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公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 97(6): 792-797 (2025)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2025.970792

特集Special Review

免疫代謝と生活習慣病Immunometabolism and lifestyle-related diseases

名古屋大学環境医学研究所分子代謝医学Department of Molecular Medicine and Metabolism, Research Institute of Environmental Medicine, Nagoya University ◇ 〒464–8601 愛知県名古屋市千種区不老町 ◇ Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya, Aichi 464–8601, Japan

発行日:2025年12月25日Published: December 25, 2025
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免疫代謝学は栄養・代謝と炎症・免疫の密接な関係を探る新たな学問領域である.生活習慣病は従来,実質細胞に焦点を当てて研究されてきたが,持続する過栄養に伴う慢性炎症が代謝機能の破綻を引き起こし,代謝疾患であると同時に慢性炎症性疾患としての側面を有することが明らかになった.肥満では脂肪組織に,慢性腎臓病では腎臓に,代謝機能障害関連脂肪性肝炎では肝臓に,実質細胞の細胞死を核としてマクロファージが集積するcrown-like structure(CLS)という特徴的な組織像が形成される.CLSでは死細胞とマクロファージが相互作用し,炎症の慢性化と組織線維化を促進する.CLS構成マクロファージの細胞内代謝変容が形質転換を誘導し,病態形成を促進することも明らかになった.今後,本領域の研究が進捗し,生活習慣病に対する新たな治療戦略の開発につながることが期待される.

1. 免疫代謝とは

1)生活習慣病と免疫細胞

従来,生活習慣病は主に実質細胞に着目して研究が行われていた.すなわち,肝臓では肝細胞,脂肪組織では脂肪細胞など,各臓器を特徴づける実質細胞がどのように糖脂質を代謝するのか,あるいはホルモンを産生してほかの代謝臓器と連携し,生体の代謝恒常性を維持するのかが精力的に研究されてきた.一方,あらゆる臓器は実質細胞のほかに,免疫細胞や血管構成細胞,幹細胞,線維芽細胞などの多様な間質細胞を含んでいる.たとえば,脂肪組織の病理組織像では,巨大な脂肪滴を有する成熟脂肪細胞が目立つが,実際には,多様な間質細胞が細胞数の約1/3を占めるという.中でも免疫細胞に関する知見が集積しており,1980年代から動脈硬化症の病態形成にマクロファージを中心とする免疫細胞が重要な役割を担うことが知られていた.また2000年代以降,脂肪組織や肝臓などの代謝臓器が,慢性的な過栄養に伴って慢性炎症を生じ,代謝機能の破綻に至ることが明らかになった.このように肥満や糖尿病などの生活習慣病は,代謝疾患のみならず,慢性炎症性疾患としての一面を有することが広く受け入れられるようになった.

2)免疫代謝の概念

生活習慣病が非感染性の慢性炎症性疾患と捉えられるようになったのとは逆に,免疫疾患の病態基盤として,免疫細胞の細胞内代謝に知見が集積している.すなわち,免疫細胞の分化や増殖に細胞内代謝が密接に関わり,代謝酵素や栄養素に介入することで免疫機能を制御しうることが明らかになってきた.実際,がん免疫療法などにおいて,栄養・代謝の介入が免疫チェックポイント阻害薬の効果を顕著に向上させるなどの研究成果が報告されている.そこで,栄養・代謝と炎症・免疫の密接な関係を探る免疫代謝(イムノメタボリズム)と呼ばれる新たな学問領域が注目を集めている(図1).生活習慣病に関しては,1993年に代表的な炎症性サイトカインのtumor necrosis factor-α(TNF-α)が肥満の脂肪組織から産生されること,また2003年には肥満の脂肪組織にマクロファージ浸潤が増加することが報告され,研究が爆発的に進捗した.一方,慢性炎症を標的とする生活習慣病の治療戦略はいまだ開発されておらず,さらなる研究が求められる.本稿では,肥満,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD),代謝機能障害関連脂肪性肝炎(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis:MASH)に焦点を当てて,生活習慣病と免疫代謝の関係を概説する.

