細菌由来スフィンゴ脂質の多様性と機能・生合成
大阪医科薬科大学医学部生化学教室 ◇ 〒569–8686 大阪府高槻市大学町2–7
発行日:2024年8月25日
真核生物においてはスフィンゴ脂質がすべての生物に普遍的に存在するが,原核生物においてスフィンゴ脂質を合成できることがわかっている種は限られ,細菌にとってのスフィンゴ脂質生合成の意義は現段階では不明である.しかし,細菌由来のスフィンゴ脂質は深海の海洋堆積物中など自然界の至るところで見つかっている.また,ヒトの病原菌も含め,真核生物と共生する細菌が産生するスフィンゴ脂質が宿主との相互作用に関与し,たとえば,哺乳類の腸内細菌由来のスフィンゴ脂質が宿主の免疫系を調節し,さまざまなヒトの疾患と関連することが示唆されている.さらに,ゲノム進化学分野ではプロトミトコンドリアの祖先の細菌がスフィンゴ脂質産生菌であった可能性が報告された.細菌が合成するスフィンゴ脂質の化学構造や生合成経路の解明が今後ますます重要となると思われる.
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