々の結果からも,セラミド構造がMD-2に,糖鎖構造がTLR4に認識されるモデルが得られていた33)

スルファチドはマウスのTLR4/MD-2に対してはアゴニストとして,ヒトのTLR4/MD-2に対してはアンタゴニストとしての作用を示しており,この動物種による違いは,前述のGM3の場合でもみられたように,脂質構造を認識するMD-2の種差によるものであることが示唆される.

スルファチドはミエリン鞘や腎臓以外に消化管においても多く発現しており,細菌感染との関わりや粘膜防御に関与することが示唆されているものの,その機能の詳細には不明な部分が多い.今後,正常および炎症性疾患や病態でのTLR4の活性化制御において,スルファチドがどのような役割を持って機能しているのか,アシル鎖(鎖長,水酸化など)の違いも含めて明らかとなることが期待される.

6. グロボ系スフィンゴ糖脂質と糖尿病性腎症

Gb3とGb4は,血管内皮細胞や腎臓の尿細管上皮細胞に豊富に発現しているグロボ系スフィンゴ糖脂質である.これまでに,血管内皮細胞に発現するGb4がTLR4の内因性リガンドとして,その活性化を負に制御することが報告されている58)

.この発見は,TLR4を介した炎症性疾患の病態形成へのグロボ系スフィンゴ糖脂質の関与を示唆するものであった.そこで我々は,Gb3, Gb4が豊富に発現している腎臓において,炎症性疾患の発症・増悪にそれらのグロボ系スフィンゴ糖脂質が関与するかどうか検討した.これまでに,糖尿病性腎症病態において腎臓の糖脂質発現が変化することが報告されている59–61).我々は,複数の感受性遺伝子多型を持つ糖尿病モデルKKマウスに高脂肪食負荷を行うことで糖尿病性腎症を惹起させ,その腎臓における糖脂質発現変化を解析したところ,Gb3とGb4の顕著な発現増加を見いだした62).そこで,TLR4誘導性の炎症反応にGb3, Gb4が関与するかどうかをマウスのマクロファージ様RAW264.7細胞およびマウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)を用いて評価した.興味深いことに,Gb3またはGb4単独ではTLR4の活性化は誘導されなかったが,LPSやHMGB1によるTLR4活性化においてGb3あるいはGb4を共存させることで,顕著に炎症反応を増強することが明らかとなった(図3).この結果は,先行研究のGb4がTLR4活性化を負に制御するといった結果と一見矛盾するようであったが,より詳細な検討から,Gb3, Gb4は1–10 µM程度の濃度ではTLR4の活性化促進,>45 µMの濃度域では活性化抑制といった二相性の反応を示すことがわかった.つまり,Gb3, Gb4は低濃度域では活性化促進因子として機能し,高濃度域では活性化制御因子として機能するモジュレーター活性を持つことが示された.LPSを代表とするTLR4リガンドの中で,Gb3, Gb4のような単独ではTLR4の活性化を引き起こさないものの,他のリガンドとの共存下では劇的にその作用を増大させるといった特徴は注目に値する.Gb3, Gb4は血液中にも存在しており,もし単独でTLR4活性化能を持っていたとすると全身で炎症反応が惹起されてしまうことになるため,それ自体では活性化を起こさないようになっていると考えられる.その一方で,今回使用したような糖尿病モデルマウスにおいては血中LPS濃度が上昇することが知られており,さらに腎臓のGb3, Gb4の発現も増加していたことから,疾患発症・増悪過程において,グロボ系スフィンゴ糖脂質とLPSの増加が同時に引き起こされることによりTLR4活性化が著しく誘導され,腎臓の炎症反応増悪に寄与することが考えられる.前述のように,Gb3, Gb4はTLR4の活性化の閾値を下げることで,LPSなどの外因性因子の侵入やDAMPsなどの内因性因子の漏出を鋭敏に感知するのに一役買っているのではないかと考えられる.一方,負の側面として,Gb3, Gb4のようなスフィンゴ糖脂質の増加により,本来惹起されないようなリガンド濃度であっても炎症反応が誘導されることで,慢性炎症や過剰な免疫応答に基づく疾患の発症に関与している可能性が考えられる.

我々は最近,1型糖尿病モデルマウスの腎臓において,2型糖尿病モデルマウスとは異なる特定のスフィンゴ糖脂質が増加していることを見いだしており,その発現増加がTLR4を介した炎症反応増悪に関わることを示唆するデータを得ている(未発表データ).これらの結果から,腎臓およびその他の組織の疾患においても,それぞれ特異的なスフィンゴ糖脂質の発現変化(発現量,分子種バランスなど)が生じ,TLR4の活性化閾値の低下に伴う炎症反応の増大を介して病態の形成・増悪に関与している可能性が考えられる.

