Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(6): 805-812 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960805

特集Special Review

神経のtRNA修飾病の分子メカニズムMolecular pathogenesis of neurological tRNA modopathies

熊本大学大学院生命科学研究部(医学系)Faculty of Life Sciences, Kumamoto University ◇ 〒860–8556 熊本県熊本市中央区本荘1丁目1–1 ◇ 1–1–1 Honjyo, Chuo-Ku, Kumamoto 860–8556, Japan

発行日:2024年12月25日Published: December 25, 2024
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ヒトのtRNA分子は,転写後にメチル化や硫黄化,水素付加など40種類以上の化学修飾(tRNA修飾)を受ける.tRNA修飾は酵素によりtRNAの特定の位置に導入され,tRNAによるmRNAコドンの精確な解読やtRNAの構造安定化を担うことでタンパク質合成を支える.疾患変異を持つtRNA修飾酵素は50種類以上知られ,中でも神経疾患の原因変異を有するtRNA修飾酵素が36種類も知られる.これらの疾患は全身性の遺伝性疾患であるにもかかわらず,全身の中で特に神経に異常が表出するという特徴を持つ.一方,これらの神経疾患の詳細な発症機構は最近少しずつ解明されつつある段階である.本稿では,神経のtRNA修飾病について,現時点での理解の全容と最新の知見,tRNA修飾病の治療に向けた展望を紹介したい.

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