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公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 96(4): 457-465 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960457

特集

セラミドによる皮膚バリア形成

1北海道大学大学院薬学研究院生化学研究室 ◇ 〒060–0812 北海道札幌市北区北12条西6丁目

2順天堂大学薬学部(2024年4月より) ◇ 〒279–0013 千葉県浦安市日の出6–8–1

発行日:2024年8月25日
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セラミドは化粧品などに含まれることから,日常でも見聞きする機会が増え,皮膚によい働きがあるという認識が広まってきた.しかし,セラミドが皮膚においてどのような働きがあり,どのような種類が存在するのかはあまり知られていない.一般的な組織・細胞にもセラミドは生体膜成分の複合スフィンゴ脂質の疎水骨格部分として存在するが,多くて数クラス/数十分子種である.一方,ヒトの皮膚角質層には23クラスと1500を超える分子種からなる多様なセラミドが存在し,透過性バリア(皮膚バリア)の形成に働いている.その中でも特に特殊なセラミドであるアシルセラミドと結合型セラミドは皮膚バリア形成に重要である.本稿では皮膚角質層のセラミドの多様性,アシルセラミドと結合型セラミドの産生の分子機構,セラミド組成変化と皮膚疾患との関連などについて最新の知見を紹介する.

1. はじめに

皮膚は外界と生体を隔て,外界からの異物(細菌,ウイルス,アレルゲン,化学物質など)の侵入および体内からの水分,電解質の漏出を防止する透過性バリアとして機能する.皮膚バリア機能の低下は,感染症,アトピー性皮膚炎,乾皮症や皮膚の落屑,肥厚,乾燥を特徴とする皮膚疾患である魚鱗癬のリスク増大または発症につながる1–3)

.皮膚バリアの形成には皮膚の最も外側に位置する角質層(角層)が重要な役割を果たし(図1),皮膚バリアに特化した特殊な細胞(角質細胞)と脂質構造体/脂質を備えている.この脂質構造体とは角質細胞間に存在する脂質多層構造体(脂質ラメラ)と角質細胞の形質膜様構造体である角質細胞脂質エンベロープのことを指す.ヒト角質層には多様なセラミドが存在し,そのうち遊離型(非結合型)セラミドが脂質ラメラ,タンパク質と共有結合した結合型セラミドが角質細胞脂質エンベロープを構成する.遊離型セラミドの中でもN-アシル基のω末端にリノール酸が付加したω-O-アシルセラミド(これ以降,本稿では単にアシルセラミドと記載)は脂質ラメラ形成に特に重要である.アシルセラミドと結合型セラミドは,一般的な細胞に存在するセラミドとは異なった構造と特性を持ち,皮膚バリア形成という役割を果たすために特殊化したセラミドといえる.以下に,角質層セラミドの多様性,アシルセラミドの産生の分子機構,結合型セラミドの構造と産生経路,セラミドの量・組成変化が引き起こす皮膚疾患について,筆者らの成果を踏まえながら,最新の知見を解説する.

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図1 表皮の構造と皮膚バリア

表皮の4層構造,顆粒層における層板顆粒,角質層における脂質ラメラ,角質細胞脂質エンベロープ,周辺帯の構造と皮膚バリアの概念の模式図を示す.

