Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(6): 749-759 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960749

特集Special Review

リボソーム停滞を引き金とする翻訳の産物・基質・装置の分解経路Ribosome-stalling-driven degradation pathways of translation products, substrates, and machinery

東京大学医科学研究所RNA制御学分野Division of RNA and gene regulation, Institute of Medical Science, The University of Tokyo ◇ 〒108–8639 東京都港区白金台4–6–1 東京大学医科学研究所総合研究棟1F ◇ 4–6–1 Shirokanedai, Minato-ku 108–8639, Japan

発行日:2024年12月25日Published: December 25, 2024
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タンパク質翻訳中のリボソームの状態は厳密に監視されており,遺伝子発現の正確性と効率性が保証されている.リボソームの停滞は異常翻訳の目印の一つであり,タンパク質の恒常性を損なって生命機能の破綻を招く恐れがある.細胞には,リボソーム停滞を認識し,その産物(新生ペプチド鎖)・基質(mRNA)・装置(リボソーム)を分解・排除する翻訳品質管理機構が備わっている.近年,停滞を感知する「停滞センサー因子」をはじめ,停滞したリボソームに結合する多数の因子の同定とその機能の解明に伴い,仕様の異なるさまざまなリボソーム停滞の感知を品質管理機構の実行へと結びつける仕組みが明らかになりつつある.本稿では,停滞センサー因子の働きを中心に,停滞したリボソームをハブとする多様な翻訳品質管理機構の分子メカニズムについて最新の知見を紹介する.

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