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図1 免疫代謝:炎症・免疫と代謝・栄養の密接な関係

栄養・代謝と炎症・免疫の密接な関係を探る免疫代謝(イムノメタボリズム)と呼ばれる新たな学問領域が注目されている.

2. 肥満

1)脂肪組織の慢性炎症

白色脂肪細胞は,細胞あたり1個の巨大な脂肪滴を有し,内部に中性脂肪を蓄積する.白色脂肪組織の一義的な機能は余剰エネルギーの蓄積であり,栄養過剰時にインスリンの働きにより中性脂肪を合成し,脂肪滴内に蓄える.栄養欠乏時には,交感神経系のシグナルにより中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解し,血中に放出することで全身臓器にエネルギー源として供給する.また,1990年代にレプチンやアディポネクチン等のアディポサイトカイン(あるいはアディポカイン)と総称される生理活性物質を活発に産生・分泌する内分泌機能を有することが明らかになった.慢性的な過栄養では,中性脂肪の過剰蓄積で脂肪細胞のサイズが増大(=肥大化)するとともにアディポサイトカイン産生調節機構が破綻し,遠隔臓器に作用することで全身の糖脂質代謝異常が生じる.このとき,TNF-α等の炎症性(インスリン抵抗性)サイトカインの産生が増加する一方,アディポネクチン等の抗炎症性(インスリン感受性)サイトカインの産生が減少する1).さらに,肥満に伴って,特に内臓脂肪に多彩な免疫細胞が浸潤することが明らかになり,肥満の脂肪組織は慢性炎症状態にあると認識されるようになった1, 2)

2)脂肪組織炎症の分子機構と免疫代謝

ここでは,マクロファージを例にあげて,脂肪組織炎症の分子機構について概説する.上述のように,肥満に伴う内臓脂肪組織へのマクロファージ浸潤がマウスやヒトにおいて報告され,マクロファージ細胞数は体脂肪量やbody mass index(BMI)と正の相関を示した.病理組織像を解析すると,マクロファージは脂肪組織内でびまん性に存在するのではなく,特定の箇所に集積してcrown-like structure(CLS)と称される特徴的な構造を呈した(図21).この内部には,肥満の過程で代謝ストレスにより細胞死に陥った脂肪細胞が存在し,その周囲を数多くのマクロファージが取り囲み,貪食・処理している.死細胞の貪食はマクロファージの重要な役割であり,通常,生体内の死細胞は速やかに処理されるため,病理組織上で死細胞とマクロファージの相互作用を目にすることはほとんどない.すなわち,CLSは,巨大な死細胞(=脂肪細胞)をマクロファージが貪食・処理する過程であり,これに時間を要するため,炎症慢性化の起点となっている.また著者らは,脂肪細胞とマクロファージが液性因子を介して相互作用することにより,持続的な炎症反応が維持されることを提唱した1, 3, 4).さらに,CLSを構成するマクロファージにmacrophage-inducible C-type lectin(Mincle)という自然免疫センサーが高発現することを見いだし,Mincleが死細胞を感知すると,CLSを起点として組織線維化が生じることを見いだした(図35, 6).多くの臓器や疾患において,慢性炎症は最終的に組織線維化に至るが,肥満の脂肪組織も例外ではない.Mincle欠損マウスに肥満を誘導すると線維化が抑制され,このとき,脂肪組織の重量が増加する一方,脂肪肝に代表される異所性脂肪は軽減して,全身の糖脂質代謝は良好に保たれた.従来,ヒト肥満において,脂肪組織の線維化と脂肪肝の程度が相関することが知られていたが,実際に,脂肪組織線維化に介入することで,臓器ネットワークを介して体内脂肪分布が変化することが示された.最近,大規模ヒトゲノム・プロテオーム解析により,肥満と冠動脈疾患をつなぐ媒介因子として脂肪組織に由来する6型コラーゲン分解産物の重要性が報告された7).このように,脂肪組織局所の免疫代謝が脂肪組織の慢性炎症のみならず,全身の代謝状態を制御することが明らかになった.