2. 表皮の構造と角質細胞の特徴

皮膚は皮下組織,真皮,表皮からなり,さらに表皮は内側から基底層,有棘層,顆粒層,角質層によって構成される(図1

).このうち,最外層に存在する角質層が皮膚バリア形成において最も重要な役割を果たしている.表皮に存在する細胞の95%はケラチノサイト(角化細胞)であり,各層は分化段階の異なるケラチノサイトによって構成される.基底層を構成する未分化のケラチノサイトが分裂することにより,各層の細胞は押し上げられ,外側へ移動する.この移動に伴ってケラチノサイトの分化が進行し,各層に特徴的な形態および性質を持つようになる.顆粒層にはケラトヒアリン顆粒と呼ばれるプロフィラグリンを含んだ顆粒がみられる.また,顆粒層ではセラミドの産生が活発に行われる.顆粒層のケラチノサイトは空間を満たすのに最適な形状であるケルビンの十四面体様の構造を持ち,顆粒層第二層を構成する細胞どうしがタイトジャンクションによって強固に密着することでその上下間の物質の移行を阻んでいる4).ただし,タイトジャンクションは顆粒層ケラチノサイトが上部(顆粒層第一層)へ移行する過程で分解される.顆粒層ケラチノサイトは角質層に移行して角質細胞になる過程で核やその他の細胞小器官が崩壊し,死細胞となる.角質層はヒトでは十数層からなり,最も外側の層は垢となって剥がれ落ちる.基底層でのケラチノサイトの分裂から垢となって剥がれ落ちるまでの期間はヒトで約28日である.

我々の体の最も外側に位置し,体を防御する働きを持つ角質細胞は他の細胞とは異なるさまざまな特徴を有す.まず,体を覆う細胞が死細胞であることは外界からの刺激に容易に応答して炎症を引き起こすことがないようにするためであろう.また,角質細胞は物理的に非常に強固であるが,その強固さは周辺帯とケラチン繊維によってもたらされている.周辺帯は角質細胞の表面に存在するタンパク質の架橋体であり,インボルクリン,ペリプラキンなどのタンパク質がトランスグルタミナーゼによって架橋されることで形成される5)

.ケラチンは中間径フィラメントであり,フィラグリンが結合することで凝集する.また,角質層の形質膜は一般的な脂質二重層ではなく,一層の角質細胞脂質エンベロープである6, 7).角質細胞脂質エンベロープは結合型セラミドから構成されており,結合型セラミドは周辺帯のタンパク質に共有結合している(詳細は後述).角質細胞が死細胞になる過程では,リソソームが崩壊し,リソソーム内のプロテアーゼやリパーゼが細胞内のタンパク質や生体膜を分解する.その過程において細胞自体が崩壊しないためには,リソソームプロテアーゼ/リパーゼに耐性となるタンパク質の状態変化(周辺帯でのタンパク質の架橋)および脂質の置換(リン脂質から結合型セラミド)が必要なのであろう.また,角質細胞脂質エンベロープという共有結合型の膜は,物理的・化学的にも,界面活性剤などに対しても安定である.

脂質ラメラはセラミド(遊離型),コレステロール,遊離脂肪酸から主に構成されており,これらがおおよそ等モル比で存在すると考えられている8)

.脂質ラメラは膜構造体でありながら,高度に“頑強さ”を備えた脂質構造体であり,流動性はほとんどない9).この“頑強さ”を獲得するために,他の組織とは異なった構造と量のセラミドが角質層には存在し,コレステロールと遊離脂肪酸と適度な比率で混ざりあっているのであろう.

3. 表皮におけるセラミドの多様性

セラミドは長鎖アミノアルコールである長鎖塩基(スフィンゴイド塩基)のアミノ基に脂肪酸が結合した構造を持つ分子の総称である.哺乳類の長鎖塩基としてはジヒドロスフィンゴシン(DS),スフィンゴシン(S),フィトスフィンゴシン(P),6-水酸化スフィンゴシン(H),4,14-スフィンガジエン(SD)の5種類,脂肪酸としては非水酸化脂肪酸(N),α-水酸化脂肪酸(A),β-水酸化脂肪酸(B),ω-水酸化脂肪酸(O)およびエステル化ω-水酸化脂肪酸(EO),タンパク質結合脂肪酸(protein bound-:PB-)の6種類が存在する10–12)

図2A).哺乳類のセラミドはこれらの異なった組合わせからなる30クラスに分類され,それぞれのクラスは脂肪酸と長鎖塩基の略号の組合わせで表記される(図2B).たとえば,ほとんどの組織で主要なセラミドは非水酸化脂肪酸(N)とスフィンゴシン(S)からなり,NSと表記される.

