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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 97(2): 172-179 (2025)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2025.970172

特集Special Review

皮膚微生物叢,黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎の痒みSkin microbiome and itch of atopic dermatitis

1大阪大学大学院医学系研究科皮膚免疫微生物学共同研究講座Cutaneous Immunology and Microbiology, Graduate School of Medicine, Osaka University ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘2–2 ◇ 2–2 Yamadaoka, Suita, Osaka 565–0871, Japan

2大阪大学免疫学フロンティア研究センター皮膚アレルギー・生体防御Cutaneous Allergy and Host Defense, Immunology Frontier Research Center, Osaka University ◇ 〒565–0871 大阪府吹田市山田丘2–2 ◇ 2–2 Yamadaoka, Suita, Osaka 565–0871, Japan

発行日:2025年4月25日Published: April 25, 2025
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皮膚微生物叢の乱れによって皮膚表面に定着する黄色ブドウ球菌は,皮膚バリア機能障害や皮膚炎を引き起こし,アトピー性皮膚炎の病態や発症に深く関与していることがわかってきた.特に,最近の研究では,黄色ブドウ球菌が産生するプロテアーゼがアトピー性皮膚炎の主要な病態である痒みを直接的に誘発することが報告されている.これらの発見により,黄色ブドウ球菌がアトピー性皮膚炎においてきわめて重要な役割を果たしていることが示されつつある.

本稿では,皮膚微生物叢の乱れにより黄色ブドウ球菌が定着することで,皮膚炎,皮膚バリア機能障害,そして痒みがどのような機序で引き起こされるのかを,最新の研究動向とともに詳細に紹介する.

1. はじめに

皮膚微生物叢と皮膚疾患の研究は近年大きく進み,黄色ブドウ球菌の皮膚表面の定着はアトピー性皮膚炎の病態だけでなく発症そのものに寄与している可能性が明らかとなり,注目を集めている.それと同時に皮膚の痒みの研究もここ10年で飛躍的な発展を遂げている.今世紀に入って明らかにされた痒みのメカニズムをターゲットとした治療は,すでに臨床現場で広く使われるようになっている.皮膚常在細菌叢と痒みを直接つなぐメカニズムとして最近,黄色ブドウ球菌の産生するV8プロテアーゼが皮膚の末梢神経のproteinase-activated receptor 1(PAR1)受容体を介して痒みを引き起こすことがマウスとヒトの神経細胞を用いた詳細な研究で報告され,皮膚微生物叢の乱れが皮膚の痒みを惹起するメカニズムが明らかになりつつある.本稿では,皮膚微生物叢の乱れとアトピー性皮膚炎の関わりから,黄色ブドウ球菌がどのような機序でアトピー性皮膚炎の病態に関与しているのか,そして,最近の黄色ブドウ球菌由来プロテアーゼと痒みの関連の研究までをまとめて紹介する.

2. 皮膚微生物叢とアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎患者の皮膚には,健常者と比較して黄色ブドウ球菌が定着しやすいことが古くから知られており,健常者の皮膚からは5~30%と多くの場合黄色ブドウ球菌が検出されない一方で,アトピー性皮膚炎患者の病変部皮膚からは60~100%もの高い確率で検出されることが知られている1, 2)

しかし,これらの事実はすでに1960~70年代に知られてはいたものの,黄色ブドウ球菌がアトピー性皮膚炎の発症や病態にどのように関わっているのかは長い間解明されていなかった.その大きな理由には,黄色ブドウ球菌の皮膚表面における病原性を評価する適切な動物モデルが存在しなかったことや,次世代シークエンサーの登場以前には研究分野として注目されていなかったことなどがあげられるであろう.

