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公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 97(2): 145-151 (2025)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2025.970145

特集

痒みを標的とした創薬開発

京都大学大学院医学研究科皮膚科学 ◇ 〒606–8507 京都市左京区聖護院川原町54

発行日:2025年4月25日
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慢性的に持続する痒みは皮膚の炎症やバリア障害に加え,睡眠障害などをもたらし生活の質を著しく低下させる.そのため痒みの治療は健康を保つ上で非常に重要な役割を持つ.近年,病態ごとの痒みの発症機序が明らかにされるとともに創薬の進歩も加わり,これまでコントロールが困難であった痒みに対して効果的な治療が望める時代に入った.本稿では,現在までに明らかにされている痒みの機序を,痒みメディエーターとそれを感知し伝達する神経系の観点から述べる.特に,IL-31を標的としたIL-31受容体抗体であるネモリズマブはわが国で開発された薬剤であり,現在アトピー性皮膚炎や結節性痒疹の痒みの治療薬として臨床応用されている.本稿では,痒みの改善に働く薬剤作用機序を解説し,今後の創薬の展望を述べる.

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