ペリオスチンによるアトピー性皮膚炎における痒みの機序
1 アレルギー学分野 ◇ 〒849–8501 佐賀県佐賀市鍋島5–1–1
2 佐賀大学医学部分子生命科学講座分子医化学分野 ◇ 〒849–8501 佐賀県佐賀市鍋島5–1–1
発行日:2025年4月25日
痒みはアトピー性皮膚炎患者の日常生活の支障になるだけでなく,アトピー性皮膚炎の悪化要因ともなる.アトピー性皮膚炎の起痒物質としていくつかの2型サイトカインが同定されているが,それ以外にも起痒物質が存在すると考えられている.ペリオスチンは2型サイトカインであるIL-4やIL-13によって誘導されるマトリセルラータンパク質である.我々は,新規のアトピー性皮膚炎モデルマウスであるFADSマウスを確立し,ペリオスチン遺伝子の欠損,ならびにαVβ3インテグリン阻害剤であるCP4715の投与により,マウスの痒みが著明に改善されることを見いだした.これより,ペリオスチンは知覚神経へ作用して痒みを伝達することが明らかとなった.今後,CP4715を含めたαVβ3インテグリン阻害剤をアトピー性皮膚炎に対する創薬として開発することが期待される.
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