7. まとめと今後の展望

今回,セラミドが糖付加を受けた代謝産物であるスフィンゴ糖脂質に注目し,最近の研究動向や当研究室で得られた結果について概説した.俯瞰してみえてくる作動原理としては,糖鎖構造による器官・組織特異性と,病態や代謝に応じたセラミド構造変化の双方によって,最終的な応答が規定されている点があげられる.その一端を担う分子メカニズムとして,生体内外の糖脂質を認識するTLR4/MD-2複合体などのパターン認識受容体の関与が示されつつあり,生体には,スフィンゴ糖脂質とそのセラミド構造に対する一種のセンシング機構が備わっていることが示唆される.今後,糖鎖構造に応じた脂質構造の変化を誘導する代謝ネットワークの解明や,スフィンゴ脂質・糖脂質のセンシング機構を担う新たな受容体の同定が進むと期待される.網羅的な分子種解析と,一つ一つの脂質分子種に対する精緻な解析を組み合わせることで,この複雑なネットワークの解明に挑んでいきたい.

謝辞

この総説で紹介した我々の研究は,東北医科薬科大学分子生体膜研究所機能病態分子学教室において主に実施されたものであり,郷慎司先生,Lucas Veillon先生,鈴木明身先生をはじめとする,多くの方々に深く感謝いたします.また,共同研究を実施するにあたり多大なるご支援を賜りました,大阪大学大学院理学研究科・深瀬浩一先生,樺山一哉先生,下山敦史先生,ミラノ大学・Sandro Sonnino先生,Alessandro Prinetti先生,岐阜大学糖鎖生命コア研究所(iGCORE)・安藤弘宗先生,石田秀治先生,河村奈緒子先生,東京大学大学院医学系研究科・矢冨裕先生,蔵野信先生,東京大学大学院薬学系研究科・清水敏之先生,大戸梅治先生,東北医科薬科大学医学部・佐藤信先生,薬学部・吉村祐一先生をはじめとする多くの先生方に厚く御礼申し上げます.

引用文献

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著者紹介

稲森 啓一郎(いなもり けいいちろう)

東北医科薬科大学分子生体膜研究所/薬学部 教授.博士(理学).

略歴

宮崎県に生まれる.九州大学理学部卒業,同大学院を経て2001年大阪大学医学部博士研究員,04年同特任助手.06年米国アイオワ大学医学部ハワードヒューズ医学研究所ポスドク,13年東北薬科大学准教授,24年より現職.

研究テーマと抱負

糖鎖・糖脂質の生合成と発現制御機構,および炎症・疾患等におけるそれらの発現変化と病態への関与について明らかにしていきたい.

趣味

クラフトビール.

狩野 裕考(かのう ひろたか)

慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任助教.博士(薬学).

略歴

1985年群馬県に生る.2008年北海道大学薬学部卒業.10年同大学院生命科学院修士課程修了.15年東北大学大学院薬学研究科博士後期課程修了.同年東北薬科大学(現 東北医科薬科大学)薬学部/分子生体膜研究所博士研究員,17年助手,19年助教.24年より現職.

研究テーマと抱負

糖や脂質を含む,生体内代謝産物による自然免疫・炎症・細胞死応答の制御機序とその疾患への関与を解明し,新たな医薬の発展に貢献したい.

趣味

食・漫画など.

新田 昂大(にった たかひろ)

順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所 博士研究員.博士(薬学).

略歴

2015年東北薬科大学薬学部薬学科卒業.19年同大学院薬学研究科修了・学位取得(薬学).同年同大学機能病態分子学教室にて博士研究員.23年より現職.

研究テーマと抱負

メタボリックシンドローム関連疾患における脂質の発現変化とその病態生理学的役割の解明.

趣味

MLB観戦,読書.

井ノ口 仁一(いのくち じんいち)

大阪大学大学院理学研究科附属フォアフロント研究センター 特任教授.薬学博士.

略歴

福岡県に生まれる.福岡大学薬学部を卒業.同大学院,生化学教室助手を経て,1985年ミシガン大学医学部神経化学研究所博士研究員.91年生化学工業東京研究所主任研究員,98年北海道大学大学院薬学研究科助教授.2006年東北医科薬科大学分子生体膜研究所機能病態分子学教室教授,16年同分子生体膜研究所所長,23年より現職.

研究テーマと抱負

生体恒常性維持機構におけるスフィンゴ糖脂質の分子種特異的な作動原理を解明し,生理活性糖脂質としての位置付けを明確にすることが,使命であると考えている.

趣味

音楽鑑賞,ウォーキング,ガーデニング.

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