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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 97(2): 135-144 (2025)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2025.970135

特集Special Review

脊髄における痒みシグナル調節機構Regulatory mechanisms of itch signaling in the spinal cord

1順天堂大学薬学部薬理学分野Department of Molecular and Systems Pharmacology, Faculty of Pharmacy, Juntendo University ◇ 〒279–0013 千葉県浦安市日の出6–8–1 ◇ 6–8–1 Hinode, Urayasu-shi, Chiba 279–0013, Japan

2順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所順天堂かゆみ研究センターJuntendo Itch Research Center (JIRC), Institute for Environmental and Gender Specific Medicine, Juntendo Univ. Graduate School of Medicine ◇ 〒279–0021 千葉県浦安市富岡2–1–1 ◇ 2–1–1 Tomioka Urayasu-shi, Chiba 279–0021, Japan

3九州大学大学院薬学研究院薬理学分野Department of Molecular and Systems Pharmacology, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University ◇ 〒812–8582 福岡県福岡市東区馬出3–1–1 ◇ 3–1–1 Maidashi, Higashi-ku, Fukuoka 812–8582, Japan

発行日:2025年4月25日Published: April 25, 2025
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痒み信号は皮膚から始まり,末梢神経の一種である一次求心性神経を介して脊髄後角神経に入力する.脊髄後角に入力した痒み信号は,軸索の伸長部位が脊髄内に限られる興奮性あるいは抑制性介在神経で構成される複雑な神経回路で処理され,他の脳部位へ情報を伝える投射神経を介して脳へと伝えられる.近年,脊髄後角の痒み神経回路の解析が進展し,痛みとは異なる痒み独自の神経基盤が徐々に明らかになってきている.また,最近の報告から,侵害(痛み)刺激によって興奮し痒みの抑制に寄与する抑制性介在神経の存在も示唆されている.さらに,脊髄後角における痒み信号は,脳から脊髄に投射する多種多様な下行性神経によって興奮性および抑制性の調節を受けることや,慢性的な痒み病態において脊髄後角グリア細胞が活性化し痒みの増強を引き起こすこともわかってきた.

1. はじめに

脊髄は中枢神経系の一部で,灰白質の腹側が前角,背側が後角である.前角は運動神経の細胞体があり,脳や脊髄からの信号を筋に伝える.後角神経は皮膚や深部組織を支配する末梢神経(一次求心性神経)からさまざまな感覚情報を受け取り,最終的に脳へ情報を伝える.つまり,かゆみ(痒み)情報は後角神経を介して伝達される.後角に入力された感覚情報は,興奮性と抑制性の介在神経で構成される複雑な局所回路によって処理された後,脳へ軸索を伸ばす投射神経に中継され,外側腕傍核などいくつかの脳領域へ伝達される.

従来,痛みを伝える神経と痒みを伝える神経は同一のものであり,刺激が弱いと痒みに,強いと痛みになると考えられてきた.しかし,近年の研究により,痛みとは異なる神経回路で痒みが起こることがわかってきた.さらに,脊髄後角の痒み伝達神経は,同じく後角に存在する抑制性の介在神経や脳から脊髄へ下行する軸索(下行性抑制系),グリア細胞,一次求心性神経などによる調節を受けることも明らかになってきた.本稿では脊髄後角に存在する痒み伝達神経およびそれらによって構成される痒み伝達神経回路を解説するとともに,抑制性の介在神経や下行性抑制系,グリア細胞,一次求心性神経などによる痒み信号の調節機構についても解説する.

2. 脊髄後角における痒み伝達神経回路

痒みは,末梢に加えられる刺激に基づき,化学的痒みと機械的痒みに大別される.化学的痒みは,化学物質(起痒物質)によって生じる痒みのことである.抗ヒスタミン薬に対する反応性から,化学的痒みはさらにヒスタミン依存的あるいはヒスタミン非依存的な痒みに分けられる.機械的痒みは,軽い触刺激によって生じる痒みである.本節では化学的痒み,機械的痒みそれぞれの発症に直接寄与する脊髄後角興奮性神経とそれらによって構成される神経回路について解説する.