我々のグループは,黄色ブドウ球菌を皮膚の表面に感染させる表皮感染動物モデルを新たに確立し,皮膚表面に定着する黄色ブドウ球菌が皮膚炎を引き起こすメカニズムを研究してきた.その結果,黄色ブドウ球菌が産生するδ-toxin(別名phenol-soluble modulin γ:PSMγ)が,マウスの皮膚の肥満細胞の脱顆粒を誘発し,IL-4やIL-13などのサイトカインを放出させることで2型の皮膚炎に対してアジュバント効果をもたらしていることを初めて報告した3).続いて,黄色ブドウ球菌が産生するPSMαが,皮膚の最外層である表皮を構成するケラチノサイトにダメージを与えることにより,IL-1αやIL-36αなどのアラーミンと呼ばれるサイトカインの放出を誘発し,IL-17依存性の皮膚炎を引き起こすことを明らかにした(図14).実際に,アジア人や小児のアトピー性皮膚炎においてこれらの2型もしくはIL-17型のサイトカインが上昇していることが報告されており5),皮膚表面の黄色ブドウ球菌が産生するこれらの毒素がアトピー性皮膚炎の病態に一定の役割を果たしているとする我々の研究成果に矛盾しない6)

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図1 黄色ブドウ球菌のクオラムセンシングと皮膚炎

皮膚の表面で黄色ブドウ球菌のAgrクオラムセンシングが発動すると,δ-toxinが産生されることで,肥満細胞からの脱顆粒が起き,2型のアレルギー性皮膚炎が起こる.同時に,黄色ブドウ球菌から産生されたPSMαがケラチノサイトからのIL-1α, IL-36αらのアラーミンの放出を惹起し,IL-17依存型の皮膚炎を起こす.

興味深いことに,皮膚炎を引き起こすδ-toxinおよびPSMαの両外毒素は,後述するクオラムセンシングにおけるAccessory gene regulator(Agr)依存性に発現が制御されていることがわかっており,クオラムセンシングが黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎の病態をつなぐ重要なメカニズムであることが考えられた7).次に我々は日本人の乳児を対象に,黄色ブドウ球菌の定着とアトピー性皮膚炎の発症に関連があるかを調査するコホート研究を行った.268名の乳児の頬からサンプルを採取し検討したところ,1か月児の45%に頬の黄色ブドウ球菌の定着がみられるものの1歳時のアトピー性皮膚炎発症に関与しないが,6か月時点で黄色ブドウ球菌が定着していた乳児は,1歳時にアトピー性皮膚炎の発症率が有意に高いことが明らかになった.さらに興味深いことに,定着している黄色ブドウ球菌の全ゲノム情報を解析したところ,アトピー性皮膚炎を発症しなかったグループにおいて,クオラムセンシングをつかさどるagr遺伝子領域に機能欠損型の変異が蓄積し,クオラムセンシングが機能しなくなっていることが明らかになった8).この結果は,出生1か月後に定着した黄色ブドウ球菌が,6か月時点でもクオラムセンシングの遺伝子であるagrに変異が入らずに定着し続けていた場合,小児アトピー性皮膚炎の発症率を上昇させる可能性を示している(図2).また,最近我々のグループは,新たな出生コホート研究にて,1歳時点でアトピー性皮膚炎を発症する乳児は生後3日目という新生児期に皮膚細菌叢の乱れ(dysbiosis)が生じていることも新たに発見した9).このような新たな細菌叢をターゲットとした知見が積み重なることで,疾患発症の機序が徐々に明らかとなり,今後の新規治療法や予防法開発につながることが期待される.

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図2 黄色ブドウ球菌と小児アトピー性皮膚炎の発症

6か月時点でAgrが活発に働く黄色ブドウ球菌が皮膚に定着している乳児はagr領域に機能喪失型の変異が入っている,もしくはAgrクオラムセンシングの発現が落ちている黄色ブドウ球菌が定着している乳児と比べて,1歳時に小児アトピー性皮膚炎を発症する確率が有意に高かった.このことは,黄色ブドウ球菌のクオラムセンシングが乳幼児期のアトピー性皮膚炎の発症に関与していることを示している.

このように,アトピー性皮膚炎の病態に関与することが明らかにされたAgrクオラムセンシングであるが,具体的にどのようなメカニズムでアトピー性皮膚炎の発症や病態に関与しているのであろうか.Agrクオラムセンシングとアトピー性皮膚炎をつなぐメカニズムについて次節で概説する.

