Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 97(5): 601-613 (2025)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2025.970601

総説Review

糸状菌におけるガラクトマンナンの構造と生合成機構Structure and biosynthetic mechanism of galactomannan in filamentous fungi

崇城大学生物生命学部生物生命学科Department of Biotechnology and Life Sciences, Faculty of Biotechnology and Life Sciences, Sojo University ◇ 〒860–0082 熊本市西区池田4–22–1 ◇ Ikeda 4–22–1, Nishi-ku, Kumamoto 860–0082, Japan

発行日:2025年10月25日Published: October 25, 2025
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ヒト病原性糸状菌Aspergillus fumigatusの細胞壁は,細胞の物理的保護のみならず,外界の情報感知や病原性の発現に深く関与している.細胞壁は,β-(1→3)-グルカンやキチンを骨格とし,α-(1→3)-グルカン,ガラクトサミノガラクタン,ガラクトマンナン(GM)などの多糖類が複雑に絡み合って三次元ネットワークを形成している.GMはマンノースと,ヒトには存在しないガラクトフラノースからなる糖鎖である.GMは侵襲性肺アスペルギルス症の血清診断マーカーとして利用されており,その生合成経路は新規抗真菌薬の創薬標的としても注目されている.本稿では,GM生合成の基盤となる糖ヌクレオチドの供給・輸送経路,主要な糖転移酵素の機能および立体構造,さらには最近見つかった分生子特異的なマンナン構造やN-グリカン外鎖様構造について概説し,これらの知見がもたらす創薬への応用可能性について論じる.

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