1)化学的痒み

これまでに,複数の興奮性神経の化学的痒みへの関与が判明している.脊髄後角神経選択的な転写因子T-cell leukemia homeobox 3(Tlx3)欠損マウスや神経細胞選択的なtesticular orphan nuclear receptor 4(TR4)欠損マウスでは脊髄後角表層(第I層およびII層)の興奮性神経が失われ,それらのマウスでは起痒物質による引っ掻き行動がほとんどみられないことがわかった1, 2).近年の研究により,化学的痒みに重要な脊髄後角興奮性神経のマーカー分子の特定も進んでいる.現時点で,ガストリン放出ペプチド受容体(gastrin-releasing peptide receptor:GRPR)を発現する興奮性神経が化学的痒みにおいて最も重要な神経であると考えられている3, 4)図1).Sunらは,脊髄のGRPR陽性神経を除去したマウスにおいて,ヒスタミン依存的およびヒスタミン非依存的起痒物質による引っ掻き行動のほとんどが消失することを見いだした4).その一方で,GRPR陽性神経の除去は急性の痛み関連行動には影響しないことがわかり,GRPR陽性神経は痒み情報伝達に選択的な神経であることが示唆された4).また,脊髄後角のGRPR陽性神経の数は先述のTR4欠損マウスにおいて大きく減少した2).この結果はGRPR陽性神経が脊髄後角第I/II層に局在することと一致している4, 5).しかし,GRPR陽性神経の除去は,脊髄後角から脳部位へ軸索を伸ばす投射神経の大部分に発現するneurokinin-1 receptor(NK1R)を発現する神経の数には影響を及ぼさなかった4).また,視床後外側腹側核(ventral posterior lateral nucleus:VPL)や視床後腹側核内側部(ventral posterior medial nucleus:VPM),外側結合腕傍核(lateral parabrachial nucleus:LPBN)から逆行性に標識した脊髄後角における投射神経のうち,GRPR陽性神経はわずかであった6).また,Muらは結合腕傍核(parabrachial nucleus:PBN)への投射神経に脊髄後角GRPR陽性神経からの興奮性シナプス入力があることを明らかにしている7).これらの知見から,GRPR陽性神経は痒み情報伝達に選択的に寄与する脊髄後角の興奮性介在神経であることが示唆された.

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図1 脊髄後角における化学的痒みの神経回路

GRP:ガストリン放出ペプチド,GRPR:ガストリン放出ペプチド受容体,NPRA:A型ナトリウム利尿ペプチド受容体,NPPB:B型ナトリウム利尿ペプチド,SST:ソマトスタチン,SST2A:ソマトスタチン受容体2A,DYN:ダイノルフィン,GABA:γ-アミノ酪酸.

SunらはGRPR欠損マウスでは起痒物質による引っ掻き行動やGRPRのリガンドであるガストリン放出ペプチド(gastrin-releasing peptide:GRP)の脊髄腔内投与による引っ掻き行動が抑制されることを見いだし,脊髄GRP/GRPRシグナルが痒み伝達に寄与することを見いだした3).GRPを産生する神経細胞については古くから議論され,一次求心性神経と脊髄後角神経が示唆されているが,いまだ議論の渦中にある.初期の免疫染色を用いた報告では,一次求心性神経の細胞体が集積する後根神経節(dorsal root ganglion:DRG)にGRPのシグナルが観察され,一次求心性神経がGRPの主要な産生細胞であることが示唆された3, 8–10).その一方で,免疫染色や定量PCR, in situ hybridizationを用いた別の報告において,GRPのシグナルはDRGではなくむしろ脊髄後角で検出された11–13).さらに,GRP-EGFPやGRP-CreなどのトランスジェニックマウスでGRP陽性神経を直接標識してもGRP陽性神経はDRGでは確認されず脊髄後角でのみ確認された12, 14–18).しかしながら,BarryらはGRP-Creノックインマウスを作製し,Cre陽性細胞が脊髄後角だけでなくDRGにもみられることを示した19).これらの知見から,少なくとも脊髄後角にはGRP陽性神経が存在している可能性は高いと思われる.DRGにおけるGRPの発現については,完全に決着がついておらず今後の展開を見守る必要がある.

脊髄後角のGRP陽性神経の機能については,複数の研究が行われてきた.Paganiらは脊髄スライスを用いて電気生理学と光遺伝学を組み合わせた検討を行い,GRP陽性神経とGRPR陽性神経は単シナプス性興奮結合をしているにもかかわらず,GRP陽性神経における単一の活動電位はGRPR陽性神経の活動電位を誘発するのには不十分であることを突き止めた14).GRP陽性神経が高頻度発火(バースト発火)したときのみGRPR陽性神経が興奮することがわかった.このバースト刺激によるGRPR陽性神経の興奮はGRPRの拮抗薬では完全に抑制されたが,グルタミン酸受容体の拮抗薬ではいくつかのGRPR陽性神経で活動電位が認められた14).AlbisettiらはGRP-Creトランスジェニックマウスを用いて脊髄GRP陽性神経を除去した際に侵害刺激による反応には影響せずに起痒物質による引っ掻き行動が減少することや,脊髄GRP陽性神経を活性化した際に自発的な引っ掻き行動が増加することを見いだした17).Sunらも同様に脊髄GRP陽性神経を除去した際に起痒物質による引っ掻き行動が減少することを見いだした一方で,痛み関連行動も脊髄GRP陽性神経の除去によって抑制されることも見いだした18).多少の結果の違いはあるものの,これらの結果から脊髄GRP陽性神経はGRPR陽性神経の興奮を介して脊髄後角における痒み伝達に寄与していることが示唆される.しかしながら,最近BarryらはGRP-Creノックインマウスを用いて脊髄GRP陽性神経の除去は痒みにも痛みにも影響がないことを示した19).それゆえ,脊髄GRP陽性神経の役割に関してはさらなる研究が必要だろう.