3. 黄色ブドウ球菌の病原性の鍵となるAgrクオラムセンシング

黄色ブドウ球菌のAgrクオラムセンシングは,周囲の自身の生息数(密度)が増えることによって発動する.Agrクオラムセンシングの根幹はagrA, agrB, agrC, agrDの四つの遺伝子で構成され,これらはそれぞれ細胞内の転写因子,細胞膜貫通型のペプチダーゼ,受容体,細胞外のシグナル伝達分子として機能している10).自己または他者が産生したAgrDを前駆物質とするauto-inducing peptide(AIP)が,AgrBという膜貫通型のエンドペプチターゼによる切断を受けて活性化し細胞外に放出され,放出されたAIPは受容体であるAgrCに結合する7).受容体であるAgrCの下流では,AgrAがリン酸化されて転写因子として活性化し,agr遺伝子群のプロモーター領域であるP2領域とP3領域に結合し,下流遺伝子の転写を正に制御する.P2領域の下流で転写されるのはRNAIIと呼ばれる遺伝子領域であり,agrB, agrD, agrC, agrAという順番で4遺伝子が転写され,Agrのシグナルがさらに亢進する正の制御を起こす.このサイクルはクオラムセンシングサーキットと呼ばれている(図311).一方で,P3領域の下流では先述したδ-toxinを配列内部に含むRNAIIIが転写を受ける.RNAIII依存性にさまざまな毒素やプロテアーゼ,リパーゼの発現が誘導される一方,細胞外接着因子などの遺伝子の発現は抑制されることが知られている.RNAIII依存性に発現が亢進する病原因子には,αヘモライシン(hemolysin alpha:Hla)と呼ばれる細胞障害性外毒素や,sspA, sspB, splと呼ばれるプロテアーゼ,sal1, sal2と呼ばれるリパーゼなどの多種多様な遺伝子が含まれる12–14).その他RNAIII非依存性の制御因子としては,AgrAも転写因子として結合して異なる遺伝子領域を発現することが知られており,PSMαやPSMβのような細胞傷害性の毒素が代表的なものである(図315)

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図3 黄色ブドウ球菌のAgrクオラムセンシングシステム

周囲の黄色ブドウ球菌の密度が高くなると,図上のauto-inducing peptide(AIP)のシグナルがAgrC受容体を介して細胞内に入り,各種Agrの発現がさらに上昇するポジティブ・フィードバックがかかる(クオラムセンシングサーキット).Agrの下流では,RNAIII依存性・非依存性の大きく分けて二つの経路を介してさまざまな毒素,プロテアーゼ,リパーゼなど黄色ブドウ球菌の病原性に関わる病原因子の発現が上昇する.

各因子の機能について詳細に解説する.まずAgrの下流で発現するRNAIIIは,Agrクオラムセンシングの多様なターゲット遺伝子の発現をコントロールする最も重要な細胞内機能分子である.ノンコーディングRNAであるRNAIIIは,ターゲットとする核酸にアンチセンス鎖として結合することによってさまざまな遺伝子の発現をコントロールすることが知られている.RNAIIIはアンチセンス鎖としてどのような働きをするのだろうか.RNAIIIがさまざまな毒素の転写を促進する手段として一番メインなものは,毒素の転写を阻害しているrepressor of toxin(Rot)の遺伝子発現をアンチセンス鎖で阻害するRNA干渉のメカニズムを通じて引き起こされる.Rotの阻害により発現される代表的な毒素がHlaである.Hlaはヒトにおけるさまざまな感染症で病原性を発揮する毒素として広く知られており,細胞膜表面のディスインテグリン/メタロプロテアーゼ10(a disintegrin and metalloprotease 10:ADAM10)受容体に結合し強い細胞傷害性を発揮することで宿主に対する病原性を持ち,肺炎,皮膚軟部組織感染症,血管内感染症の動物モデルにおいてhlaの変異株は野生型株と比較して病原性が下がることが知られている16–18).Rot阻害を介して発現が亢進するその他の毒素には,LukEDとLukABが知られている.LukEDはケモカイン受容体であるCCR5と結合することによって白血球破砕能を発揮する.また,LukABは黄色ブドウ球菌が貪食細胞に貪食された後に細胞障害性を発揮することで貪食作用に抵抗する毒素として知られている19, 20)

