Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 97(4): 487-497 (2025)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2025.970487

総説Review

社会性行動を調節する化学感覚シグナルと脳神経回路基盤Vomeronasal ligands and neural circuits controlling innate social behavior in mice

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発行日:2025年8月25日Published: August 25, 2025
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我々ヒトを含む動物は,外界から情報を受け取り適切な反応を表出させることでスムーズなライフサイクルを送ることができる.また,多くの生物は周囲にいる同種他個体との個体間コミュニケーションを欠かさない.本稿では,社会的なヒエラルキーと密接な攻撃・防御行動や種の維持に重要な性行動など,我々のライフサイクルに密接な社会性行動に着目し,行動の調節に重要な化学感覚シグナルと行動発現につながる情報処理をつかさどる脳神経回路基盤について概説する.

個体間コミュニケーションにおいて重要な役割を担っている感覚にはさまざまなものがあるが,その一つである鋤鼻系(副嗅覚系)に焦点をあてて前半部で取り上げる.フェロモンを筆頭とした鋤鼻系のリガンドは性や系統の情報を伝達し,行動調節に寄与することが多い.後半部では攻撃性や性行動といった本能的な行動の制御に重要な脳領域に着目して議論を進める.

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