GRPR陽性神経およびGRP陽性神経以外にも化学的痒みにおける重要な神経が特定されている.A型ナトリウム利尿ペプチド受容体(natriuretic peptide receptor A:NPRA)を発現する脊髄後角神経の除去は起痒物質によって誘発される痒み関連行動を選択的に抑制することがわかった12).NPRA陽性神経の除去は,NPRAのリガンドであるB型ナトリウム利尿ペプチド(natriuretic peptide B:NPPB)による引っ掻き行動は抑制したが,GRPの脊髄くも膜下腔内投与(脊髄腔内投与)による引っ掻き行動には影響しなかった.さらに,NPRAはGRPと共発現していた12).これらの結果からNPRA陽性神経はGRPR陽性神経の上流に位置し,化学的痒み伝達に寄与していることが示唆された(図1).NPPBについては一次求心性神経の痒み神経サブセットに発現していることがわかっている20)

2)機械的痒み

近年,化学的痒みだけでなく機械的痒みに寄与する脊髄後角の興奮性神経に関する研究も進んでいる(図2).Panらは,urocortin 3(UCN3)-Creマウスを用いてUCN-3-Creを発現する脊髄後角興奮性介在神経が機械的痒みにおいて重要な神経であることを見いだした.UCN3-Cre陽性神経を除去あるいは不活性化すると軽い触刺激による引っ掻き行動は減少したが起痒物質による引っ掻き行動は変化しなかった.また,UCN3-Cre陽性神経は低閾値機械受容器(low-threshold mechanoreceptor:LTMR)を持つToll-like receptor 5(TLR5)陽性一次求心性神経から入力を受けていることもわかった21).ActonらはニューロペプチドY1受容体(neuropeptide Y1 receptor:NPY1R)-Creマウスを用いてNPY1R-Creを発現する脊髄後角興奮性神経も機械的痒みに関与することを見いだした22).脊髄NPY1R-Cre陽性神経の除去あるいは抑制によって機械的痒み関連行動は抑制されたが,起痒物質による引っ掻き行動は変わらなかった22).しかしながら,UCN3-Cre陽性神経とNPY1R陽性神経は部分的にしか重ならなかった21)

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図2 脊髄後角における機械的痒みの神経回路

TLR5:Toll-like receptor 5,LTMR:低閾値機械受容器,UCN3:urocortin 3,NPY1R:neuropeptide Y1受容体,TAC2:タキキニン2,GRPR:ガストリン放出ペプチド受容体.

当初は,機械的痒みは脊髄GRPR陽性神経には依存せず,化学的痒みとは異なる神経回路を持つことが示唆されてきたが23),最近,Chenらは機械的痒みもGRPR陽性神経を介する可能性を示し,GRPR陽性神経を介する機械的痒みにタキキニン2(tachykinin 2:TAC2)-Cre陽性神経が寄与することを見いだした(図2).TAC2-Cre陽性神経の80%以上は興奮性神経であり,Aβ, AδおよびC線維からの入力を受けていた.また,乾燥肌モデルマウスではTAC2-Cre陽性神経の興奮性が亢進していた24).さらに最近,Daiらは,TAC2-Cre陽性神経の25%でNPY1Rが発現していることを見いだした25).TAC2-Cre陽性神経とUCN3-Cre陽性神経の関係性は依然不明であり,GRPR陽性神経依存的経路と非依存的経路の違いも含めて今後の研究が必要ではあるが,機械的痒みの神経回路は想像以上に複雑かもしれない.