Rot阻害の下流で発現する毒素以外の病原因子で重要なものの一つに,V8プロテアーゼとも呼ばれるセリンプロテアーゼであるSspAや,SspAと同じsspオペロン内にコードされ,sspAに続いて転写されるシステインプロテアーゼであるSspBなどがあげられる21).黄色ブドウ球菌はさまざまな毒素や酵素を産生するが,その中でもSspAは,黄色ブドウ球菌遺伝子変異ライブラリーを用いたスクリーニングにて,マウスの皮下感染症モデル,敗血症モデル,創部感染モデルにおいて,菌の組織への定着や病原性に必須であることが示されている22).プロテアーゼは,皮膚表面などの上皮細胞のバリアを破壊して組織への定着浸潤を促したり,宿主が産生する抗菌ペプチド(antimicrobial peptides:AMP)を分解することによって抗菌活性から逃れたり,宿主や環境の細胞外マトリックスを分解することによって菌の居場所を確保する役割があると考えられている.黄色ブドウ球菌はSspAによって,補体や免疫グロブリン,また炎症性メディエーターであるキニノゲンを分解して宿主の免疫から逃れ,自身が産生するバイオフィルムを分解する作用などを持つことが知られている23).SspBは主にコラーゲンやフィブロネクチンなどの細胞外マトリックスを分解することが知られている.興味深いことにSspBはproSspBと呼ばれる前駆体の状態で翻訳され,SspAによる切り出しを受けて活性を示すことがわかっており,SspAを欠損する株においては,前駆物質は産生されるが生理活性は持たないため,SspAと同時に発現する必要があると考えられている21)

プロテアーゼ以外にも脂質分解酵素であるリパーゼもRot阻害によって発現が亢進する病原因子である.リパーゼは中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解する作用を持っているが,黄色ブドウ球菌の持つ代表的なリパーゼであるStaphylococcus aureus lipase 1(Sal1)とSal2の両者は通常はRotにより発現が阻害されている.Sal1とSal2は中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解することにより,脂質で構成されている細胞膜の破壊や,脂質が多い生体バリアである皮膚や腸管組織への侵入や定着を促進している働きがあると考えられている24).リパーゼによって産生される脂肪酸は生体において脂質メディエーターとして働くことが知られており,二次的な免疫細胞を含む生体との相互作用にも関与していると推察される.

Rotを介さないRNAIIIの働きとしてhlaのmRNAの転写後修飾が知られている.通常は折りたたまれて翻訳されにくい状態であるhlaのmRNAにRNAIIIが結合することによって,mRNAの構造を真っすぐに変化させて転写を促すことが知られている25)

また,RNAIII非依存性に発現が亢進するものの代表として,比較的近年同定されたPSMαおよびPSMβなどのPSMファミリーがあげられる.PSMαの中でもその性質がよく研究されているPSMα3は22のアミノ酸からなるペプチドであるが,PSMα3どうしが連なって長鎖フィブリルを形成するアミロイドとしての性質を持つ.低い濃度では受容体を介して免疫細胞を活性化することも知られているが,濃度が高くなるとアミロイドとして受容体非依存的に細胞膜を破壊する強力な毒素として働く26)