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図2 肥満脂肪組織のcrown-like structure (CLS)

肥満の進展過程で脂肪組織に浸潤するマクロファージは,脂肪組織内でびまん性に存在するのではなく,特定の箇所に集積してCLSと称される特徴的な構造(*)を呈する.この内部には,肥満の過程で代謝ストレスにより細胞死に陥った脂肪細胞が存在し,その周囲を数多くのマクロファージが取り囲み,貪食・処理している.

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図3 肥満に伴う脂肪組織の慢性炎症とMincle

Mincle欠損マウスに肥満を誘導すると線維化が抑制され,このとき,脂肪組織の重量が増加する一方,脂肪肝に代表される異所性脂肪は軽減して,全身の糖脂質代謝は良好に保たれた.すなわち,脂肪組織局所のCLSが脂肪組織全体の機能とともに,遠隔臓器の機能も制御すると考えられる.

3)CLSにおける細胞間相互作用

近年,シングルセルRNA-seq解析や空間トランスクリプトーム解析などの解析技術が飛躍的に進歩し,新たな細胞亜集団や細胞間相互作用の同定が相次いでいる.CLSは特徴的な組織像を呈するが,脂肪組織全体の一部にすぎないため,従来のbulk RNA-seq解析では詳細な解析ができなかった.そこで著者らは,シングルセル解析を用いて,肥満マウスの脂肪組織におけるマクロファージと線維芽細胞の相互作用を検討した.Mincleを発現する小さなマクロファージ亜集団は,これまでに報告されているlipid-associated macrophage(LAM)などとはまったく異なる遺伝子発現プロフィールや細胞形態を呈し,線維化期に出現する細胞外マトリックス関連線維芽細胞と相互作用することを見いだした8).特に,Mincle発現マクロファージから産生されるオンコスタチンMは,線維芽細胞のコラーゲン産生を強力に抑制した.一方,肥満マウスに減量治療を施すと,一過性にCLSが形成されて,むしろ線維化は改善する.この状態で再び体重増加が生じても(体重リバウンド),脂肪組織は炎症を惹起することなく肥大化し,全身の糖脂質代謝も良好に保たれる(metabolically healthy obesity)9).すなわち,CLSでは細胞外マトリックスの産生と分解が複雑に制御され,組織リモデリングの駆動エンジンとして働くことが示唆される.

3. CKD

1)急性腎障害の慢性化とCKD

急性腎障害(acute kidney injury:AKI)は,さまざまな原因により数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する状態で,高齢化や生活習慣病の増加,医療技術の複雑化などにより,近年,発症率は増加傾向を示している.従来,急性腎障害は一過性で,約半数は腎機能が回復すると捉えられていた.すなわち,腎障害の主座である近位尿細管上皮細胞は再生・修復能が高いため,急性期を血液浄化療法で乗り切れば,正常に回復すると考えられていた.しかし実際には,繰り返す腎障害に伴って近位尿細管が短縮する,あるいは修復不全状態の近位尿細管上皮細胞が出現するなど,腎臓にダメージが蓄積していることが明らかになった.疫学的にも,急性腎障害症例は,年余の経過で高率にCKDや末期腎不全に進行することが示されている.そこで,急性腎障害が慢性化(AKI-to-CKD transition)する機序に注目が集まっている.この分子メカニズムとして,炎症や低酸素,酸化ストレス,尿細管の再生不全などが提唱されているが,依然として未解明の点が多く,有効な治療法も存在しない.

