痒み研究と最近の研究動向
金城学院大学薬学部病態薬理学 ◇ 〒463–8521 愛知県名古屋市守山区大森2–1723
発行日:2025年4月25日
痒み(itch, pruritus)は,誰しもが経験している不快な異常感覚である.痒みは,主観的な感覚であることからヒトでその研究は行われてきた.しかし,倫理上の問題に加え,痛みと違い死に直結することが少ないため,痛み研究に比べ痒み研究は非常に遅れていた.1990年代に動物でも痒み研究の可能性が示されたことから,これまで痒みの発生機序の中心と考えられていたマスト細胞-ヒスタミン系以外の新規の痒みの発生機序や関連する痒み因子に関して多くの知見が報告された.本稿では,痒み研究がどのようになされていったか,ヒトや動物の痒みの評価法や病態動物モデルの開発,新規痒み因子や産生細胞に加え痒みの伝達機構やその内因性制御機構などの解明,痒みそのものの研究から痒みの質に関わる研究への展開などを概説する.
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