Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 97(4): 441-455 (2025)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2025.970441

特集Special Review

グリア細胞におけるArf6の新しい役割New role of Arf6 in glia

1国立研究開発法人・国立成育医療センター研究所・薬剤治療研究部・分子薬理研究室Laboratory of Molecular Pharmacology, Department of Pharmacology, National Research Institute for Child Health and Development ◇ 〒157–8535 東京都世田谷区大蔵2–10–1 ◇ 2–10–1 Okura, Setagaya, Tokyo 157–8535, Japan

2東京薬科大学Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences ◇ 〒192–0392 東京都八王子市堀之内1432–1 ◇ 1432–1 Horinouchi, Hachioji, Tokyo 192–0392, Japan

発行日:2025年8月25日Published: August 25, 2025
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Arf6は他のArfファミリー低分子量GTP結合タンパク質が有する細胞内輸送に加え,細胞骨格を直接的に制御する役割を有する.バイオインフォマティクス上で,少なくとも500種類を超えるタンパク質がArf6と相互作用し,さらにArf6と結合可能な低分子物質が数種類存在すると推定されている.各々の細胞でArf6と複数のエフェクターのシグナルセットが存在するため,これが細胞ごとに特徴あるシグナル伝達メカニズムを構成できる理由となっていると考えられる.本稿では,最新の実験データをもとに,哺乳動物の中枢および末梢神経系グリア細胞におけるArf6の機能を中心に紹介する.グリア細胞は神経細胞と比較して発生過程の分子メカニズムは不明な点が多く,現在に至っても未開拓な研究分野の一つである.それらの分子メカニズムを応用することで,グリア細胞が関連する疾患を改善できる可能性についても言及する.

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