一方で,健常な皮膚ではこのような黄色ブドウ球菌の病原性が発揮されることはない.この理由の一つは,我々宿主自身の皮膚のpHや抗菌ペプチド,抗菌脂質を含む皮膚バリア,免疫バリアが役割を果たしているからである27, 28).もう一つの防御機構としては,皮膚正常細菌叢もクオラムセンシングを介して黄色ブドウ球菌の病原性を抑制していることがあげられる.通常,成人において正常な皮膚細菌叢は年間を通して株レベルで安定であることが知られている.正常皮膚細菌叢を構成する表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)をはじめとする常在性Staphylococcus属も黄色ブドウ球菌同様,Agrクオラムセンシングを有している.Staphylococcus属はAgrクオラムセンシングを利用して,互いの種の環境中の競合を制御していることが知られている29).常在性Staphylococcus属のAgrクオラムセンシングにより細胞外に分泌されるAIPのアミノ酸配列は黄色ブドウ球菌のAIPのものとは異なっており,この常在性Staphylococcus属AIPが黄色ブドウ球菌のAgrC受容体に結合すると黄色ブドウ球菌のAgrクオラムセンシングを抑制する29–31).実際に,健康な皮膚の上の表皮ブドウ球菌由来のAIPは,重症なアトピー性皮膚炎の皮膚上の存在量より多く存在しており32),健康な皮膚では常在性ブドウ球菌由来のAIPにより病原細菌の黄色ブドウ球菌がその病原性を発揮しないように防御されている.

このように,黄色ブドウ球菌のAgrクオラムセンシングは,黄色ブドウ球菌自身の細胞密度や競合する細菌が産生するペプチド,そして周囲の環境を感知して,黄色ブドウ球菌を周囲と共存する大人しい片利共生細菌から,毒性を発揮して周囲と競合する病原菌へと劇的に変化させる働きを担っている.

4. アトピー性皮膚炎の痒みと黄色ブドウ球菌

慢性的な皮膚の痒みはアトピー性皮膚炎にとって中心的な役割を果たしている特徴的な症状である一方で,皮膚の痒みの誘発メカニズムは複雑であり,長年病態の理解が進んでいなかった.もともと皮膚の痒みが掻く行動を促すことは,皮膚表面に付着する寄生虫や吸血する昆虫などの外敵を認識し,払い除け排除する行動を惹起するための機構と考えられているが,痒みと掻くという行動をこの理論だけで語りつくすことができるのか不明な点もある.アトピー性皮膚炎患者においては,痒みそのものが生活の質(QOL)を大きく低下させ,さらには社会生活への不参加などの社会的な負債を招くことが知られている.アトピー性皮膚炎患者の多くでは,肉眼的に皮膚炎が発症する前に痒みを感じることが多いことから,皮膚炎の結果として痒みが出現するという一方向性の経路ではなく,痒みが掻く行動を促して皮膚炎を起こし,皮膚炎がさらなる痒みを引き起こすという,itch-scratchサイクルという概念が一般的である33)

他稿でもふれられると思うが,痒みにおける研究はシングルセル解析技術を用いた遺伝子発現をもとにした神経細胞の再分類の結果,飛躍的な進歩を遂げている.痒みを知覚する神経システムは末梢神経組織におけるものと中枢神経システムにおけるものに大別される.末梢組織における痒みを引き起こす物質にはさまざまな物質が知られているが,肥満細胞が産生するヒスタミンと末梢神経上のヒスタミン受容体が結合して引き起こされる痒みが長年痒み研究の中心であった.肥満細胞はヒスタミンのほかにトリプシンやキマーゼと呼ばれるプロテアーゼを放出しサイトカインやケモカインの活性化などの炎症反応を惹起するが,これらのプロテアーゼもプロテアーゼ活性受容体2(protease-activated receptor 2:PAR2)を介して末梢神経の痒みを惹起することが知られている34).特に,近年の研究で大きく末梢神経における痒みの理解が進んだのは,2017年にIL-13, IL-4, IL-31などの2型炎症性サイトカインの受容体が末梢神経上に発現しており,2型サイトカインの刺激によって直接興奮して痒みを引き起こすこと,2型サイトカイン経路をJAK阻害薬を用いて遮断することでマウスおよびヒトにおいて痒みそのものが劇的に抑えられることが示されてからであると筆者は理解している35).さらに2021年には,慢性の痒みの急性増悪マウスモデルとアトピー性皮膚炎患者の検体を用いて,アレルゲンに曝露されたときに抗原特異的なIgEが,肥満細胞ではなく好塩基球のFcεRIaに結合してロイコトリエンが放出され,末梢神経におけるcysteinyl leukotriene receptor 2(CysLTR2)という受容体に結合して痒みの急性増悪を起こすことが報告された36).これにより,アトピー性皮膚炎患者において,抗原特異的なIgEが痒みの急性増悪を引き起こすまったく新しいメカニズムが明らかにされた.