2)急性腎障害の慢性化と免疫代謝

急性腎障害の慢性化機序の一つとして,著者らはCLSの関与を明らかにした10).すなわち,Mincle欠損は,AKIモデルの急性期に影響を及ぼさなかったが,修復期から慢性期における炎症を早期に収束させ,CKDへの移行を抑制した(図4).Mincleは,壊死尿細管の周囲に集積するマクロファージに特異的に発現しているため,上述の脂肪組織と同様に,Mincleが死細胞を感知して炎症慢性化に働くと考えられる.そこで著者らは,死細胞に由来するMincle活性化因子(内因性Mincleリガンド)を探索した.当時,結核菌の細胞壁成分であるtrehalose 6′,6-dimycolate(TDM)など糖脂質が外来性Mincleリガンドとして報告されていたため,障害腎より脂質を抽出し,レポーター細胞を用いたスクリーニング等により最終的にβ-グルコシルセラミドを同定した.興味深いことに,TDMと比較してβ-グルコシルセラミド単独のMincle活性化作用は軽微であったが,遊離コレステロールが共存するとTDMと同等の強い活性化効果を示した.実際,障害腎の壊死尿細管部位において,β-グルコシルセラミドと遊離コレステロールの集積が認められ,その周囲をマクロファージが取り囲むCLSが形成されていた10).グルコシルセラミドは種々の糖脂質代謝の出発点となる代謝物であり,ゴルジ体で生合成される.急性腎障害に伴って近位尿細管上皮細胞が壊死すると,細胞内に蓄積したβ-グルコシルセラミドが細胞外に露出する.これがMincleを活性化することで炎症が慢性化し,近位尿細管の変性・脱落が進むことで腎萎縮に至ると考えられた.それでは,死にゆく尿細管上皮細胞において,どのようにβ-グルコシルセラミドが蓄積するのであろうか.従来,自然免疫センサーを活性化するdamage-associated molecular patterns(DAMPs)の産生機序は未解明のことが多いが,現在著者らは,β-グルコシルセラミドの代謝酵素に着目して,その機序解明に取り組んでいる.このように,近位尿細管の細胞死に伴う免疫代謝の変容がAKI-to-CKD transitionの新たな分子機序になることが明らかになった.

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図4 急性腎障害の慢性化とMincle

Mincle欠損は,AKIモデルの急性期に影響を及ぼさないが,修復期から慢性期における炎症を早期に収束させ,腎萎縮を抑制した.Mincleは壊死尿細管の周囲に集積するマクロファージに特異的に発現しているため,脂肪組織と同様に,Mincleが死細胞を感知して炎症慢性化に働くと考えられる.

4. MASH

1)新たな疾患概念—MASH

非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)は1980年代に確立した疾患概念であり,肝臓への異所性脂肪蓄積のみを特徴とする単純性脂肪肝から,脂肪蓄積に加えて炎症・線維化を呈する非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)まで幅広い病態を含む.しかし,“non-alcoholic”という除外診断であることや,“fatty”という表現は不適切であるとの指摘もあり,2023年に欧州肝臓学会や米国肝臓学会が中心となって,脂肪性肝疾患をsteatotic liver disease(SLD)と総称し,従来のNAFLD, NASHは代謝障害の併存を診断基準の一部としてそれぞれmetabolic dysfunction-associated steatotic liver disease(MASLD),MASHと名称変更することが提唱された.MASLDは診断基準にBMIやウエスト周囲径,耐糖能障害,高血圧,脂質代謝異常などの存在が含まれるため,全身代謝障害の存在が明確化されていることが特徴である.予後良好の単純性脂肪肝と異なり,MASHは年余の経過で肝硬変や肝細胞がんへ進展するため,その対策は喫緊の課題と認識されている.2024年に,初めてのMASH治療薬が米国食品医薬品局(FDA)で認可され,MASH治療薬の開発競争は新たなステージに入った.