3. 抑制性介在神経による痒み調節機構

1)化学的痒み

Rossらは,胎生期から幼若期にかけて一過性に発現する転写因子basic helix-loop-helix 5(BHLHB5)を欠損したマウスでは脊髄後角第I/II層の抑制性介在神経が失われ,自発的な引っ掻き行動や起痒物質による引っ掻き行動が増加することを見いだした26).その後のKardonらの研究で,BHLHB5欠損マウスではガラニンあるいは神経型一酸化窒素合成酵素(neuronal nitric oxide synthase:nNOS)陽性の脊髄後角第I/II層の抑制性介在神経が失われていることがわかり,ガラニンあるいはnNOS陽性抑制性介在神経が化学的痒みの抑制に寄与していることが示唆された27).最近,ガラニン陽性神経とGRPR陽性神経との間で抑制性のシナプス結合があることが示されており,少なくとも胎生/幼若期に一過性にBHLHB5を発現する抑制性神経(B5-I神経)のうちガラニン陽性神経は化学的痒みの抑制に関わっている可能性が高い(図128)

また,B5-I神経の大部分がソマトスタチン受容体2A(somatostatin receptor 2A:SST2A)を発現していることもわかった27).ソマトスタチンアナログであるオクトレオチドの脊髄腔内投与により自発的な引っ掻き行動が増加し,BHLHB5欠損マウスではオクトレオチドによる引っ掻き行動は消失した.B5-I神経はソマトスタチンにより過分極応答を示すことから,ソマトスタチンによる痒みはB5-I神経の抑制によるものであることが示唆される.これまでに,ソマトスタチンの発現は,一次求心性神経と脊髄後角介在神経で確認されている.一次求心性神経においては,ソマトスタチンはNPPB陽性神経に発現しており,光遺伝学を用いた同神経選択的な刺激は引っ掻き行動を誘発した29).また,脊髄後角においては第II層の神経を中心に幅広く発現しており,脊髄後角ソマトスタチン陽性神経の選択的な刺激によりSST2Aを介した引っ掻き行動時間の増加が確認された30).Chamessianらは脊髄後角におけるソマトスタチン陽性神経選択的なRNA-seqを行い,ソマトスタチン陽性神経ではGRPおよびNPRAが高発現していることを見いだした31).脊髄後角のソマトスタチン陽性神経の数は多いため,おそらくソマトスタチン陽性神経の一部にGRP/NPRA陽性神経が含まれていると考えられる.一次求心性神経および脊髄後角神経双方でのソマトスタチンの欠損により起痒物質による引っ掻き行動の増加は抑制されたが,一次求心性神経あるいは脊髄後角いずれか片方の組織でのソマトスタチンの欠損では引っ掻き行動増加に影響はみられなかった29).つまり,化学的痒みには一次求心性神経および脊髄後角神経双方からのソマトスタチンが必要であることが示唆される(図1).

B5-I神経はSST2Aだけでなく,κオピオイド受容体(κ-opioid receptor:KOR)の内因性リガンドであるダイノルフィン(dynorphin:DYN)も発現する.DYN陽性神経の活性化は,起痒物質およびオクトレオチドによる引っ掻き行動増加を抑制した29).KOR作動薬の全身あるいは脊髄腔内投与は,起痒物質による痒み関連行動や乾燥肌モデルマウスの引っ掻き行動増加を抑制するとともに,GRPの脊髄腔内投与による痒み関連行動増加も抑制した27).しかし,DYN遺伝子[プロダイノルフィン(prodynorphin:PDYN)]欠損マウスではBHLHB5欠損マウスで認められた自発的な引っ掻き行動やヒスタミン非依存的な起痒物質(クロロキン)による引っ掻き行動の増強が認められなかった.この結果から,BHLHB5欠損マウスで観察される痒み関連行動の異常な増加は,脊髄DYNの欠損のみによるものではないことが示唆され,B5-Iニューロンによる引っ掻き行動の抑制においては抑制性伝達物質であるγ-アミノ酪酸(γ-aminobutyric acid:GABA)および/またはグリシンが重要な役割を果たしていることが示唆される(図127)

B5-I神経は,痒みを抑制する刺激である侵害性熱刺激や冷刺激に反応する一次求心性神経からの入力を受けることもわかった.冷刺激受容に関与するtransient receptor potential melastatin 8(TRPM8)のアゴニストであるメントールは,野生型マウスにおいて起痒物質による引っ掻き行動を抑制したが,BHLHB5欠損マウスではそのような抑制は認められなかった27).これらの結果から,B5-I神経は侵害性熱刺激や冷刺激による痒みの抑制を担っていることが示唆される(図1).