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図2 セラミドの構造多様性と脂質ラメラの長周期層構造モデル

(A)哺乳類に存在する長鎖塩基,脂肪酸の構造.(B)セラミドクラスの表記法とヒト角質層セラミドのクラス組成(%).(C)分子動力学的解析により予測された脂質ラメラの長周期層の構造モデル.

セラミドはタンパク質と共有結合していない遊離型セラミドとPB-タイプ脂肪酸を持つ結合型セラミドに大別される.遊離型セラミドは脂質ラメラの構成成分であり,結合型セラミドは角質細胞脂質エンベロープの成分である.遊離型セラミドはさらにEOタイプ脂肪酸を持つアシルセラミドとそれ以外の脂肪酸を持つ非アシル化セラミドに分類される.各セラミドクラスには炭素鎖長の異なる長鎖塩基,炭素鎖長および二重結合の数が異なる脂肪酸から構成される多くのセラミド分子種が含まれる.

多様なセラミド分子種の存在の解明には,セラミドの定性・定量解析の技術の発展が大きく貢献してきた.特に液体クロマトグラフィー連結タンデム質量分析法(LC-MS/MS)の発展は,長鎖塩基と脂肪酸の水酸基,二重結合の数,炭素鎖長のそれぞれが異なるセラミド分子種を特異的かつ高感度に測定することを可能にした.筆者らは最近,角質層のセラミドを網羅的に解析できるLC-MS/MSシステムを構築し,ヒト角質層に少なくとも23クラス/1581分子種のセラミドが存在していることを明らかにした12)

図2B).この23クラスにはBタイプ脂肪酸含有セラミド(Bタイプセラミド;BDS, BS, BP, BH, BSD)とODS, EODSを除くほとんどのセラミドクラスが含まれていた.角質層セラミドのクラス組成は種によって異なっており,マウスの角質層にはBタイプセラミドが多く,Hタイプセラミドは存在しない11)

炭素鎖長に関しては,多くの組織のセラミドがC18の長鎖塩基とC16–C24の脂肪酸で構成されているのに対し,ヒト角質層のセラミドはC16–C24の長鎖塩基とC16–C36の脂肪酸から構成されている12)

.このうち,NタイプとAタイプのセラミドの脂肪酸鎖長が主にC16–C28であるのに対し,Oタイプ,EOタイプ(アシルセラミド),PB-タイプ(結合型セラミド)のセラミドの脂肪酸鎖長は主にC30–C36である.これらの脂肪酸のほとんどは飽和脂肪酸であり,例外的にアシルセラミドと結合型セラミドにはC32:1とC34:1の脂肪酸が含まれる.角質層のセラミドが主に飽和脂肪酸で構成されているのは,脂質ラメラ中で脂質が密にパッキングするためであると思われる(不飽和脂肪酸は折れ曲がり構造からパッキングしづらい).

非アシル化セラミドは脂質ラメラの主要成分であり,ヒト角質層セラミド全体の77%を占める.このうち,NPが最も多く,次いでNHであり,この二つのクラスで全体の45%を占める12)

図2B).これらの長鎖塩基部分(フィトスフィンゴシンと6-水酸化スフィンゴシン)は表皮以外の組織に多いスフィンゴシン(Sタイプ)に比べて水酸基を一つ多く持つ.また,脂肪酸部分のα位に水酸基を持つAタイプのセラミド(AHおよびAP)も比較的多く存在する(合わせて13%).このように,ヒト角質層には水酸基を多く持つセラミドが多量に存在するという特徴がある.これは,水素結合を介して脂質–脂質間相互作用を強固にするためであると思われる.あるいはこれらの水酸基は層構造を維持するために,セラミドの極性を高めているのかもしれない.

