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公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 97(2): 135-144 (2025)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2025.970135

特集

脊髄における痒みシグナル調節機構

1順天堂大学薬学部薬理学分野 ◇ 〒279–0013 千葉県浦安市日の出6–8–1

2順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所順天堂かゆみ研究センター ◇ 〒279–0021 千葉県浦安市富岡2–1–1

3九州大学大学院薬学研究院薬理学分野 ◇ 〒812–8582 福岡県福岡市東区馬出3–1–1

発行日:2025年4月25日
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痒み信号は皮膚から始まり,末梢神経の一種である一次求心性神経を介して脊髄後角神経に入力する.脊髄後角に入力した痒み信号は,軸索の伸長部位が脊髄内に限られる興奮性あるいは抑制性介在神経で構成される複雑な神経回路で処理され,他の脳部位へ情報を伝える投射神経を介して脳へと伝えられる.近年,脊髄後角の痒み神経回路の解析が進展し,痛みとは異なる痒み独自の神経基盤が徐々に明らかになってきている.また,最近の報告から,侵害(痛み)刺激によって興奮し痒みの抑制に寄与する抑制性介在神経の存在も示唆されている.さらに,脊髄後角における痒み信号は,脳から脊髄に投射する多種多様な下行性神経によって興奮性および抑制性の調節を受けることや,慢性的な痒み病態において脊髄後角グリア細胞が活性化し痒みの増強を引き起こすこともわかってきた.

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