2)機械的痒み

脊髄後角の機械的痒みを担う神経回路も抑制性介在神経による調節を受けている(図2).Bouraneらは,ニューロペプチドY(neuropeptide Y:NPY)-Creマウスを用いてCreを発現する脊髄後角神経(NPY-Cre陽性神経)の除去により,自発的引っ掻き行動や軽度機械刺激による引っ掻き行動が生じるが,起痒物質による引っ掻き行動には影響しないことを見いだした.また,脊髄後角NPY-Cre陽性神経の選択的な活動抑制によっても軽度機械刺激による引っ掻き行動が生じることがわかった23).NPY-Cre陽性神経の大部分は,GABA合成に関わるグルタミン酸脱炭酸酵素1もしくはグリシントランスポーター2を発現する抑制性介在神経であり,NPY1R-Cre陽性神経やUCN3-Cre陽性神経はNPY-Cre陽性神経からの抑制性のシナプス入力を受けていることもわかった21, 22).最近,Daiらは,脊髄後角TAC2-Cre陽性神経もNPY-Cre陽性神経から直接入力を受けていることを見いだした.また,慢性的な痒みを発症した接触皮膚炎モデルマウスではTAC2-Cre陽性神経のNPY1Rの発現量が低下していることもわかった25).以上の結果から,脊髄後角NPY-Cre陽性神経は機械的痒み発症の抑制に関与しており,慢性的な痒み発症時にはNPY1Rの発現が低下することで痒みの悪化に寄与していることが示唆される.

4. 下行性神経による痒み調節機構

痛覚だけでなく,痒みも脳からの下行性神経により調節を受ける(図3).下行性制御における主要な物質としてセロトニン(serotonin, 5-hydroxytryptamine:5-HT)とノルアドレナリン(noradrenaline:NA)があげられる.下行性の5-HT作動性神経は,吻側延髄腹内側部(rostral ventromedial medulla:RVM)から脊髄後角に軸索を伸ばしている.Zhaoらは,脊髄の5-HT作動性神経線維の除去によって起痒物質による引っ掻き行動が減少することを見いだし,下行性5-HT作動性神経による痒み増強機構の存在を示した32).5-HTの合成に関わるトリプトファン水酸化酵素2の欠損マウスでは,ヒスタミン非依存的な起痒物質による引っ掻き行動が抑制され,脊髄腔内への5-HTの投与によりその抑制が解除された.複数の5-HT受容体作動薬の中でも5-HT1A受容体作動薬のみがGRP誘発引っ掻き行動を増強した.また,5-HT1A受容体とGRPRは共発現しており,ヘテロ複合体として機能している可能性も示された.5-HT1A受容体とGRPRの共刺激は脊髄GRPR陽性神経の興奮性を増加させ,GRP-GRPRシグナルを増強していることもわかった32)

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図3 下行性神経による痒み調節機構

PAG:中脳水道灰白質,LC:青斑核,A11:視床下部A11領域,RVM:吻側延髄腹内側部,DYN:ダイノルフィン,TAC1:プレプロタキキニン1,NA:ノルアドレナリン,DA:ドーパミン,5-HT:セロトニン,TACR1:ニューロキニン1受容体,KOR:κオピオイド受容体,GABA:γ-アミノ酪酸,D1R:ドーパミンD1受容体,GRP:ガストリン放出ペプチド,5-HT1AR:5-HT1A受容体,GRPR:ガストリン放出ペプチド受容体,α1AR:アドレナリンα1A受容体.

Gaoらは,中脳水道灰白質(periaqueductal gray:PAG)からRVM神経に投射するプレプロタキキニン1(preprotachykinin 1:TAC1)を発現するグルタミン酸作動性神経(TAC1陽性PAG神経)の活動を抑制すると,ヒスタミン依存的および非依存的な起痒物質による引っ掻き行動が減少することを見いだした33).TAC1陽性PAG神経を光あるいは化学遺伝学的に活性化すると自発的な引っ掻き行動が増加し,この増加は脊髄GRPR陽性神経の除去で消失したことから,下行性RVM神経を介していることが示唆された.しかしながら,このTAC1陽性PAG神経による引っ掻き行動増加は下行性5-HT作動性神経には依存していなかった33)

RVMに局在する下行性神経は,脊髄の痛覚伝達を調節することが知られる.RVMの神経細胞は機能的にON, OFF, Neutral細胞に分類される.ON細胞は,侵害刺激による逃避反射の直前に興奮し,下行性疼痛促進に関与する.OFF細胞は逃避反射を起こす直前に発火が停止し,下行性疼痛抑制に関与する.Neutral細胞の発火は侵害刺激には影響されない.Follansbeeらは起痒物質によって半数以上のON細胞が興奮し,3割以上のOFF細胞の発火が抑制されることを見いだした34).また,下行性RVM神経の多くはニューロキニン1受容体(tachykinin receptor 1:TACR1)を発現しており,ON細胞はニューロキニン1受容体の内因性リガンドであるサブスタンスPの局所投与によって興奮し,起痒物質による引っ掻き行動が減少することも発見した35).下行性TACR1陽性RVM神経を化学遺伝学的に活性化しても起痒物質による引っ掻き行動は減少した.この下行性TACR1陽性RVM神経は,先述の興奮に伴い引っ掻きを増加させるTAC1陽性PAG神経とは役割が異なることから,これらの神経はそれぞれ別経路を介して痒み調節に関わることが示唆される.