ヒト角質層に最も多いアシルセラミドはEOSであり,次いでEOH, EOPである12)

図2B).総アシルセラミド量はヒト角質層セラミド全体の約9%と割合は低いが,その特徴的な構造によって脂質ラメラのラメラ構造の形成と維持に重要である.ヒトにおいて最も多い結合型セラミドはPB-Sであり,次いでPB-Hである.アシルセラミド,結合型セラミドともに皮膚バリア機能にきわめて重要であり,それらの合成に関わる遺伝子に変異が入るとヒトでは魚鱗癬を発症し3, 13–20),マウスでは新生致死性の皮膚バリア異常を引き起こす21–30)

アトピー性皮膚炎患者は皮膚バリア異常を示す.その角質層ではセラミドの総量の減少とセラミドクラスの組成変化がみられる31, 32)

.組成変化としては,患者角質層でNP, AP, NH, AH, EOS, EOHおよびEOPの減少,AS, NSの増加が観察される32, 33).また,類似したセラミドクラスの組成変化は健常人においても皮膚バリア機能と相関してみられる.特にNPに対するNSの比(NP/NS)は経皮水分蒸散量と負に,水分量と正に高い相関性を示すため,透過性バリア機能のよい指標となる34).ただし,どのような分子機構でこのようなセラミドのクラス組成の変化が引き起こされるかはいまだ不明である.

図2B

には記載していないが,上述のセラミドクラス以外にもセラミドの長鎖塩基部分の1位水酸基にアシル鎖が結合した1-O-アシルセラミド(これまで記載してきたω-O-アシルセラミドとは異なることに注意)がヒト,マウスの表皮に存在することが近年明らかにされた35).ただし,1-O-アシルセラミドの皮膚バリアにおける役割は不明である.

4. 脂質ラメラの構造とアシルセラミドの役割

X線回折を用いた解析によって,脂質ラメラは側方向に脂質が密にパッキングした六方晶あるいは直方晶(斜方晶)構造を持つことが明らかになっている36)

.また,縦方向には約13 nmの長周期層が哺乳類に共通してみられ,ヒトにはさらに約6 nmの短周期層もみられる37, 38).脂質ラメラ内での実際の脂質の配向や配置について実験的に明らかにすることは困難であり,いまだ不明であるが,いくつかの構造モデルが提唱されている.その中でも,筆者らが最も妥当と考える分子動力学シミュレーションとクライオ電子顕微鏡を組み合わせて導き出されたモデル39)を下記に紹介する.このモデルはスプレイド二重層モデル(“splayed”とは広がったという意味)と呼ばれるモデル40)を基にし,より実際の脂質ラメラに近い脂質組成(セラミド/コレステロール/遊離脂肪酸/アシルセラミド/脂質ヘッドグループあたりの水分子=33:33:33:5:0.3)を用いることで最適化したものである.このモデルではセラミドの長鎖塩基と脂肪酸は伸展構造をとり(図2C),アシルセラミドのリノール酸部分は対向するセラミドの脂肪酸側に突き出している.遊離脂肪酸はセラミドの脂肪酸鎖にのみ結合するが,コレステロールはやや不均一に分布しており,約25%がセラミドの脂肪酸鎖に,残りが長鎖塩基鎖に結合する.アシルセラミドが二つの層をまたいで存在することはラメラ構造の形成と維持に重要であろう.事実,アシルセラミド合成に関わる遺伝子が欠損したマウスでは脂質ラメラ形成が不全となる21, 27)

5. アシルセラミド産生経路

アシルセラミド(EOタイプセラミド)はC30–C36のω-水酸化脂肪酸のω位にリノール酸がエステル結合した構造を持つ.したがって,アシルセラミド産生には非アシル化セラミドの産生経路(木原の稿を参照)に加え,脂肪酸伸長,ω-水酸化,リノール酸のエステル化という反応が必要になる.アシルセラミドの産生に関わる遺伝子,反応の順序や様式を含めたアシルセラミド産生機構は長年不明であったが,筆者らのグループを中心とした研究により,近年その全容が明らかとなった.