C繊維末梢神経ニューロンで知覚された痒みのシグナルは,脊髄後角の表層を構成する第I層を走行し伝達する.痒み特異的なシグナルを伝達する第I層に局在する神経は,ガストリン放出ペプチド受容体を発現している神経細胞であることがわかっている37).脳内の痒みの知覚はまだ未知の領域が多いが,腕傍核(parabrachial nucleus:PBN)と呼ばれる脳幹の一部で痒み信号が受容されていると考えられている38).PBNニューロンはヒスタミンなどのさまざまな痒み物質に反応することが知られており,VGLUT2トランスポーターと呼ばれる神経伝達に必須のトランスポーターをPBNニューロン特異的に欠損させたところ,掻破行動がみられなくなることから痒みを感じる重要な働きをしていることが示されている37)

このようにここ10年以内の研究の進展により,ヒスタミンを中心とした痒みの議論から,サイトカインやロイコトリエンを介した多様な痒みのメカニズムが明らかにされ,アトピー性皮膚炎患者に対する治療として続々と臨床応用されるまでになり,皮膚科の治療の現場には急激な変化が訪れている.アトピー性皮膚炎患者は遺伝学的な背景のみでは説明がつかず,衛生仮説と呼ばれる微生物への曝露の減少とその発症の関連が指摘されてきた.近年,細菌叢解析技術の飛躍的な進展に伴い,宿主細胞そのものと,そこに共存する微生物を含めたホロバイオームという単位でアトピー性皮膚炎が理解されるように変化してきた中で,アトピー性皮膚炎の病態の中核をなす痒みと微生物の関連が解析されるようになった.

2023年にDengらのグループが,我々のグループが確立した黄色ブドウ球菌表皮感染モデルと痒みや掻破行動を測定する動物モデルを組み合わせ,黄色ブドウ球菌と痒みの関係を明らかにした22).黄色ブドウ球菌を表皮に感染させ,5日後の皮膚の痒みを,後ろ足で背中を搔く搔破行動の回数をモニターすることで評価し,通常は痒みを惹起しないような弱い刺激で惹起される痒みであるアロネーシスの度合いを搔破行動の回数でモニタリングした.その結果,黄色ブドウ球菌の表皮感染がマウスにおいて痒みを引き起こすことを突き止めた.この成果について次に概説する.

5. Agrクオラムセンシングにより制御されるV8プロテアーゼはPAR1受容体を介して痒みを引き起こす

どのような機序で黄色ブドウ球菌は皮膚の痒みを惹起しているのか.Dengらははじめに痒みを起こす既知のメカニズムの関与について検証を行った.肥満細胞はヒスタミンやプロテアーゼの放出を介して皮膚の痒みを惹起する性質があることがわかっていたが38),黄色ブドウ球菌を感染させると肥満細胞を欠損したKitW-shマウスにおいても痒みを惹起することがわかった.この結果は,δ-toxinの肥満細胞を介したアレルギー皮膚炎とは異なる機序で黄色ブドウ球菌が皮膚の痒みを惹起している可能性を示唆している.Dengらは次に,黄色ブドウ球菌がIL-36による痒みに関わっているのかを,下流のシグナル伝達に関わるMyd88を欠損させたマウス(Myd88−/−マウス)を使用して検証したが,この系においても皮膚炎そのものは軽減するが,皮膚の痒みは野生型マウスと同様に惹起された.

また,黄色ブドウ球菌による皮膚の痒みが,Kimらが明らかにしたIL-4, IL-13やIL-31といった2型サイトカインを介した痒みであるのかを検証したが,IL-4, IL-13の受容体やIL-31受容体の阻害では黄色ブドウ球菌により誘発される皮膚の痒みは減弱しなかったことから,これらの2型サイトカインも主たる経路ではないことが明らかとなった.