最近,Nguyenらは,KOR-Creマウスを用いて,下行性KOR陽性RVM神経を選択的に活性化することで,ヒスタミン非依存的起痒物質による引っ掻き行動が抑制されることを見いだした.このKOR陽性RVM神経はGABA作動性神経で,PAGのPDYN陽性神経からの投射を受けていた.PDYN陽性PAG神経を活性化すると,ヒスタミン非依存的起痒物質による引っ掻き行動が増加した36).これらの結果から,PDYN陽性PAG神経の興奮によりDYNが下行性KOR陽性RVM神経を抑制し,痒み伝達を増強することが示唆される.

下行性NA作動性神経による痒み調節に関する報告も相次いでいる.アドレナリンα1またはα2受容体作動薬を脊髄腔内投与すると,起痒物質による引っ掻き行動が抑制された37).下行性NA神経は主に青斑核(locus coeruleus:LC)に集合している.Kogaらは,下行性NA神経を活性化するとヒスタミン依存的あるいは非依存的起痒物質による引っ掻き行動や接触皮膚炎に伴う慢性的な痒み行動が抑制されることを見いだした38).逆に下行性NA神経を抑制すると起痒物質による引っ掻き行動は増加した.これは,下行性NA神経は,起痒物質の刺激に応答し痒みの抑制に関与していることを示唆している.また,GRPR陽性神経における抑制性応答がNAおよびアドレナリンα1A受容体作動薬によって促進されることもわかった38).脊髄後角におけるα1A受容体は抑制性介在神経に発現していることから,下行性NA作動性神経から放出されたNAはα1A受容体を介して抑制性介在神経に作用し,抑制性シナプス伝達を亢進させGRPR陽性神経の活動を抑制していることが示唆される39).Shiraishiらは,抑制性神経選択的にα1A受容体を欠損したマウスにおいて,ヒスタミン非依存的起痒物質による引っ掻き行動が増加することを明らかにした.しかし,ヒスタミン依存的起痒物質による引っ掻き行動には影響がなかった40).これらの結果から,抑制性介在神経に発現するα1A受容体はヒスタミン非依存的起痒物質による痒みの抑制に寄与していることが示唆される.Serafinらは,脊髄のPDYN陽性介在神経でα1A受容体が高発現していることを見いだしているが,実際にDYNの脊髄腔内投与によってヒスタミン非依存的起痒物質による引っ掻き行動が抑制される一方で,ヒスタミンによる引っ掻き行動には影響がないことがわかっており,α1A受容体に関する結果と一致する41, 42).下行性NA作動性神経のヒスタミン依存的起痒物質による引っ掻き行動への影響については,α1A受容体以外のα受容体の関与を考える必要がある.先述のように,α2受容体作動薬の脊髄腔内投与によって起痒物質による引っ掻き行動が抑制されたことから,α2受容体が関与する可能性がある37).Kawasakiらはラットの脊髄後角においてα2A受容体を刺激すると一次求心性神経からの興奮性入力が減少することを見いだした43).α2受容体は一次求心性神経の一部や,GRPR陽性神経を含む脊髄後角興奮性神経に発現していることから,NAはα2受容体を介してこれらの神経を直接抑制する可能性もある39).脊髄後角α2受容体の痒み抑制への関与については,今後の詳細な検討が必要である.

セロトニンやノルアドレナリンに加え,最近はドーパミン(dopamine:DA)による下行性制御に関しても報告されている.視床下部に存在するDA神経細胞群(A11~15)のうち,A11領域DA神経は脊髄へ投射することが知られる.Zhangらは,下行性DA作動性A11神経が起痒物質刺激に応答することや,同神経を活性化するとヒスタミン依存的および非依存的起痒物質による引っ掻きや接触皮膚炎モデルの慢性的な引っ掻きが増強し,逆に同神経の活動を抑制するとそれらの引っ掻きが抑制されることを見いだした44).ドーパミンD1受容体(dopamine D1 receptor:D1R)拮抗薬の脊髄腔内投与で起痒物質による引っ掻き行動が抑制され,そのような抑制はドーパミンD2受容体拮抗薬では認められなかったことから,D1Rの痒み増強への関与が示唆された.また,D1Rは脊髄後角表層の興奮性介在神経に発現しており,D1R陽性神経の約75%がGRPを発現していた.D1R陽性神経を活性化すると自発的な引っ掻き行動が増加し,GRPR陽性神経の除去やGRPR拮抗薬ではD1R陽性神経依存的な引っ掻き行動が抑制された44).以上の結果から,下行性DA作動性神経はGRP陽性興奮性介在神経に発現するD1Rを介してGRP-GRPRシグナルの増強を引き起こすことで痒み信号調節に寄与していることが示唆される.

