Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 97(4): 472-477 (2025)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2025.970472

特集Special Review

初期発生におけるRan-GTPの紡錘体形成機能とその必須性の変化Function and essentiality of Ran-based spindle assembly in early embryogenesis

沖縄科学技術大学院大学Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University ◇ 〒904–0495 沖縄県国頭郡恩納村字谷茶1919–1 ◇ 1919–1 Tancha, Onna-son, Kunigami-gun, Okinawa 904–0495, Japan

発行日:2025年8月25日Published: August 25, 2025
HTMLPDFEPUB3

Ranは間期の核内外輸送のみならず,分裂期の紡錘体形成にも働くと考えられている.しかし,Ranを分裂期特異的に阻害することは難しく,Ranが真に紡錘体形成に必要かは不明であった.またRanは分裂期染色体を中心にRan-GTP濃度勾配を形成し,染色体近傍で紡錘体形成因子を活性化すると考えられている.しかし,染色体から離れた紡錘体極で働く因子の活性化に必要かどうか,また巨大な初期胚細胞で小さな体細胞と同様に機能するかどうかも,十分に検討されていない.我々は近年,オーキシン誘導デグロン法をヒト分裂期細胞やメダカの初期胚に用い,Ran-GTPによる紡錘体形成の仕組みを研究してきた.本稿では,Ran-GTPによる紡錘体形成機能と,その必須性が脊椎動物の発生過程において変化することを解説する.

This page was created on 2025-07-15T13:34:58.174+09:00
This page was last modified on 2025-08-08T14:32:33.000+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。