Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(6): 737-742 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960737

特集Special Review

糖付加tRNA修飾の生合成と機能Biogenesis and functions of glycosylated tRNA modifications

1東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻Department of Chemistry and Biotechnology, University of Tokyo ◇ 〒113–8656 東京都文京区本郷7–3–1 ◇ 7–3–1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113–8656, Japan

2琉球大学大学院医学研究科医化学講座Department of Medical Biochemistry, Graduate School of Medicine, University of the Ryukyus ◇ 〒903–0215 沖縄県西原町字上原207 ◇ 207 Uehara, Nishihara, Okinawa 903–0215, Japan

発行日:2024年12月25日Published: December 25, 2024
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RNAは転写後にさまざまな修飾が施されることで成熟し,本来の機能を発揮する.RNA修飾が多様な生命現象と密接に関わっていることが明らかになりつつあり,最近ではRNA修飾の世界をエピトランスクリプトミクスと呼び,生命科学に大きな潮流を生み出している.特にtRNAには多くの化学修飾が含まれており,これらはタンパク質合成において重要な役割を果たしている.キューオシン(Q)は細菌から真核生物まで広く存在するtRNA修飾である.ヒトや脊椎動物では,Qがさらに糖付加修飾されることが知られており,ガラクトースが付加されたガラクトシルQ(galQ)とマンノースが付加されたマンノシルQ(manQ)が見つかっている.これらの糖付加Q修飾の機能は,半世紀近く不明であったが,最近筆者らはgalQとmanQの形成に関わる糖転移酵素をそれぞれ同定し,その機能と生理的役割を明らかにした.

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