5. グリア細胞あるいは一次求心性神経による痒み調節機構

脊髄後角には神経細胞だけでなく,非神経細胞(グリア細胞)も存在する.これまでに,アストロサイトおよびミクログリアによる痒み調節機構が報告されている.

アストロサイトは最も数の多いグリア細胞である.我々は,アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎モデルマウスを用いて,慢性的な痒み発症時に脊髄後角アストロサイトが転写因子の一つであるシグナル伝達兼転写活性化因子3(signal transducer and activator of transcription 3:STAT3)依存的に活性化し,アストロサイト選択的にSTAT3を欠損させると起痒物質による引っ掻き行動増加には影響せずに慢性的な引っ掻き行動のみ抑制されることを見いだした.このアストロサイトでのSTAT3活性化は,一般的な一過性の活性化とは異なり,アストロサイトのイノシトール三リン酸受容体1を介したカルシウムシグナル依存的に長期的に続くことも明らかにした45).脊髄後角アストロサイトの活性化は先述のアトピー性皮膚炎,接触皮膚炎モデルマウスに加えて,乾燥肌モデルマウスの脊髄後角でも認められている46–49).また,アストロサイトSTAT3依存的に発現増加する液性因子としてリポカリン2(lipocalin 2:LCN2)が見いだされており,LCN2のみの脊髄腔内投与では引っ掻き行動は増加しないが,GRPとLCN2の共投与ではGRPによる引っ掻き行動が増強することがわかった46).同様の傾向はGRPによるGRPR陽性神経の活性化においても認められた48).アストロサイト選択的にLCN2の発現を抑制すると慢性的な痒み行動が抑制されたことから,慢性的な痒み発症時において脊髄後角アストロサイトでのSTAT3依存的に発現増加したLCN2によってGRP-GRPRシグナルが増強されることが示唆された(図4a46, 48)

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図4 グリア細胞・一次求心性神経による痒み調節機構

(a)アストロサイト・一次求心性神経による痒み調節機構.(b)ミクログリアによる痒み調節機構.ST2:interleukin-1 receptor-like 1,TLR4:Toll-like receptor 4,STAT3:シグナル伝達兼転写活性化因子3,IP3R1:1型イノシトール三リン酸受容体,LCN2:リポカリン2,NPPB:B型ナトリウム利尿ペプチド,NPRA:A型ナトリウム利尿ペプチド受容体,GRP:ガストリン放出ペプチド,GRPR:ガストリン放出ペプチド受容体,NPTX2:ニューロナルペントラキシン2,CX3CR1:CX3CL1受容体,NLRP3:NOD-like receptor family, pyrin-containing domain 3.

慢性的な痒み発症時の脊髄後角アストロサイトの活性化機構については諸説ある(図4a).我々は,接触皮膚炎に伴う慢性的な痒みモデルマウスの一次求心性神経において,STAT3活性化因子として知られるinterleukin-6(IL-6)が発現増加しており,一次求心性神経選択的にIL-6の発現を抑制すると脊髄後角でのLCN2の発現や慢性的な痒み行動が抑制されることを見いだした45).Duらは,慢性的な痒みモデルマウスの脊髄後角アストロサイトやオリゴデンドロサイトでIL-33が発現増加しており,IL-33の受容体であるinterleukin-1 receptor-like 1(ST2)を欠損させると脊髄後角のSTAT3活性化が抑制されることを明らかにした47).また,LiuらはToll-like receptor 4(TLR4)が乾燥肌に伴う慢性的な痒みモデルマウスの脊髄後角アストロサイトで発現増加しており,TLR4の全身欠損によってアストロサイトの活性化や乾燥肌による引っ掻き行動が抑制されることを見いだした49).しかしながら,現時点でIL-6とIL-33, TLR4の関係性は不明であるため,今後それらの関係性を解明する必要があるだろう.