脂肪酸は鎖長により,長鎖脂肪酸(long-chain fatty acid, C11–C20),極長鎖脂肪酸(very-long-chain fatty acid, C21以上),超長鎖脂肪酸(ultra-long-chain fatty acid, C26以上)に分類される.アシルセラミドのω-水酸化脂肪酸部分はC30–C36なので,超長鎖である.脂肪酸は活性体であるアシルCoAの状態で小胞体での脂肪酸伸長サイクルによって伸長される.この伸長反応の律速段階を触媒する酵素は脂肪酸伸長酵素(エロンガーゼ)であり,哺乳類に七つのアイソザイム(ELOVL1–7)が存在する41)

.これらのうち,アシルセラミド産生に必要なC30–C36のアシルCoAの産生にはELOVL1とELOVL4が関与しており,ELOVL1がC26までの伸長を,ELOVL4がそれより長い部分の伸長を担う21, 42, 43)図3).産生された超長鎖アシルCoAは,CoA部分が脱離されて超長鎖脂肪酸となった後,CYP4F22(マウスではCyp4f39)によってω-水酸化超長鎖脂肪酸へと変換される27, 44).ω-水酸化超長鎖脂肪酸はアシルCoA合成酵素FATP4によって再度CoA付加を受け,ω-水酸化超長鎖アシルCoAとなる22).その後,ω-水酸化超長鎖アシルCoAの超長鎖脂肪酸部位と長鎖塩基はセラミド合成酵素CERS3によって縮合され,ω-水酸化セラミド(Oタイプセラミド)となる.最後にトランスアシラーゼPNPLA1がトリグリセリド中のリノール酸をω-水酸化セラミドに転移することでアシルセラミドが産生される45).PNPLA1によるトリグリセリドの利用は脂肪滴局在タンパク質のABHD5によって促進される46).アシルセラミドの産生は小胞体膜上で行われるが,ABHD5はPNPLA1を小胞体と脂肪滴の境界面にリクルートすることでトランスアシレーション反応を促進しているようである.上述のアシルセラミド産生に関わる酵素をコードする遺伝子の変異はいずれも先天性魚鱗癬を引き起こす.これらのうち,CYP4F22, CERS3, PNPLA1の変異は非症候群性魚鱗癬(魚鱗癬以外の症状を示さない)である常染色体潜性先天性魚鱗癬を,ELOVL1, ELOVL4, FATP4の変異は症候群性の魚鱗癬(魚鱗癬以外の症状も示す)を引き起こす14–18, 20)

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図3 アシルセラミドの産生経路

アシルセラミドの産生経路における代謝中間体の名称と構造,反応を触媒する酵素名を示す.

顆粒層ケラチノサイトの小胞体で産生されたセラミドの多く(アシルセラミドを含む)は,グルコシル化された後,ABCトランスポーターであるABCA12により層板顆粒内に輸送される47)

.ただし,NSとASの一部はスフィンゴミエリンへと変換される.層板顆粒は顆粒と名がついているが,顆粒構造は電子顕微鏡観察における化学固定のアーティファクトであるらしく,凍結固定によるクライオ電子顕微鏡観察によってトランスゴルジネットワークから派生したチューブ状のネットワークであることが示されている48).層板顆粒で脂質は初期にはキュービック相の状態にあるが,後期にはラメラ相へと相転移する49).一方,アシルセラミドが産生できないElovl1ノックアウト(KO)マウスあるいはFatp4 KOマウスでは層板顆粒はラメラ相に変換できず,キュービック相のままである21, 27).このことはアシルセラミドがラメラ相の形成・維持に必要であることを示している.上述のようにアシルセラミドはラメラの層間にまたがって存在することでラメラ相を安定化するのであろう.

