神経回路による組織特異的な炎症性疾患の制御:ゲートウェイ反射を例に
1 北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野 ◇ 〒064–0815 札幌市北区北15条西7丁目
2 量子科学技術研究開発機構量子生命研究所量子免疫学チーム ◇ 〒263–8555 千葉県千葉市稲毛区穴川4–9–1
3 自然科学研究機構生理学研究所分子神経免疫研究部門 ◇ 〒444–8585 愛知県岡崎市明大寺町字西郷中38
発行日:2025年2月25日
組織特異的な炎症性疾患は複数のステップにて制御されており,その中でも特異的な血管部の状態を制御するゲートウェイ(G)反射は,神経伝達物質と炎症性サイトカインIL-6を介して特定血管部に血液中の免疫細胞の組織侵入口の形成を制御する新しい神経系–免疫系クロストーク機構である.G反射は,それぞれ特異的な神経回路の活性化を介して特定の血管領域に非免疫系細胞でのNF-κB過剰活性化機構であるIL-6アンプを惹起し,ケモカインを産生させることで血管透過性を亢進させて中枢神経系など特定の組織への血液中の免疫細胞の侵入を可能にして炎症状態を誘導する.我々はこれまでに,重力など6種類の環境および人為的要因がG反射を誘導し,中枢炎症を含む疾患の発症に関与することを明らかにしてきた.本稿では,G反射機構の概説に加えて神経反射の最近の知見も議論する.
© 2025 公益社団法人日本生化学会
This page was created on 2025-01-21T13:14:49.509+09:00
This page was last modified on 2025-02-17T10:39:26.000+09:00
このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。