ミクログリアは中枢神経系の免疫担当細胞であり,マクロファージと機能的に類似している.脊髄後角ミクログリアも痒みモデルマウスでの活性化が認められているが,痒みの慢性期に活性化するアストロサイトとは異なり,起痒物質の投与直後や乾燥肌および接触皮膚炎モデル早期における一過性の活性化が確認されている49–51).Zhangらは接触皮膚炎モデル早期におけるミクログリア活性化にはCX3CL1受容体(CX3CR1)を介したp38分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(p38 mitogen-activated protein kinase:p38)の活性化が関与していることを見いだした51).Yangらはミクログリアを除去したマウスにおいて,ヒスタミン依存的および非依存的起痒物質による引っ掻き行動が抑制されることを明らかにした.また,CX3CR1欠損マウスやCX3CR1拮抗薬の脊髄腔内投与によってヒスタミン依存的起痒物質による引っ掻き行動は抑制されたものの,ヒスタミン非依存的起痒物質による引っ掻き行動には影響がなかった52).ミクログリアの除去はヒスタミン依存的起痒物質によるNPRA陽性神経の活性化を抑制したが,ヒスタミン非依存的起痒物質によるNPRA陽性神経の活性化は抑制せず,GRPR陽性神経の活性化のみ抑制した52).これらの結果から,ミクログリアはヒスタミン依存的および非依存的痒みの調節に寄与するが,両者の調節はそれぞれ異なる経路を介していることが示唆された.ミクログリアの活性化は乾癬モデルマウスでも認められている.Xuらはミノサイクリン投与によるミクログリアの抑制や,コロニー刺激因子1受容体(colony stimulating factor 1 receptor)拮抗薬によるミクログリアの除去を行うと乾癬モデルの引っ掻き行動が抑制されることを見いだした53).また,Liuらは,乾癬モデルマウスの脊髄後角ミクログリアでNOD-like receptor family, pyrin-containing domain 3(NLRP3)インフラマソームの活性化とIL-1βの産生が亢進しており,NLRP3やカスパーゼ1の阻害薬やIL-1βの中和抗体の脊髄腔内投与によって乾癬モデルの引っ掻き行動が抑制されることを明らかにした54).I型インターロイキン1受容体はGRPR陽性神経に発現しているため,IL-1βはミクログリアから放出される痒み調節因子の一つである可能性が高い(図4b54)

グリア細胞に加えて,最近,慢性的な痒み発症時に一次求心性神経で発現増加する物質が直接的に脊髄後角神経の活動を調節することも示されている55).Kanehisaらは,アトピー性皮膚炎および接触皮膚炎モデルマウスを用いて,慢性的な痒み行動が増加する慢性期において,一次求心性神経でニューロナルペントラキシン2(neuronal pentraxin 2:NPTX2)が発現増加し,NPTX2の欠損によって慢性的な痒み行動が抑制されることを見いだした.また,NPTX2は脊髄後角GRPR陽性神経のグルタミン酸神経伝達を亢進することも明らかにした(図4a55)

6. おわりに

以上,これまでのさまざまな研究から,脊髄後角の痒み伝達神経回路およびその調節機構は非常に複雑であることがみえてきた.化学的痒みおよび機械的痒みともにその神経基盤は徐々に明らかになりつつあるが,いまだ解決していない問題もあり,今後のさらなる検討が必要である.慢性的な痒み病態においても,グリア細胞や一次求心性神経など,関与する細胞が解明されただけでなく,それらの細胞で産生される液性因子の寄与も徐々に明らかになってきた.しかしながら,グリア細胞に変化をもたらす末梢のメカニズムや,抑制性の痒み調節に関わる神経や分子が慢性的な痒み病態でどのように機能・発現変化するのかは,多くが不明のままである.前述の痒み神経基盤に関する未解決問題や,慢性的な痒み病態における神経系の変化に寄与する末梢のメカニズムや抑制性調節機構の変化に関する研究からの知見は,難治性痒みの新規治療法の開発ならびに診断法確立の基盤となることが期待される.

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著者紹介Author Profile

白鳥 美穂(しらとり みほ)

順天堂大学薬学部薬理学分野/大学院医学研究科環境医学研究所順天堂かゆみ研究センター 准教授.博士(薬学).

略歴

2014年九州大学大学院薬学府医療薬科学専攻博士課程修了.同年同大学大学院薬学研究院学術研究員.16年同大学同研究院テニュアトラック助教.21年同大学同研究院薬理学分野助教.24年より現職.

研究テーマと抱負

かゆみについて,神経系を起点とした研究を行っています.アトピー性皮膚炎など病態時の難治性かゆみの克服につながるような研究を行っていきたいと思っています.

津田 誠(つだ まこと)

九州大学大学院薬学研究院薬理学分野 教授.博士(薬学).

略歴

1998年星薬科大学大学院薬学研究科博士課程修了,99年JST特別研究員,2002年トロント小児病院博士研究員,04年厚生労働省入省(国立医薬品食品衛生研究所),05年九州大学薬学研究院助手,06年助教授,14年より現職.

研究テーマと抱負

グリア細胞を切り口にした痛みや痒みなどの感覚機能の制御と破綻に関する研究および脳神経疾患に関する研究.生体のホメオスタシスとその破綻による疾患の仕組みの理解に向けた分子~細胞~個体レベルの包括的な研究を目指しています.

ウェブサイト

http://life-innov.phar.kyushu-u.ac.jp/

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