層板顆粒の先端部が顆粒層と角質層の境界付近で形質膜と融合すると,内容物が細胞外に放出され,脂質ラメラが形成される.層板顆粒に蓄えられたグルコシルセラミドとスフィンゴミエリンはそれぞれβ-グロボセレブロシダーゼとスフィンゴミエリナーゼによる極性基の除去を受けてセラミドになる47)

.アシルセラミドの一部は結合型セラミドへと変換され(後述),角質細胞脂質エンベロープを形成する7, 50)

6. 結合型セラミドの構造と産生経路

角質細胞脂質エンベロープの構成成分である結合型セラミドの構造にはいまだ不明な点が残されている.現在,その構造モデルとして二つのモデル(P-OモデルとP-EOモデル)が提唱されている30, 51, 52)

図2A).それらの名前はともに脂肪酸部分の構造に由来する.P-O(protein-bound ω-hydroxy)脂肪酸とはタンパク質のグルタミン酸残基とエステル結合をしたω-水酸化脂肪酸を表す.すなわち,P–O型結合型セラミドではω-水酸化セラミド(Oタイプセラミド)がタンパク質と結合している.一方,P-EO(protein-bound modified-linoleic acid esterified ω-hydroxy)脂肪酸とは,タンパク質と結合した修飾リノール酸とエステル結合したω-水酸化脂肪酸を表す.すなわち,P-EO型結合型セラミドではアシルセラミドのリノール酸部位が修飾されてエポキシエノンとなった後にその修飾部分がタンパク質と結合している.一般的な結合型セラミドの測定では,これらの結合型セラミドは区別できない(そのため,図2BではまとめてPB-と表記している).その測定では直接結合型セラミドを検出するのではなく,アルカリ処理(エステル結合の切断)で結合型セラミドからOタイプセラミドを遊離させて検出するからである(P-O型とP-EO型の結合型セラミドからは,ともにこの処理によってOタイプセラミドが遊離する).この測定法が汎用されているのは,タンパク質あるいはペプチドが結合した状態の結合型セラミドを分離・検出するのが難しいという技術的な問題による.

歴史的にはまず,P-O型の結合型セラミドの存在が1998年に報告された51)

.その報告ではヒト包皮から調製した結合型セラミド画分をプロテイナーゼK処理し,得られたペプチドと結合型セラミドの結合体を質量分析することで構造を予測した.ただし,その解析ではペプチドと結合型セラミドの結合体として6つのピークしか分析されておらず,結合型セラミド全体の15から20%をカバーしたのみであった.それにもかかわらず,P-O型の結合型セラミドが唯一の結合型セラミドであると長い間信じられてきた.

P-EO型の結合型セラミドが提案されたのは2020年である30)

.この構造は先天性魚鱗癬の原因遺伝子であるSDR9C7の解析の過程で,その遺伝子産物がエポキシエノンアシルセラミド(アシルセラミドから結合型セラミドへの変換経路における中間体)を産生することから推定された(図4).一般的にエノンは反応性が高く,Lys残基やArg残基などのアミノ基とシッフ塩基の形成,およびHis残基,Cys残基,Trp残基などの求核性側鎖とマイケル付加反応によって容易に結合するからである.筆者らは最近,結合型セラミド画分をプロナーゼで処理することによってタンパク質をアミノ酸にまで分解し,アミノ酸と結合型セラミドの結合体を質量分析によって解析する方法を確立した.この方法を用いて,マウス表皮の結合型セラミドを分析したところ,少なくとも6割の結合型セラミドがタンパク質のCys残基とエポキシエノンアシルセラミドがマイケル付加反応によって結合したP-EO型であることを見いだした52).一方,少なくとも筆者らの測定系では従来から提案されてきたP-O型の結合型セラミドは検出されなかった.今後,実際にP-O型の結合型セラミドが存在するのか,残りの4割の結合型セラミドがどのような構造の分子なのかを明らかにする必要がある.

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図4 結合型セラミドの構造,予想産生経路

二つの結合型セラミド(P-O型とP-EO型)モデルの予想産生経路,代謝中間体の名称と構造,反応を触媒する酵素名を示す.