そこで次にDengらは,黄色ブドウ球菌の野生型株とagr欠損(Δagr)株を比較した.すると,野生型株は皮膚の痒みを惹起するのに対して,Δagr株は皮膚における痒みを誘導しないことがわかった.先述したようにAgrクオラムセンシングはさまざまな機序で皮膚における病原性に関わっていることから,Agr依存性に皮膚の痒みが惹起されることは納得のいく結果である.それではAgrクオラムセンシングシステムの下流のどの因子が皮膚の痒みを惹起しているのだろうか.DengらはまずAgrクオラムセンシングに制御される主な毒素であるHlaやPSM(PSMα, PSMβ, δ-toxin)を欠損した株をマウスに感染させたが,皮膚炎の程度が下がることはあっても痒みが抑制されなかった.この結果から,これらの毒素が痒みを惹起しているわけではないことがわかった.次にAgrにて制御されるプロテアーゼの各欠損株を使用して痒みを調べたところ,SspA(V8プロテアーゼ)特異的に遺伝子を欠損させた(SspBの転写は阻害されない)sspA欠損(ΔsspA)株を感染させたときのみ痒みが惹起されないことがわかった.SspA欠損のみがこの現象を引き起こしているのかを検証する目的でsspA遺伝子を補完したΔsspAsspA株を作製して感染させたところ,野生型株と同様に自発的痒みおよびアロネーシスを誘導し,SspAがマウス皮膚の痒みを惹起するのに必要不可欠であることが明らかとなった.

次にアトピー性皮膚炎患者の皮膚に定着する黄色ブドウ球菌においてSspAの発現が亢進しているのかをRNA発現レベルで確認した.まず,黄色ブドウ球菌表皮感染モデルにおいて黄色ブドウ球菌のsspAの発現を確認したところ,マウス皮膚感染後5日目にかけて,右肩上がりにsspAの発現が亢進していた.そして,アトピー性皮膚炎患者の皮膚においてもsspAの発現を確認したところ,皮膚の面積あたりのsspAの発現は健常者の皮膚と比較してアトピー性皮膚炎患者の病変部において亢進していることが明らかとなった.このことから,黄色ブドウ球菌が産生するSspAは,アトピー性皮膚炎患者の病変部でも痒みを惹起している可能性が示唆された.

次に,DengらはSspAがどのような機序で痒みを惹起しているのかを調べるために,受容体の探索を行った.肥満細胞が産生するトリプシンなどのプロテアーゼはPAR2と呼ばれる受容体を切断することにより末梢神経における痒みを引き起こしていることから,4種類存在するPARに対する切断活性をin vitroで確認したところ,SspAはPAR1の切断活性を持つことが判明した.PAR1の神経細胞における発現を確認したところ,後根神経節(dorsal root ganglia:DRG)ニューロンにおいてPAR1を発現する神経細胞が存在することがわかった.ヒトのシングルセル解析のオープンデータソースを用いた解析にて,ヒトのDRGにおいてもPAR1が発現しており,ヒトDRGを用いてSspAへの応答を確認したところ,26.5%のヒトDRGニューロンがSspAの刺激に応答することがわかり,ヒトにおいても黄色ブドウ球菌のSspAが痒みを起こしうることがわかった.また,DRGニューロンにおけるPAR1が真に重要であるのかを確認する目的で,痒みを伝えるTRPV1陽性DRGニューロン特異的にPAR1(F2r遺伝子にコードされる)をノックアウトしたTrpv1Cre+/−F2rfl/flマウスを作製して,コントロールであるTrpv1Cre−/−F2rfl/flマウスと比較したところ,DRGニューロン特異的にPAR1をノックアウトしたTrpv1Cre+/−F2rfl/flにおいてのみ自発的な痒みとアロクネーシスが抑制されることを確認した.これらの結果により,DRGニューロンに発現するPAR1を介して,黄色ブドウ球菌が産生するSspAが痒みを惹起する可能性を示した.最後にSspAのみでマウスにおける痒みと搔破行動を惹起できるのかを確認する目的で,SspAを直接皮下に注射する実験を行った.その結果,SspAを皮下注射したマウスにおいて自発的な痒みとアロクネーシスが惹起され,SspAと同時にPAR1のアンタゴニストであるvorapaxarを皮下注射した際には痒みは誘導されなかった.また,皮下注射後に患部を掻破できないように保護したマウスにおいては,痒みは誘発できたものの掻破によって引き起こされる皮膚バリア障害は観察できなかった.これらの結果から,黄色ブドウ球菌由来のSspAは皮膚末梢神経のPAR1受容体を介して痒みを引き起こし,掻破行動を促すことによって宿主の皮膚炎誘発に関与することが明らかとなった(図4).