2)免疫代謝に着目したMASH治療戦略の開発

MASHの病態機序として,multiple parallel hit仮説が提唱されている.すなわち,脂質の蓄積,インスリン抵抗性などの代謝ストレスに,炎症性サイトカイン,エンドトキシンなどの炎症刺激が加わることでMASHを発症すると想定されている.日本人では肥満を伴わないMASH症例も多いなどヒトMASH病態の多様性が指摘されているが,病態機序に立脚した症例の層別化には至っていない.さまざまな病因のうち,脂質の蓄積はMASH病態形成に中心的な役割を担うが,単に中性脂肪蓄積量が増加するのみならず,細胞障害性を有するコレステロールの過剰蓄積など脂質の質に関しても知見が集積してきた.実際,さまざまな動物モデルにおいてコレステロール負荷はMASH病変を増悪させ,ヒトMASHにおいてもコレステロールの過剰摂取は危険因子となる.一方,ヒトMASHに対するスタチン製剤の治療効果は十分に証明されておらず,MASH病態形成におけるコレステロール蓄積の意義はいまだ不明の点が多い.著者らは,脂肪肝からMASHを発症する過程でCLS様病変が形成され,これを起点として肝線維化が進行することを示した11, 12).興味深いことに,MASHモデルやヒトMASHにおいて,CLS内部にコレステロール結晶の形成が認められる.著者らは,肝細胞の脂肪滴内で結晶化したコレステロールが細胞死を誘導し,これを核としてCLSが形成されること,CLSを構成するマクロファージが死細胞とともにコレステロール結晶を取り込んで,コレステロール過剰負荷となることが線維化の進展に重要であることを示した(図513).そこで独自に開発したβ-シクロデキストリン超分子ポリロタキサンという高分子化合物を用いて,MASH肝においてマクロファージ選択的に遊離コレステロール量を低下させると,CLS構成マクロファージの線維化促進形質が顕著に抑制され,肝線維化も軽減した.著者らは,コレステロールに加えて,マクロファージの鉄過剰蓄積もCLS構成マクロファージの形質転換に重要な役割を担うことを報告している14).このように,CLSにおける免疫代謝の変容がMASHに対する新たな治療標的となることが期待される.

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図5 CLSを起点とする肝線維化とMASH

肝細胞の脂肪滴内で結晶化したコレステロールが細胞死を誘導し,これを核としてCLSが形成される.独自に開発したβ-シクロデキストリン超分子ポリロタキサンは,CLS構成マクロファージのコレステロール過剰蓄積を軽減することで線維化促進形質を抑制し,MASHモデルにおける肝線維化を改善した.

5. おわりに

本稿では,肥満,CKD, MASHに焦点を当てて,生活習慣病の発症・進展における免疫代謝の役割について,最近の知見を概説した.著者らは,実質細胞の細胞死を核としてマクロファージが集積する特徴的な組織像のCLSがこれらの病態において形成されること,いずれも炎症慢性化や組織線維化に働くことを見いだした(図6).一方,CLSを構成するマクロファージの由来や死細胞を認識する自然免疫センサーは臓器や病態により異なることも確認している.さらに,CLS構成マクロファージの細胞内代謝変容が形質転換を誘導し,病態形成を促進することを示した.このように,臓器局所の微小環境における栄養・代謝と炎症・免疫の複雑な相互作用が慢性炎症を制御し,疾患の発症・進展を制御することが明らかになった.今後,本領域の研究が進捗し,生活習慣病に対する新たな治療戦略の開発につながることが期待される.

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図6 さまざまな臓器におけるCLS形成と炎症慢性化機構

生活習慣病に関するさまざまな臓器においてCLSが形成され,いずれも炎症慢性化や組織線維化に働く.一方,CLSを構成するマクロファージの由来や死細胞を認識する自然免疫センサーは臓器や病態により異なる.臓器局所の微小環境における栄養・代謝と炎症・免疫の複雑な相互作用が慢性炎症を制御し,疾患の発症・進展を制御すると想定される.

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著者紹介Author Profile

菅波 孝祥(すがなみ たかよし)

名古屋大学環境医学研究所分子代謝医学分野 教授.博士(医学).

略歴

1994年京都大学医学部医学科卒業,臨床研修および京都大学大学院医学研究科博士課程を経て,2003年東京医科歯科大学難治疾患研究所助教,11年同准教授,15年より現職.

研究テーマと抱負

生活習慣病の成因と治療に関する分子医学的研究および医工連携による新しい生活習慣病治療戦略の開発.臨床応用を見据えた基礎医学研究に取り組む若手研究者を募集しています.

ウェブサイト

http://www.riem.nagoya-u.ac.jp/4/mmm/index.html

趣味

映画鑑賞,読書,寄り道.

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