結合型セラミドの産生では,まずアシルセラミドのリノール酸部位が二つのリポキシゲナーゼ(ALOX12BとALOXE3)によって過酸化と引き続くエポキシ水酸化への変換を受け,エポキシヒドロキシ体となる53, 54)

図4).その後,P-EO型の結合型セラミドの産生経路では,上述のようにリノール酸部分がSDR9C7によってエポキシエノンとなった後,エノンがマイケル付加反応で角質細胞の表面タンパク質(周辺帯タンパク質)のCys残基と結合する30, 52).これらの過程に関わる酵素をコードするALOX12B, ALOXE3, SDR9C7遺伝子はいずれも非症候群性魚鱗癬である常染色体潜性先天性魚鱗癬の原因遺伝子である13, 19)

P-O型の結合型セラミドの産生経路では,修飾されたリノール酸(エポキシヒドロキシ体,エポキシエノン体,あるいはエポキシヒドロキシ体がエポキシドヒドロラーゼEPHX2またはEPHX3によってトリオール体に変換された状態)が未同定のエステラーゼによって加水分解を受けた後,産生されたOタイプセラミド(ω-水酸化セラミド)が周辺帯のタンパク質のGln残基と反応してP-O型の結合型セラミドになると予測されている50, 55, 56)

.この最後の過程ではGln残基からアミノ基が取り除かれる51).最後の反応を触媒する酵素は不明であるが,少なくともin vitroでは周辺帯のタンパク質の架橋に働くトランスグルタミナーゼTGM1が活性を示すことが報告されている57).ただし,in vivoにおいてはTGM1は結合型セラミド形成に関与しないという報告もなされている58)

7. セラミドと口腔バリア

アシルセラミドや結合型セラミドが表皮の角質層にだけではなく,マウスの口腔,食道,前胃(ヒトの食道と機能的に類似)にも存在することを筆者らは最近見いだした59)

.これらの組織も表皮と同様に外界と接するため,異物の侵入を阻止する透過性のバリアを必要とする.アシルセラミド/結合型セラミドが口腔バリア形成にも関与することは,Elovl1のコンディショナルKOマウスの舌における蛍光色素の透過実験から明らかとなった59).また,筆者らはヒトにおいても少なくとも解析した頬粘膜と歯肉にアシルセラミドが存在することを明らかにした.一方,結合型セラミドはヒト歯肉には存在していたが,頬粘膜には存在していなかった.マウスの口腔から上部消化管とヒトの歯肉が角化しているのに対し,ヒトの頬は角化していない2, 60).このように結合型セラミドの存在は角化と相関している.

8. おわりに

質量分析をはじめとする分析技術の発達により,ヒト角質層の詳細なセラミド組成が明らかとなった.また,遺伝子の同定を含め,多様なセラミドを産生する分子機構の多くも解明された.しかし,ヒト角質層に多く存在するHタイプセラミドの産生酵素は未同定であり,皮膚バリア異常(アトピー性皮膚炎,乾癬,乾燥肌)で共通してみられるセラミド組成変化の分子機構もいまだ不明である.これらの解明は,バリア異常に起因する皮膚疾患の理解,治療,予防,診断につながる可能性があり,今後に期待したい.

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著者紹介

大野 祐介(おおの ゆうすけ)

順天堂大学薬学部 准教授.博士(生命科学).

略歴

2006年北海道大学薬学部卒業,11年同大学院生命科学院生命医薬科学コース博士課程(大学院薬学研究院生化学研究室,木原章雄教授)を修了し,11年同研究室助教,24年4月より順天堂大学薬学部准教授.

研究テーマと抱負

哺乳類のさまざまな脂質の発見とその合成酵素の同定および生理機能解明を目的に研究を行ってきました.脂質研究の壁である“作用メカニズムを分子レベルで明らかにする”ためのブレークスルーとなるような発見,技術開発をしたい.

趣味

料理,ドライブ.

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