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図4 V8プロテアーゼがPAR1を介して皮膚の痒みを引き起こす

黄色ブドウ球菌がAgrクオラムセンシングの制御下に産生するV8プロテアーゼ(SspA)は,末梢神経のPAR1を介して皮膚の痒みを引き起こし,宿主の掻破行動を介して皮膚バリアにダメージを与える.

6. おわりに

皮膚微生物叢と皮膚疾患の関わりに関する研究は,観察的な段階から細胞間シグナルのメカニズムを解明する研究へ,さらにそのメカニズムを標的とした治療開発のフェーズへと進展している.詳細なメカニズムが明らかになる以前は,皮膚疾患を引き起こす,もしくは悪化させる菌種をターゲットとした抗菌薬を用いて病状を改善しようとする試みが一般的だった.しかし,抗菌薬の使用により新たな耐性菌の出現を招くことは歴史的にも明らかであり,どの抗菌薬も単一の菌を完全に排除することはできない.そのため,無闇な抗菌薬の使用は新たな微生物叢のアンバランスと耐性菌の出現を招き,将来的に予期しなかった問題を引き起こす可能性が高いため実用化されることはなかった.

このような背景から,黄色ブドウ球菌の病原性のみをピンポイントで抑制する,もしくは自然な形で皮膚表面から排除するような共生的アプローチが試みられている.特にクオラムクエンチング(quorum-quenching)と呼ばれる,他の菌株を塗布することで,黄色ブドウ球菌におけるクオラムセンシング依存の病原性を抑える研究は現在進行形で成果をあげつつあり,今後の具体的な臨床応用が期待されている39–41)

皮膚微生物叢は皮膚表面という非常にアクセスしやすい場所に構成されているという特徴を持つため,微生物叢をターゲットとした最先端の治療開発が進めやすい分野である.皮膚微生物叢をターゲットとした皮膚疾患への治療開発の試みが,腸管や口腔内,呼吸器,生殖器などほかの臓器への治療介入の試みへと広がり,その礎となることを強く望んでいる.

引用文献References

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著者紹介Author Profile

中川 誠太郎(なかがわ せいたろう)

大阪大学大学院医学系研究科皮膚免疫微生物学共同研究講座特任講師.博士(医学).

略歴

1984年熊本県生まれ.2009年千葉大学医学部医学科卒業.同年枝市立総合病院初期臨床研修医.10年東京大学医学部附属病院初期臨床研修医.11年千葉大学医学部附属病院皮膚科後期臨床研修医.12年船橋市立医療センター皮膚科専修医.13年千葉大学医学部附属病院皮膚科医員.14年同附属病院皮膚科病棟医長.16年千葉大学博士課程教育リーディングプログラムリサーチ・アシスタント.18年千葉大学大学院医学研究院先端医学薬学専攻修了.同博士課程教育リーディングプログラム修了.同年米国ミシガン大学医学部病理学教室ポストドクトラル・フェロー.20年日本学術振興会海外特別研究員.23年大阪大学医学系研究科皮膚科学皮膚免疫微生物学共同研究講座特任講師.

研究テーマと抱負

著者は皮膚微生物叢とアトピー性皮膚炎の関連について研究をしており,所属する研究グループの強みは,免疫学的な分野のみならず細菌学的な検証をしっかりすることである.今後は両者をつなぐ新たな分野に挑戦していきたい.

趣味

ジャズ鑑賞.

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